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この世とあの世の生活

この世とあの世の生活〜第11話〜

作者: 福紙

季節は夏。明日は七夕である。あちこちに笹の葉に短冊が飾ってあった。商店街を歩く、閻魔大王、こん助、白刃(しらは)。いつもながらのバンドマンと子供の組み合わせである。商店街に来た理由は、閻魔大王がお気に入りになった和菓子屋で和菓子を食べるためである。


「いらっしゃーい」


「うぬ。店主よ、汁粉(しるこ)3つよこすがいい」


「あいよー」


とここの和菓子屋はそこで食べるスペースもあり、長椅子に3人は座った。


「いつもながら、にーちゃんたち渋いねぇ〜。あいよー!冷たい汁粉だよー!」


「うむ」


「ありがとうございます」


「ありがとー!」


夏限定の湯呑みに入った冷たい汁粉はここの店の看板メニューである。


「さすがうまいな」


「甘ったるくないところがいいですね」


「白玉みっけ!」


極甘党の閻魔大王はメニュー表を見る。


「ぬぅ…和風ぱふぇと言うのもうまそいであるな」


「すごく甘そうですね…私はこれで十分です…」


「僕も食べますー」


とこん助は和風パフェを頼んだ。と、ここにも笹の葉に短冊が揺れていた。注文が来るまで暇だったので3人は短冊に書かれたのを読んだ。


「そうか七夕だったな…今年こそ玉の輿!!…欲が多すぎる」


「…彼氏ができますように…そんなのが複数ありますね。まだ逆も然り」


「お母さんが帰って来ますように…何か切ないですね」


するとそこに短冊とペンが置いてあった。


「ぬ?どうやら勝手に書いて結んでよいみたいだ。ならば我々も書くぞ。と言うか書け」


「強制ですか…」


「何書こうかな〜」


と3人は考える。閻魔大王はさらさらと達筆な字で書いた。


「“白刃が杏慈(あんじ)と結ばれますように…閻魔大王”」


「何を書いてらっしゃるんですか?!」


白刃は顔を赤くする。するとこん助も書き始めた。


「“白刃さんが素直になって杏慈さんと結婚できますように…こん助”」


「こん助ぇええーー!!」


「これは誰に向かって拝めばよいのだ?織姫か?彦星か?」


天照大神(あまてらすおおかみ)様じゃないですか?」


「何故あやつを拝まぬと行けぬ!阿弥陀(あみだ)にしておこう」


「なむなむ」


と閻魔大王とこん助はさっさと笹の葉に結ぶ。


「やめろーー!もっと別なものを!!」


と白刃は剥ぎ取る。そしてまた新しい短冊を渡す。


「いい加減にしてください!全く…!」


閻魔大王とこん助はコソコソとまた書き始める。白刃は難しい表情をして、やがて何か思いついたように書き始めた。閻魔大王とこん助はチラッと白刃を見て、さっさと短冊を結んだ。白刃も書き終えた。


「もう結んだのですか…」


「うむ。真面目に書いたぞ」


「はい」


と白刃は閻魔大王とこん助の短冊を見た。


「“獄卒共がきちんと働きますように…閻魔大王”“牛頭(ごず)さん、馬頭(めず)さんに現世の草がたくさん食べられますように…こん助”…自分の願いじゃないのか…?」


「自分のお願いより、他の人の事を願う事はいいじゃないですか!」


「そうだそうだ」


「まぁ…私もそうだがな…」


と白刃は短冊を結んだ。閻魔大王とこん助は白刃の短冊を見た。


“今年も家族一同健康で過ごせますように。白刃”


「普通だな」


「白刃さん、大家族ですからね」


「閻魔大王様、こん助。注文の品が…」


と白刃が席に戻った瞬間、閻魔大王とこん助はニヤリと笑い、自分の短冊をひっくり返した。


“白刃と杏慈の仲が親密になるように。 閻魔大王”


“白刃さんと杏慈さんが結婚できますように。こん助”


そして2人は席に戻った。その短冊はサラサラと風に揺られて涼しげな音を鳴らしていた。


地獄の閻魔庁に戻ると、獄卒たちも七夕の笹を飾っていた。すると半人半龍の杏慈が笹と短冊を持ってやって来た。


「白刃ー!」


「?!な、何だ?!」


「子供の亡者のところに行こー!七夕なんだしさ!」


「う、うむ…笹を持ってやる…」


と白刃と杏慈は子供の亡者がいる河原へ向かって行った。その姿を見て閻魔大王とこん助はニヤリと笑った。


さて、明日は七夕。メインイベントだ!

北海道は8月7日が七夕です(豆知識)


明日は7月7日。織姫と彦星が会える…かな?

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