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「美咲、生徒会の会議にいくぞ。」



放課後、要が私の席まで迎えに来た。

わざわざ迎えに来なくても逃げたりしないのに。

「うん、あれ隼人は?」

「ん?勧誘を貰ったのは俺と美咲の二人だが?」

あ、そうか。ゲームでも勧誘を貰ったのは要だけだった。

隼人とヒロインの凜ちゃんは自分から立候補したんだ。



「何々ー?美咲的には俺も生徒会やってほしい?」

「は、隼人!聞いてたの?」

要よりすこし身長の低い隼人は要の後ろからひょっこりと顔を出した。

「盗み聞きみたいに言わないでよっ!たまたま聞こえたから。」

「俺も美咲が隼人がいるのが当然のように言うからすこし吃驚した。」

え、私そんなに薄情な人に見えていたの?

「いや、私的に隼人と要はセットだと思っていたから・・・。」

二人がいつも一緒なのもそうだけど要のルートでも隼人との取り合いイベントみたいのがあるし・・。

「そっか。せっかく美咲が俺のこと気にしてくれたし、俺生徒会立候補しちゃおうかなー。」

「そうか、俺も隼人がやってくれたら嬉しい。美咲もそうだろう?」



まぁ、そうしたら生徒会の枠もちょうど埋まるし。

「えぇ、嬉しいわ」

少し私は嫌なやつかもしれない。

枠が埋まれば凜ちゃんが入ってこなくなることが嬉しいと思ってる。

今の自分が少し嫌いだ。







「では、今から今年度最初の生徒会会議を行う。進行を務めさせていただく今年生徒会長をやる紫原 晴人だ。よろしくな。」



生徒会には攻略キャラが全員揃う。


生徒会長の紫原 晴人

生徒会顧問でクラスの担任の星 雅博

来年から生徒会に入るヒロインと同じクラスの入江 奏

そして私の婚約者の西園寺 要

幼なじみの北東 隼人


この五人が攻略対象。

ルート的にはもう要ルートに入っているが要ルートには途中で隼人との取合いイベントもあるし、今まで出会いイベント以外うまくいってないところからして他ルートへの方向転換が聞くんじゃないかな、なんて。

最後のは完全に私の願望だけど。


「えー、僕は生徒会の顧問をしてます。星雅博です。西園寺君と北条さんのクラスの担任でもあるよー。今年一年新生徒会として頑張ろうね!」

「西園寺要です。よろしくお願いします。」

「北条美咲です。生徒会に入るからには頑張りますのでよろしくお願いします。」


さすが生徒会長オーラが違う。

表すならば要は伸びしろがある雰囲気だけど紫原晴人は学園中のことは俺が全て把握しているぞ、という感じ。

「・・。一年生二人、勧誘だか推薦だか知らないがそんなものを貰ったからと言って特別待遇はしないからな。使えない無能だと分かったらすぐさま追い出す。せいぜい這いつくばって頑張るんだな。」


そうそう、紫原晴人はツンデレ属性なんだ。

この言葉を通訳すれば「期待している。頑張れよ。」だ。

本編では前向きなヒロインがめげずに頑張って気に入られていた。

ゲームをやっていた当時は「うわぁきついせいかくしてるなぁ。」と思っていたのだが前もって性格を知っていると可愛く見えてくる。



「・・。えぇ、紫原先輩の期待に添えるように制震します。」

さすが天然な要。全然紫原晴人の言葉をなんとも思ってない!!!

「私も要と一緒ですわ。頑張らせていただきます。」

「・・・。そうか、では今日の本題にはいるとしよう。今日は____」

私たちの回答を聞いた紫原晴人は淡々と話題に入った。

口角を少し上げながら。


生徒会の会議の内容は五月にある体育祭についてだった。


「ではまず、今年の体育祭で行われる種目について。これについては先生方と話し合った結果、クラス対抗でリレー、借り物競走、騎馬戦。学年対抗でトライアスロン。これの内容についてはまだ暫定だが、障害物競走、二人三脚、菓子当てなどを予定している。」


生徒会長である紫原晴人が紙を読み上げみんなに質問を促す。

・・・菓子当てってなんなんだろうか。パン食い競争の類似かしら。


「・・・。特にないようだな。では、当日の動きを説明する。まず朝___」






「いやー、二人ともお疲れ様!!生徒会って毎回思うけど大変そうだよね~。今日はもう終わりだから、気をけて帰って!!また明日。」



集まり終了後、星先生が私たちに声をかけてくれた。

結局終わったのは始まってから三時間も経った後だった。

体育祭当日の動きから担当を決めたりなど。

これが体育祭終了まで毎週この時間にあるというのだから先が遠くなる。


「美咲、疲れてないか?」

「うーん・・・、流石にちょっと、ね。要もお疲れ様。積極的に発言しているものだからちょっぴりびっくりしちゃった。お迎えの人もうきてるかしら?まだ春だからすっかり暗くなっちゃったわね。」

「そうだな、きっともうきていることだろう。早く玄関に降りようか。」


生徒会室からでると要はいつものごとく私の鞄を拉致し、腰に手を置いてエスコートする形を取った。

「・・・要。私エスコートなしでも歩けるわ。だから_」

「俺が、俺がしたいんだ。だから、このままで。」

本当にゲームの要と態度が違っていて困る。

対応の仕方が分からない。


「お帰りなさいませ、おふたりとも。この後はご自宅に直帰でよろしいですか?」

「あぁ、構わない。」

車に乗り込んでからは、流石に腰から手は離れたけど。

・・・・なんかちかくない?


「要?近くないかしら?」

「これが普通だろう。」

そんなわけあるか!!!

「そうだ、美咲。明日は土曜日だな。何か予定でもあるのか?」

「いいえ、特にはないわよ。」

「じゃあ、朝十時。迎えに行くからそのつもりで居てくれ。」


んんんん??

「何しに?」

「そんなの出かけるために決まっているだろ?」

「どこへ?」


私がそうやって聞くと要は私に向かってふわりと微笑み「ショッピングデートだ。」と言った。

生徒会会議後の土曜日デート・・・。

あ、これイベントか!!!

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