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でてけ

 あれから王冠の乗ったお偉いさん、まあ人類の王だったんだけど。

 その人が水晶玉を持ってきた。


「これに手をかざせ。念のためにな」


 そう言って近くの使用人が台座を持ってきて、その上に水晶玉を置いた。


「……念のためって?」


 俺がそう言うとユウジが答えてくれた。


「恐らく俺らが勇者かどうか調べるんじゃないか? 話の流れ的にな」


 ユウジの目線は国王に向いていた。

 自分の回答があっているのか確かめるために。


「話が早くて助かる」


 そのまま国王に目線を向けたまま……いや、睨みつけて言った。


「もし俺らが勇者じゃなかったらどうするんだ?」


 確かにそうだ。

 

「それはその時が来たら話そう」


 しばらくユウジが国王を睨みつけたままため息をついた。


「わかった。ほらアオイ。手をかざすぞ」

「え、うん」


 そう言ってユウジは透明の水晶玉に手をかざす。

 すると七色に光った。


「……ほう!」


 七色に光った瞬間、国王を始め周りの人々が騒ぎ始めた。


「アオイ」


 ユウジに言われて気が付いた。

 

「ごめん。綺麗な色だったからつい」


 そう言って俺が水晶に手をかざした。


 するとさっきまで美しい色を放っていた水晶が白色に変わった。


「ん?」


 国王のそのその一言で周りは俺の方を、詳しく言うと水晶玉を見た。

 そして空気が凍った。


「・・・国王さん、その時がきたぜ? アオイはどうなるんだ?」


 その緊張感を破ってユウジが声を出した。


「そうだな……」


 しばらく国王は考えていた。

 そして結果が出たのだろうか。

 閉じていた口を開いた。


「お主はユウジでよいか?」

「ああ」

「ユウジと少し席を開ける。皆は少し待たれよ」


 そう言ってこの部屋を出て行こうとする国王にユウジが引き留めようとした。


「待てよ。俺がいない間にアオイをどうにかするという魂胆じゃないだろうな?」


 それを聞きながら国王は歩みを止めた。


「安心せい。それは絶対にやらないとお主がわかっているだろう」

「一応念のためだ」


 そう言って二人はここを出て行った。


「え~と、俺はどうすればいいんですかね」


 何が起きたのかよくわかってない俺は周りの人たちを見渡した。

 するとさっきの少女、ちなみに王女だった人が俺の手を優しく握ってくれた。


「待ってればいいんですよ」


 いや、そうだけどさ。



――――――――――――――――――――――



 しばらくして国王とユウジが戻ってきた。


「アオイ。俺は勇者だそうだ」

「うん。七色に光ってたもんね」

「そしてその魔王を倒す道に一般人のお前がいるのは危ない。よって今から君はここを出て行け」


 なるほど。


「おけ。なら誰か出口まで案内してくれない?」


 俺がそう言うと皆が驚いた顔をしてこっちを見た。


「なんと! 今お主はこの何も知らない世界で一人で生きていけと言われたのだぞ! 何故軽々しく受け止めれる!」


 国王がそう言うと周りの人たちもそうだそうだと言わんばかりに首をコクコクと動かしていた。


「言っただろ? 王様。俺らはそんなことじゃ嫌と言ったりしないさ」

「だ、だが……そうか。そっちの方が我々としても助かる」


 何とも言えない表情で国王が俺に小袋を渡してきた


「すまないことをしているとわかっておる。その詫びとは言っては何だがこれを」


 中を開けるとナイフと金ぴかのメダルが入っていた。


「それは我が国の貨幣だ。これで半年くらいは簡単に過ごせるだろう」


 ほへー。

 なら盗まれたり落としたりしたら大変だな。


「そしてその短剣だが、うちの国は治安が良いほうだと思っておる。が、万が一為だ」


 なるほどなぁ。

 試しに皮から刃を出して腕に当ててみた。

 すると何も力を入れてないのに腕に赤い線ができ、小さな雫を作った。


「え。すっごく切れるんだけど」


 やばい物貰ったなぁ。


「よし。なら後は元気に頑張れよアオイ」


 俺は刃を皮に戻して腰に袋を下げた。


「もう大丈夫ですか? それなら私が門まで見送りますよ」


 そう言って王女が俺の前に来てくれた。

 ありがとうっと言って部屋を出るときにユウジが言った。


「なあ、国王さん。俺らのこの服って目立つよな?」

「うむ? 確かに見るからに高品質な服だな」

「なら適当にアオイに庶民の服を見繕ってやった方が良くないか?」


 確かに。

 悔しいがユウジはこういう些細な事に気が利く。


 そしてユウジの提案によって国王から適当に服を貰って着替えた。

 ちなみ俺がきてた制服はここで預かってもらうことにした。

 持ってても邪魔だろうっという理由で。

 ありがたい。


 王女に外まで案内してもらった。


「ここからが外になります。私たちの勝手なせいでご迷惑をおかけして本当にごめんなさい」


 そう言って王女は見事は90°の礼をした。


「いやいや、いいよ。元の世界にうんざりしてたし」


 俺は手をひらひらさせて答えた。


「……ありがとうございます」


 礼をしたまま王女はそう言った。


 そんな王女の姿をこれ以上見るのは良くないなっと思い、門番さんが明けてくれた大きな門をさっさと出た。


 さて。ここから文字道理新しい生活が始まるのか。


国王とユウジの会話


「先に言っとくがアオイを処分しようとか考えたら自殺するからな?」

「待て待て。別に何も言っておらぬ」

「勇者がいなかった場合をはぐらかしたよな? その時になったら答えるって。なら答えにくいこと、始末するとかそういう事になるんじゃないのかよ」

「お主……色々とめんどくさいと言われなかったか?」

「それは今関係ないだろ? どうなんだ?」

「あぁ。言う通り、外界の者が勇者ではない場合処分することが古からの規則じゃ」

「なるほど。なら勇者召喚みたいなことは何度もやっていたのか」

「違う! お主らが初めてじゃ」

「ちなみに俺らが勇者じゃなかったら処分したのか?」

「……わからぬ」

「でも古よりの規則なんだろ?」

「あぁ。そうじゃ。だからこそ、わからぬ。一人の王としては処刑する方が正しい。ただ、人間としてそれが正しくないことはわかっている」

「あんた王様向いていなさそうだな」

「……はっはっは! 確かにそうかもしれぬ」

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