その後の人々
徒党・天人菊 教国全土に支部を持つようになる。
アドネとエルダは数年後に引退して夫婦となり、最終的には旧王都へと向かうことになった。
ルチオは新たな自分の組を結成すると、宿場町の支部に所属。若いころはレベリオ達と都市同盟に行き、【迷宮】に挑戦することもあった。
レベリオ組は警戒期に入ると教国に戻り、港町の支部で戦の支度を始める。アンヘイで徴兵された者たちの訓練をしながら、【迷宮】に挑戦するためン・マーグへ足を運ぶ。そこにはアリーダの姿もあった。
アガタとジョスエは港町に留まってサポートをする。その後の育友会の躍進は、間違いなくジョスエの功績だろう。
ゾーエたちはラファスで天人菊の本部を運営する。今もnK(熱血)細胞はちゃんとトゥルカの性格を蝕んでいた。
ヤコポはいったん故郷にもどったのち、城郭都市の支部につく。
脱落四人組は戦後、天人菊に所属すると、のちに教都の支部を任されるようになる。彼女らは訓練だけでなく、戦争が始まれば第一騎士団や予備軍と行動するようになる。
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徒党・鉄塊団 戦後は魔界の侵攻に対する意識が変化し、上級ダンジョンを目指す者が増える。
ミウッチャは正式に団長となり、上級に挑戦する団員のまとめ役となった。
ルドルフォは上級への挑戦は止め、初級中級や上級を目指す者たちのまとめ役となる。
炎の老人共は引退後もしばらくはサポートを続けるが、その後はそれぞれの余生を過ごす。ダンジョン広場の門には、今も名物となる熱血男が立っている。
先代いぶし銀。
ヴァレオは引退した老人共のメンバーにその役職を渡すと、男爵や車いすの老人と余生を過ごす。
武具屋の嫁は急成長する育友会を止めようとするが、育友の輪はラファスから教国、そして世界へと広がっていく。
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満了組
デボラは少しして引退すると、旧教会のシスターさんになる。煙草を吸ったり酒を飲むこともなく、真面目なシスターさんだった。ケーラも炊き出しなどの手伝いをしていた。
マルチェロは少し若かったこともあり、しばらくは満了組に残り後進の面倒をみる。
ターリストは〖犬〗の散歩をする姿を目撃されており、変人扱いされていた。
ジェランドはデボラに挨拶をしたのち故郷にもどる。
イージリオは引退後も探検者を続け、黒光りのイージリオと呼ばれる。
第三班の班長が満了組の長となる。
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不良三人組
シスターのシゴキを経たことで、異質の雰囲気をまとったまま試験に挑み、第一騎士団の訓練を生ぬるいと評価する。
後にカークは第三騎士団長となり、その傍らには参謀となったガスパロの姿があった。
ダニエレは理不尽の化身として前線に身を置き続け、最後は戦場で果てる。
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ティトは姉について行こうとしたが断られ、のちにイザと結婚して家庭を築く。
武具屋の主はこんなことになるとは思わなかったずらと、巨大化した組織の会長としてため息をつく。彼は生涯、帽子をかぶっていたという。
シスターはカークたちを見送ったのち、新たな世界へと旅立つ。
エルダの母は娘夫婦と旧王都に行くことなく、ラファスでその人生を全うする。
山の父と後世に呼ばれた男は、登山者協会の設立を目にすることなく、何処かの山で生涯を終える。
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天上界。
創造主がギャグキャラだと知ったのは、ラウロが天上界に導かれた後だった。
ルカはサボっていた伝助(腹筋)に対し、あなたって子はと怒りながら、今日も伝助を苛め抜く。
グレースは魂をつくることに成功し、のちにマグと共に旅立ちの門を潜ることになった。
セトは山の民を見守り続ける。
時空の主神は今回の失敗を踏まえて、ちゃんと休みもとるようになる。
いつかの時代。都市同盟で車いすの男を、投票所へと連れて行く女性の姿が確認されている。
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試練を終え、〖炎〗の加護を得てから数日が経過した。
重たい騎士鎧から、軽装へと装備を切り替えて歩きだす。
風吹く丘。
年齢を重ねた自分の姿を見せるのが嫌だった。
吹く風に火が揺れる。
ずっと、この瞬間のために頑張ってきた。
この地位に立つまでに掛った日々。
彼と年齢に差があったのが幸いだった。それでもやはり第一騎士団を目指すには少し遅かった。
救世主の想い人だから優遇されているのだと、陰口を叩かれていたこともちゃんと知っている。
なぜあの人が天上界の勧誘を断ったのか、今になって彼女も理解していた。
ロモロという老人を思いだす。
家族の涙を。
多くの命を死地に赴かせてきた。
いつのまにか当初の目的も忘れ、国を守ることに必死となっていた。
「……私は」
今後どうするかの答えもでないまま。
魔界の侵攻も以前より間隔が短くなっている。
先代の時空神は短くとも二百年といっていたが、もしかすると当初の予想よりも。
救われた世界に彼の居場所はない。
人並みの時間を共に過ごせるとしても、その先に待っているのは永遠と呼べる日々。
悩みながらも、一歩ずつ石畳の道を上がっていく。
彼に会いたいと、自分が邪神の類になってしまう可能性を否定できるのか。
木製の柵が見えてきた。
丘の上には木があり、石に腰を下ろしている男の姿を確認する。
彼の表情は強張っていた。
「あぁ、そうだ」
とりあえず、やらなくてはいけない事を思いだす。
今はいったん悩むのを止めよう。
リヴィアはにっこりと微笑むと、拳を握りしめて走り出した。
ありがとうございました。この作品は一度完結しているので、完結ブーストは難しいのですが、今は終わらせることができて本当に安心しております。
そのうちカクヨムにでも文章を直しながら投稿しようかなと考えていたり、神技一覧をどうすべきかも悩んでおりますが、新しい作品の投稿は考えておりません。
本当に完結できてよかった。
お付き合いくださり、本当にありがとうございました。