表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

1

私、北条美咲はなんと乙女ゲームに転生したらしいです。











中学三年生の秋。そろそろ進路を決めなければとお母様とお話をしたらなんと私は悩むまでもなく両親の母校である琉成高等学校に入学することが決まっていた。



学力的にはあまり関係がなく、お金を積めば入れるような高校だが、その分格式が高くお坊ちゃまやお嬢様が入学されるような高校だ。





琉成高等学校という名前を聞いた瞬間目の前がスパークして意識が飛びかけた。





今とは違い布団と畳で寝る私。

通ったことのない小学校で今ではありえないことにうんていで遊ぶ私。

中学三年生の受験の日車にはねられて

友達に揺さぶられる私。




今世では経験した記憶のないものが脳内にどばっと流れてきた。




それと同時に、私が当時ハマっていた乙女ゲーム、ハイスクールライフ!!!~悪役令嬢から逃げ切って青春を謳歌する~の情報が流れてきた。




乙女ゲームのヒロインである花園 凛。

悪役令嬢の北条 美咲。

悪役令嬢の婚約者で、攻略キャラの

西園寺 要。

西園寺要と北条美咲の幼馴染の北東 隼人。

また北東隼人も攻略キャラだ。

高校で知り合うことになる生徒会長の

紫原 晴人。

ヒロインと同じクラスになる入江 湊。

上の2人も攻略キャラで、

隠しキャラがまだいるのだがそれは今はまぁいいだろう。





私の名前は北条美咲。









つまりは悪役令嬢である。





















いや、悪役令嬢である。じゃないから?!

は?!てか私死んでたの?!

しかも転生先が乙女ゲームの悪役令嬢?!

どうせ乙女ゲームに転生するなら、ヒロインになりたかったぁぁぁあぁぁぁあ!!!

















なんて、記憶を思い出して早くも季節は2つ巡り、明日は入学式となりました。


悪役令嬢の北条美咲といえば高飛車で我儘で傲慢で偉そうな女子で、高校でもクラスメイトから遠巻きにされているが、

そこは私の性格だからか、そんなことも無く中学では良好な友人関係を歩んできた。

勿論今のところ婚約者である西園寺要に嫌われている素振りもなく、平穏にすこせていた。












多分それも今日までだが。








最初のヒロインが出てくるプロローグは入学式からスタートする。



琉成高校はお金を積めば入れるような高校なので、校舎は勿論綺麗だ。

そのため校舎も広く、ゲームで内容を知っている私ですら迷いそうな程広いのだ。

そんな広い校舎を天然でおっちょこちょいなところが売りのヒロインが迷わない訳もなく、入学式があるからと登校したはいいが、迷ってしまいそこで理事長が父親の幼馴染、西園寺要と出会うところがプロローグとなっている。



そこで西園寺要とヒロインの花園凛は出会うのだが、最初は西園寺要のラブゲージが最悪の状態からスタートする。

何故なら曲がり角を曲がった花園凛と西園寺要がぶつかり、ぐじゃぐじゃに泣いていた花園凛の涙だの鼻水だのが西園寺要の制服のブレザーに付いてしまうからである。



半潔癖症である西園寺要からしたらそれはもう顔が真っ赤になる程許せないことなのだが、入学式が目前に迫っていることもあり、そこではブレザーはクリーニングに出すということで場が収まり、一緒にホールまで歩くことになるのだ。

最初の方は花園凛のふりかけてくる会話に素っ気なく答えているだけなのだが、ホールに着くまでには笑顔こそないものの普通に話す程度にはなっており、選択を間違えなければこの時点でラブゲージは30パーセントくらいにあがる。















ということは、だ。

入学式である明日からもうストーリーはスタートすることになる。

私の平穏ライフは今日までだ。

...嫌だなぁ。






前世の私は人生15年にして1回も彼氏ができたことがなく、乙女ゲームの中でしか恋愛ができない子だった。





折角ならヒロインに転生させてくれればいいのに、わざわざ当て馬役の悪役令嬢に転生させるなんて...。





理不尽だ...!!!!!!








「美咲...?まだ起きているの?」


「お母様!!!」


「ふふふ。明日が入学式だからって興奮して眠れないのかしら?」


いや、どちらかと言うと明日からの生活が億劫で眠れないですね。


「そんな感じです。」


「きっと目を閉じていれば自然と眠れるようになるわ。さぁさ、電気を落としますよ。」



「...はい。おやすみなさい。」




お母様にも言われてしまったしもう寝ることにしようかな。

にしても明日が来なければいいのに!!

明日からの生活がせめて楽しくあるようにと願いながら眠りについた。










ついに来てしまった。入学式。







とりあえずストーリーには関わりたくない。

だって、婚約破棄だよ?!

しかも私がした嫌がらせのせいで!!!

関わったら最後私の未来は真っ暗になってしまう。

それは絶対避けなければならない。

攻略期間は2年間。

これを過ぎればどうなるかは分からないが一応平穏な生活は戻ってくるはずだ。

と思考を巡らせながら制服に着替えていると部屋のドアをメイドさんにノックされた。





「美咲様。要様がお待ちです。」




...え?なんて?






「要様が?」






「はい。今は奥様と一緒に食事をしております。美咲様もお着替えがお済みになりましたらダイニングルームへお越しください。」



なんで要がお母様と一緒にご飯食べてるの?

朝から一緒とかもしかしなくても一緒に登校するパターンじゃない?これ。


「わかりました。」


とにかく早く着替えてしまわなければ。

私は急いで着替えると部屋を出てダイニングに向かった。






「要さん。美咲を宜しくね。」



「はい。勿論です。」


















「お母様、要様、お待たせ致しました。」






私はダイニングルームのドアを開けてもらうと2人にお辞儀をした。






「あぁ、美咲、おはよう。」






流石乙女ゲームの攻略キャラ。

キラキラとエフェクトが入って見える。

黒髪のストレートでサラサラとした髪が少し頭を揺らすだけでふわりと揺れた。

くぅ、かっこいい!!!!!






「おはようございます。要様。」

私は再度挨拶をして席についた。



「美咲。」



ん?まだ何か話すことがあるの?





「はい。何でしょうか?」

「...。」




なにその真顔は。怖いです。

「入学式に入るまでは俺から離れるんじゃないぞ。」



いや、なんでやねん。まずなんか母親みたいなこと言ってますけど。




「...?、わかりました。」










いや、わかりました。じゃないよ!

一緒にいたらストーリー始まった時に私も遭遇しちゃうじゃない!

どうにかしてあそこの曲がり角に近づいたらそっと要のそばを離れなくちゃ...!!!

その後はお母様に話を振られながらご飯を食べて西園寺家の車で学校まで登校した。





車を降りると目の前にはとっても豪華な門と校舎。

うわぁ...。いかにもお金かかってますって感じの学校だなぁ。





「美咲。何ぼーっとしてるんだ?早く行くぞ。入学式に遅れる。」

「すみません。とても大きかったので驚いてしまいました。」




その返事に要は「そうか。」とだけ言うと私のバックを奪ってスタスタと歩き始めた。

え。私のバック。






「か、要様?あの、どうして鞄を、」

「婚約者なんだ。当然だろう?」


何がおかしいんだとでも言う風に私を不思議そうに見下ろした。

えぇ、それだとイベントの時に逃げられないじゃない。

私はバックを人質に取られながらも要の隣を歩き出した。













「わぁぁあっ!!すごいおっきい学校だ!

私今日からここに通うんだ...!すごいなあ...」

「ほ、ホール?どこだろう...。まぁとりあえず人の波についていけばなんとかなるかな!うん!」











もうあの曲がり角の近くだ...!

逃げなくちゃ...。

しかし逃げようにも私のバックは要に取られたまんまだ。もうこの際バックなんて後で返してもらえば...。



私はそっと歩いている速度を落として要と距離を取ろうとした。



「美咲?どうしたんだ?」


んんん。なぜ気づく。

そう。さっきからこの作戦は3回目なのだ。

何故か歩く速さを落とす私に毎回気づき、どこか具合でも悪いのかと顔を覗き込んでくる。




解せぬ。



私のことなんて置いてさっさとストーリーに入りなさいよ!!!

私が何のために速度落としてると思ってるのよ!!!

あと、あと1mもしないうちにあの曲がり角なのに...!!!




「いいえ。何でもないわ。」


私は涼しい顔をしながら要の隣をまた歩き出した。どうしたものか...。


私が少しでも斜め後ろを歩こうとすると足を止め私が隣を歩くのを待っている。



一体なんだっていうんだ...。


と思考巡らせているあいだにいつの間にか曲がり角まできていたのか身体に衝撃を受け私の身体が傾いた。


「きゃぁ、」

「ぶへっ」




突然過ぎて全く令嬢が出すべきではない声が出た。



次に来るであろう衝撃に備え身体に力を入れると後ろからぽすっという軽い音が聞こえた。



「美咲...!!!大丈夫か?」








私を受け止めてくれたのは要だったらしい。

えぇ、私もしかしなくてもストーリーの邪魔した...?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ