巨大ウサギ
完全に迷走してます
平凡は平凡なのだと、改めて痛感させられた。
腕力も、魔法も、武器すらない状況。あるのは焦げた服と財布くらいだ。
見上げれば満点の星空。現実逃避である。
「あぁ、きれいだなぁ・・・
・・・はっ!?いかんいかん。現実逃避してる場合じゃない!」
やるべきことは沢山ある。とりあえずは人を探すべきだろう。いろいろ聞きたいこともある。
あたり一面は草原。うしろにはでかい山が。
こんな所に人が一人でにやってくるとは思えないし、来る頃には餓死してるような気がする。
とりあえず動こう。
ウサギはなるべく避けて前に進もうと決めた春大。
そんな春大だが
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!ヘルプミ〜〜〜〜〜!!」
絶賛巨大ウサギに追いかけられている。
時は少し遡る。
少し歩くと、草だけでなく木も何本か見えた。
ただ、やつらはどこにでもいた。
さっきのところにかなりの数がいたため、それが全てだと思っていたが、かなり数が多いようである。
そんなわけで、周りには巨大うさぎがいるため少し緊張する春大だが、やつらは草を食うのに腐心している。
さっき木の陰に隠れてたやつに気づかず、かなりの距離まで接近してしまった。
あの時悲鳴をあげなかったことは奇跡に近い。
それでもやつは春大を気にすることもなく草を食べていた。
驚きつつもそろーりと、距離を取る春大。
その後、歩いて気づく。腹が減ったと。今は夜。そして昼飯以降何も食べてない。
目の前には肉がたくさん生息している。さす
がに生で食おうとはまだ思わないが。とりあえず腹は減った。
目の前の肉ども。春大の中ではすでに巨大ウサギは人畜無害。自分より下だと格付けした。
空腹と驚かされたすこしの怒り。そしてやつらはこちらに害を加えることはない。という、思い込みが混じり合い。
とりあえず、その辺で拾った棒で殴った。拳で殴らなかったのは特に意味はない。特に意味はない。
その結果があれだ。ちなみに棒は砕けた。手にはジーンと響くような痛みがあった。
驚いたことにやつらは1匹が走り出すと他の個体も走り出す。
つまり、いま春大とのうしろには100匹を超える巨大ウサギが爆走している。数もどんどん増えている。
一度止まってしまったら、ミンチになることは確実だろう。
ただ一つ、救いがあるとすればやつらの足はそこまで速くないということだ。
火事場の馬鹿力かはわからないが、普段動いてないにしてはかなり走れている。
30分は走っただろう。いつの間にかウサギ共はいなくなっていた。
「はぁはぁ・・くそ疲れた。いつか、くって、やる、はぁはぁ」
座り込み、荒い呼吸の中、悪態をつく。
とりあえず体力をすこしでも回復しようとしていたその時
「・・・/#_?%°#>8〆|<4○?」
何を言ってるのかはさっぱり分からなかったが
幼く、そしてどこか怯えてるような声が聞こえた。




