平凡は平凡
気絶から回復した俺はとりあえず状況確認をするとこにした。
アホみたいにでかい山に向かうのはバカなので、とりあえず草原の方に向かうことにした。
しかし、5分もしないうちに変な音が聞こえ始めた。モッシャモッシャと。何かを咀嚼するような。
慎重に歩みを進める。さらに少し進む。そして唐突に気づく。そこには
1メートルは超えるだろうウサギらしきやつらがうじゃうじゃといた。
「・・・。」
とりあえず無言で引き返す。元の場所まで一直線である。
(あれ?!ウサギってあんなでかかったっけ?!)
なんとかばれずに?元の場所まで戻ってこれた。
未だに心臓の鼓動がおさまらない。
あんなでかいウサギは少なくとも地球上にはいないだろう、と春大は考えた
結論 ここ、地球じゃないよね?
「まじかよぉおおおおおお!!!」
結論が出た途端、無意識に叫んでしまった。小声でだが。
ひとしきり悶絶した後、冷静に考え
(もしかして、なんかチートとかできるんじゃないか?)
彼はライトノベルやアニメを結構読んでいる。友達がいなくては必然的にやることは狭まってくるわけで。
「とりあえず自分の力を確認するか」
そう言い、おもむろに力を貯め
地面を殴った!
「いでぇえええええええええええ!!」
今度は我慢できなかった。あたり一面に響き渡る春大の叫び声。
それもそのはず、土だと思い殴ったその場所。その土のすぐ下にはかたーい岩が埋まっていたのだから。そこを力一杯殴ってしまったのだ。
少々悶絶していたが、ふと気付く。自分が今かなりの大声を出したことに。
まだ痛みは残っているものの、春大は周囲を警戒する。巨大ウサギと春大との距離はそこまで離れているわけではない。
そんなとこで叫んでしまったのだ。
しかし、いくら待っても巨大ウサギはやってこない。
「・・・来ないな」
立ち上がり、やつらがいた方向を見るが、なんの気配も感じない。おそらくやつらは春大の叫びなぞ気にせずに草でもガジガジ食ってるのだろう。
なら、こちらも気にする必要はないだろう。そんなことより、自分のことだ。
薄紫色に変色してる春大の右拳。
「骨、折れてないよな?」
いろいろ自分で触ったり、動かしてみた感じとりあえず骨は大丈夫だろう。一安心。
あんなどでかいウサギがいるような世界で利き腕が使えなくなる事態は避けられたようだ。
「ふむ、では魔法がチートということか」
ポジディブである。とりあえず、やれそうだと思ったことはやる。それは昔からの習慣だ。
ただ、思ったからといって出来るか、出来ないかはまた別の話である。
春大はどちらかといえばできない確率の方が今までの人生で圧倒的に多かった。
そんな春大が異世界に来たからといって、いきなり魔法が使えるようになるかというと
「・・・だぁあああああ!」
否である。
やはり、平凡。
どこに行っても平凡は平凡なのだ。
鳴上 春大 平凡な男は巨大なウサギがうじゃうじゃ湧いてる異世界の草原にただ1人。もう生きていける気がしません。




