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エミリア 2

すこし、グロいかもしれません。

この話でエミリアを終わらせて戦闘とか考えていたのですが、終わりませんでした。

ー エミリア ー


わたしはエミリア。にんげんと魔族のあいだで生まれた子ども。"忌み子"だ。


お母さまはラミアという魔物。

とっても綺麗ですごく優しいお母さまだった。わたしの自慢の紅い髪と眼と尻尾はお母さま譲りだ。


お父さまのことはよくわからない。わたしがまだ赤ちゃんの時に死んだとお母さまが言っていた。お父さまのことを話す時の、お母さまの顔はとっても嬉しそうで、でもすこし悲しそうな顔をする。


わたしとお母さまは二人、村から少し外れたところにすんでいた。なるべくにんげんに迷惑をかけないようにと、お母さまはいつも言っていた。


村にはときどき生活に必要なものを買いに行ったりすることがあった。

さすがに魔物のお母さまがいくことはできない。むかしはお父さまが行っていたという。いまはわたしが村に買い物をしにいく。


村に行くと必ず石を遠くから投げられる。


そのことをお母さまに話すと、悲しげな微笑と共に


「人間を恨んじゃダメよ?彼らには彼らの守りたいものがあるのだから。

それに・・優しい人もいるわ、あの人のようにね。」


最後のことば。お母さまはどこか懐かしそうな、愛しいものをみるような目をして言った。


それでも、わたしはなにもしてないのに、どうして石を投げるの?とは思ってしまう。


彼らにとって魔族は敵。その敵にうつつを抜かした忌まわしき人の子。

だからみんな嫌う。石を投げる。みんな嫌う。


幸運にも殺されたりしないのは、ここが都心からかなりら離れた田舎であり、彼らにとって利益があるから。


彼らは自分らでは作れないような高価な薬をほぼ無償でてにいれられるのだから。

お母さまは薬学と魔法が得意。その技術があったからこそ、平和に暮らせていた。決して贅沢はできない生活だったけど、大好きなお母さまと2人で過ごす、なんてことない時間が好きだった。


突然、非情にもそんなエミリアの小さな幸せなは絶望にかわる。


魔物嫌いで有名な対・魔の大手ギルド 闇祓い の幹部を含めた何人かのメンバーが、エミリアたちのいる村より西にあるちょっと大きな街メツボールに依頼で来たのである。


どうもその街は、龍によって何度か襲撃を受けていたらしく、闇祓いはその街の防衛もしくは、龍の撃破を求められた。


龍とは天災の代名詞のような高位の魔物である。力、魔法、体力何をとっても最高クラス。さらに雷を操る。龍は知性が高く。積極的に人間を攻撃することはあまりない。ただ1000年を超えると単体で国を滅ぼすことができるほどになり

過去にその逆鱗に触れた国が滅びたこともある。


今回、メツボールを何回かに渡って襲撃してるのはそこまで強力な個体ではなく比較的若い個体である。龍がどこにいるのか、なぜ襲うのか、そのギルドの情報集めの最中にどこからかエミリア親子のことがギルドに伝わる。

本来なら余計なことはしなくていいのだが、そこは魔物嫌いのギルド。わざわざ人数を裂き、エミリア達の村にきて襲ってきたのだ。


そんな危険な奴らが近くにいるとは知らずに家で木のテーブルを挟みながら母親と話すエミリア。


「ーでね。そのときあの人をこう言ったの。・・・あら?お客様かしら?珍しい。」


ふと、話の途中で外の方を見るお母さま。

ときどき、急病人がでたりしない限りここに人が来ることはない。


「・・お母さま?」


わたしの不安を感じ取ったのでしょう。椅子から立ち上がり、わたしの前で少しかがみ、目線の高さを合わせ、ふわりと笑いながら頭を撫でてくれる。


「大丈夫よ。エミリア」


その手の暖かさにお母さまの優しさを感じる。お母さまはいつもわたしの事を大事に思ってることが伝わる。


そして


バァァアアン!!


突然、家の扉を蹴り開けられる。


エミリアの母はエミリアを庇うように自分の背中の後ろにやる。


そして現れる鎧を着込んだ大男。

その背中にはその巨体でも隠しきれない巨大で無骨、黒いバトルアックス。

おそらく特殊な素材でできているのだろう。

すくなくともただの鉄のバトルアックスではない。その表情はどうみても友好的ではない。


『おまえらが噂の蛇親子か。』


どこまでも冷たく、深い憎しみがこもった声が頭に直接届く。


その瞬間、私は怖くなった。身体の芯にいきなり冷たい異物が入ってきたような気がした。

今までも悪意は受けてきた。

だが、これほどまでの全身に剣を突き立てられたような禍々しいほどの殺意は初めてだった。


男が使ったのは念話。


念話・・・自分の魔力を相手に飛ばし、自分の思ったことを届ける魔法。この世界でも言語の違いがあり、その問題をなくす為、開発された。思ったことを直接送るため、感情がダイレクトに相手に伝わってしまうのが長所でもあり欠点でもある。


動けなくなったエミリア。

何かを言おうと、それとも魔法を発動しようとのしたのか、口をあけたエミリアの母。


そして次の瞬間エミリアの視界から男が消えた。


次にその姿を見たのは、


目の前で大好きな母の体を、上半身と、下半身に、その巨大なバトルアックスで2つに分断した男が斧を背中に戻す瞬間だった。


一瞬遅れて、大好きだったお母さまの体から大量の血が吹き出す。それと同時にまだ立っていたお母さまの下半身が、そして飛ばされた上半身がドサリ、ドサリと床に落ちる。


あまりの突然の惨劇にショックで悲鳴をあげることも、息をすることもできなくなる。


こちらを見抜くような冷たい視線。死というものを明確に感じる。

恐怖と母親の無残な死によるショックにより、エミリアの意識が急速に薄れていく。


「・・・こいつはどうするかな?」


冷たい男の言葉。気を失いかけているにもかかわらず嫌に耳にすぅっと入ってくる。


そして、ふと思い出す。母がよく言っていた言葉。


『人間を恨んじゃダメよ?彼らには彼らの守りたいものがあるのだから・・・。それに優しい人もいるわ』


お母さま、こんな仕打ちをうけても、ダメなの?本当にやさしいひとなんているの??


そしてエミリアは完全に気を失った。



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