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モブ道を極めし令嬢

作者: ゴロタ

書いたった。誤字脱字は諦めてください。

 



「きゃあっ! な、何をなさいますの」


 足を引っ掛けられて地面に転ばされた少女は、エスト男爵家令嬢アロマである。


「ふんっ。 お前みたいな身分の者がこの学園に入学してくるのは間違いなんだよ!」


 転ばせた相手はトリーニヒト侯爵家の子息エドガーだ。


「ううっ…………ひ、酷いですわ…………」

「酷い? 俺はお前に教えてやっているんだよ、身分というものをな!」

「この学園では身分になど囚われないと、生徒たちは皆平等であると……………」


 アロマが王立学園の建前を口にするが、エドガーが容赦なくアロマに現実を突き付ける。


「そんな訳がないだろう? お前が貴族とは烏滸がましい、貴族とは名ばかりの貧乏男爵家の者だろうがっ!」


「だろうがっ!」の部分でエドガーが、アロマの横に石を投げ付ける。


「きゃぁぁぁ~!」


 アロマの可愛らしい悲鳴を聞き付けたのか、それとも助けるタイミングを見計らっていたのか、丁度良いタイミングで王子のデルニコラスが二人の間に立ちはだかる。


「止めないかエドガー!」

「………っ!? デ、デルニコラス様…………何故?」

「アロマは私の………友人だ。 友人を助けるのも友の役目だ」


デルニコラスは友人と呼ぶのを躊躇った。しかしエドガーにアロマとの間に出来た繋がりを口にすることは出来ない。


「あ、ああっ…………有り難う御座います、デルニコラス様………」


うるうると潤む瞳で、上目使いにデルニコラスを見詰めるながらお礼を言うアロマ。


「無事かアロマ?」

「は、はい。デルニコラス様」

「………………………………」

 うっとりと見つめ合うアロマとデルニコラス、そして苦虫を噛み潰したようなしかめっ面で二人の様子を見るエドガー。





 うんうん。君の今の気持ちは痛いほど良く分かるよ、エドガー。


 だが所詮君はただの当て馬だ。

 君が王子の婚約者である姉君の、アリッサのために王子と良からぬ噂を持つ、男爵令嬢アロマを引き離したいから行った行動なのでしょう?

 ふふふ。他の誰も理解しなくても、私は理解出来てしまう。


 そう、この目の前で行われている茶番は、【エトワール♡略奪は蜜の味】っていう、頭のおかしいタイトルの乙女ゲームの王子ルートのイベントのひとつなのだから。

 ちなみに主人公は、もうお分かりでしょうけど、先に登場していた男爵令嬢アロマである。


 おっと。

 申し遅れました。 私はこの世界に転生した元日本人で、現在一般貴族(モ ブ)の令嬢グレイシーと申します。


 そして今までの彼等のやり取りは、私の目の前(・・・・・)で行われているのです。


 しかし私の存在は気付かれない。

 何故って? それは私の特殊スキル【モブ道】のお陰で、現在私は誰の目にも触れない空気のような存在になっているからなのです。


 このスキル、ネーミングは糞ですが、かなり優秀なスキルでして、これを使用する事により、普段は入れない場所にも楽々入り込めますし、色々な人の隠したい事やら何やらが覗き放題、見放題なのです(キリッ)!!


 ふふふ。 昔からこのスキルを使って様々な人達の恋とか愛とかを影ながら見守って(出歯亀)参りましたが、やはり主人公の恋は他とはひと味もふた味も違いました。


 アロマ………いえ、ここはアロマ先生とお呼びすべきでしょう。

 そうアロマ先生は実に素晴らしかった。

 清純そうでいて、その実お腹の中は真っ黒な少女でして、攻略対象の五人+αを手のひらの上でコロコロ転がしては、たまに摘まんで…………有り体に言うと超淫乱ビッチ少女なのです。


 確かにこの乙女ゲーム、ハーレムルートがありましたよ? でも所詮それはゲームでの話。

 ここはゲームの世界観やら登場人物を模しているけれど、もちろん現実世界です。 殴られたら痛いですし、刺されたら血も出ますし、攻撃魔法を受けたら死にます。



 後、この世界では男性のハーレムは特に何も言われないのですが、女性のハーレムってのは『はしたない』『ふしだら』と蔑まれる行いなのですが、アロマ先生の手腕には脱帽ですよ。


 国の権力者たちにゴロニャンして、文句を言ってくる者たちを黙らせる。 それでも黙らない者には物理的に永遠に沈黙してもらう。(流石に殺してはいませんよ?あしからず)


 ちなみにエドガーは安心、安定の当て馬枠の人物なので、退場しない程度にアロマ先生はお目こぼししているのが現状だ。


 それを影ながら全て見ていた私は、アロマ先生に戦慄を覚えた。

 自分の欲望に忠実で、使える手段は存分に使い、汚い行いも躊躇わずにやって、それでもその清純そうな外面を纏うのって並大抵の精神力じゃ有り得ない訳で。


 流石主人公なだけある。それが主人公補正のちからだったとしても、スッゲェェェェとしか声に出なかった。


 それから私は集中的にアロマ先生をずうっと観察している。

 そしてもうひとつの趣味である本の執筆活動もしてる。 観察したアロマ先生の行いを、フィクションとして本にしてる。


 タイトルは【悪女の本懐】【悪女の本質】【悪女の誘惑】【悪女の企み】【悪女の本音】【悪女の営み】【悪女の花道】【悪女の手腕】【悪女の肖像】など、シリーズ化しており、軒並みトップセールスを更新中!!


 空前の悪女ブームをも生んでおりますとも!!


 本日も取材と称して、こうして日々アロマ先生(悪 女)の近くに潜入しては、より良い題材探しに邁進している所であります!!




「ふむ。 次の題材は【悪女の天敵】とかも捨てがたいですかねぇ」



 私は趣味と実益を兼ねた隠密行動を止める気は毛頭無いのであった。





オマケのその後


グレイシー⇒ 懲りない。否、懲りる事象がまず起きない。【悪女】シリーズにて対に作家大賞をも授賞。しかしこれが原因で【悪女】シリーズが貴族の目に止まる。 その内容がとある男爵令嬢の周りで起きている内容と酷似していたため、その本人であるアロマ自身に目を付けられる(ただしグレイシー自身のスキルがあるため本人は捕まらない)


アロマ⇒攻略対象である王子や有力貴族の子息たちと、楽しく淫らに過ごす。

しかしひょんな事から自身の体験が本になって平民にだけで無く、貴族の中にも流れてると知り、大激怒。 作者であるグレイシーを死に物狂いで探すが本人は捕まらず、またグレイシーの家が実は公爵家であったため、迂闊に手が出せずにイライラしている。 そんなアロマを直ぐ横で、グレイシーが観察してたりする。


エドガー⇒姉上大好きシスコン少年。何度もアロマに挑んでは、王子に追い払われる不憫な奴。安定の当て馬。


王子⇒周りが何も見えていない。アロマしか見えない。アロマアロマアロマ。 惚れ薬か何かでも盛られたか? って並みにアロマしか見えていない。

実はヤンデレ予備軍。


その他出てこなかった攻略対象一覧


アロマと幼馴染みの子爵家子息、ロイド。

王子の側近チャラエロ伯爵家子息、ヴェイン。

騎士団団長にして侯爵、オルテウス。

裏家業の暗殺者、シャンタル。




シャンタルとはグレイシー宿命の好敵手になったかもしれませんね。


「何だか………人の気配がする…………」

ぎくぅ………。

「誰だっ? アロマの周りをうろつきやがって!」

げへぇ………ぐへぇ…………流石は暗殺者だ!!気配を読むのに長けてやがる!ここは一旦戦略的撤退をせねばならないな!!

「むっ!? 待て、こら!」

モギュッ………。

「にぎゃぁ! どこ触ってんの!この、変態!」

「お、女…………だと?」

ピロリロリ~ン♪

シャンタルは犯人の手掛かりを手に入れた。

男としての経験値が5上がった。

アロマへの心酔値が10下がった。





とかね。

あはは笑える。




ここまでお読み頂き感謝の極み。

連載エタってるので気分転換に書きました。

思い付きで勢いで書いたのでゆるーい目で読んで頂けたならば幸いです。


ではおさらばです!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 割と真剣にその能力欲しい
2018/10/13 03:59 退会済み
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