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始まり!

 頭が痛い。

 視界が真っ暗だ。

 何も聞こえない。


 あれ?

 さっきまで何をしたいたんだっけ?

 確か学校の帰り道だったよな。


 そうだ。

 いつも一緒にいるユウジと喋りながら帰ってたんだ。いつも通りに。

 そして?


 ……突然強い光が来たんだ。


 あぁ、だんだん思考がクリアになってきた。

 でも周りの声がうるさくて頭がズキズキする。


 とりあえず状況確認を。


「……え?」


 交通事故とかにあって周りに人が集まって来てるもんだと思ってたけど、違った。

 色々装飾が施されてある部屋で、俺らの下には青い線で引かれた魔法陣みたいなのがあった。

 お姫様とか王様とかが住んでそうなお部屋だ。

 その魔法陣の周りはそれっぽい恰好、杖とかローブとかを着た魔術師みたいなのと、煌びやかな装飾をした、見るからに権力のありそうな人が結構いる。


 ちなみに。

「俺ら」だ。


 辺りを見渡してる時にいつも一緒にいたユウジと目が合った。

 

「なあユウジ。この状況どう考える?」


 何かどっきりだとかそんな期待を込めてユウジの方を見た。


「知るか。とりあえず何も分からないってことが分かった」

「流石いつもあてにならないユウジだね」

「うるせえ」


 そういってビシッっとデコピンを食らわされた。


 いつも俺らはこうしてじゃれあって遊んでいる。

 こんな状況で余裕そうに見えるかもしれないが、訳が分からないことが起きているので、現実逃避でもしたい。


 でもそんな中、向こうの方から俺らの方に近寄ってきた。


「****?」


 どこの国の言語だろうか。

 喋りかけてきたのは権力が強そうな煌びやかな服装を着た綺麗な少女だ。

 恐らく、いや予想しなくてもわかる。

 手でも出したら殺されるんだろうな。


「ユウジ。翻訳を頼む」

「あれは俺に惚れている顔だな。恐らく求婚をしてるに違いない」


 それを聞いて、ユウジの顔をジロジロ見た。


「フッ」

「よし。喧嘩なら買ってやろうじゃないか」


 少女の事をまるっきり無視してじゃれあう俺ら。


 俺のアッパーカットがいい角度でユウジのあごをとらえた時にトントンっと肩を叩かれた。


「何かな?」

 

 俺が振り向くと、さっきの少女が二つの小さな玉を手のひらの上にのせている。

 それは薬のようなものだ。


「ふーん。これを俺らは食えばいいって事か」


 気が付くとユウジの足元が目に入った。

 後頭部がジンジンする。

 恐らく今の一瞬で殴られたのだろう。


「ユウジ! 後頭部は禁止って言ったろ! マジで危ないんだぞ!」

「大丈夫だアオイ。お前の脳みその詰まってない頭に危険なんてない」

「なんてことを言うんだ! 俺の天才的な脳みそを侮辱する気か!」

「安心しろ。脳みそ以外も侮辱するから」

「そういう意味じゃない!」


 そういって起き上がる。


「それよりこれ。どうするか?」


 そう言ってユウジに差し出されたのはさっき少女が持っていた小さな玉。

 

「どうするってこれ薬だよね……? 飲むしかなくない?」


 色々と怪しいけど、恐らく毒じゃない気がする。


「まあ、そうだよな。ここの連中は俺たちがこうして暴れてても止めに入んない。って事はこっから抜け出そうとか、抵抗してても一瞬でとらえられる戦力があるって見た方がいいな」


 僕はそこまで頭が回ってなかったけど、黙って居よう。


「なら飲むぞ。これを渡す」


 そうしてユウジから薬を貰った。


「さあ。飲め」


 そういって俺に先に飲ませようとするユウジ。


「いやいや。何言ってんのさ。安全なんでしょ? ならユウジが先に飲みなよ」


 僕はまだ死にたくないんだ。

 いや、これ飲んだら死ぬって決まったわけじゃないけどさ。

 怖いじゃん?


「なららちが明かないから一緒に飲むって言うのはどうだ?」


 でた。

 ユウジの手だ。 


「まあ、いいよ」


 俺は知っているこれは絶対にユウジは飲まない。


「そうか。なら行くぞ。せーのっ!」


 そう言ってユウジは口に玉を入れてゴクリっと喉を鳴らした。

 え。まって。

 ユウジ本当に飲んでるじゃん。


 俺は慌てて小さな玉を飲み込んだ。

 ごめんよユウジ。

 君が本気で飲むとは思わなかったんだ。


「アオイ、飲んだか?」


 ユウジが真面目な顔で聞いてくる。


「え。飲んだよ?」


 そうか、とユウジは呟いた。


「えっと、薬を飲まれたのですね。私の声が聞こえますか?」


 突然はっきりと聞こえた日本語に驚いた。

 

 薬をくれた絶対に権力の高い少女が喋っていた。


「あれ? 君日本語が喋れるの?」


 あれか。

 さっきの薬のおかげか。


「日本語は分かりませんが、言葉は通じますよ」


 そういって小さくはにかんだ。

 めっちゃ可愛いこの子。


「なるほどな。薬を飲むと言葉が通じる訳か」


 これを言ったのはユウジ。

 今更何を言ってるんだろうと思ってたら手を口に当ててゴクリと喉を鳴らした。


「え。ユウジさっき薬飲んでたよね?」

「さっき飲んだのは唾だぞ。それを大きく鳴らしただけだ」

「あ、そっかぁ。なるほど!」


 さっき鳴らしたのは唾だったのか。

 なっとくなっとく。

 ……。


「騙したのか! くそユウジ!」

「待て! お前気づくの遅くないか!?」


 そのままじゃれ合い第三ラウンド行こうとしたとき、とても深い声が入った。


「我らの言葉が通じるようになったか」


 それはとても腹に響く、簡単に言ってしまえば怖い声だ。

 喋っているのはこの中でトップクラスに権力が高いよーって頭に乗っている王冠が言ってそうなおじいさんだ。


「お主らはこの世界に来てすぐ。何も知らないだろう。長い話になるがしばし付き合え」


 そんな威厳のある声と共にこのおじいちゃんは喋りだした――


「――とのことだ。理解したか?」


 あ。思いっきり寝てた。

 やば。何も聞いてなかった。


 で、でもきっとユウジも寝てたに違いない。


「なるほどね。よくわかったよ。ね! ユウジ!」


 あ。

 ユウジ思いっきり起きてるじゃん。

 何言ってんだコイツみたいな目でこっち見てくる。


「そうだな。開幕から永遠と寝てたお前に分かりやすく説明してやろう」


 1、俺らは異世界転移した。

 2、この世界は魔王という強力な存在がいて人間たちはピンチ。

 3、その為に一人の勇者が必要。

 4、お前ら勇者な。


「分かったか?」

「分かりやすい!」


 なるほどね。

 とりあえず魔王を倒したらいいのね。


「ところでユウジ。一人の勇者って?」

「あぁ。太古から違う世界で勇者を見つけてくるって風習があるらしい。そして文献によれば毎回一人だけらしいんだ。だからこうして2人出てくるのは初めての事なんだとよ」


 なるほどね。


よろしくお願いします

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