プロローグ
長編連載として完結させたいと思います。
アルビオンにて、戴冠式を終え一大国の君主として即位する男がいた。
見目麗しい国王は、年の頃も若く勇敢で知性に満ち溢れた人物だった。
王権神授説を象徴するがごとく、天から二もつもを与えられ、歴代の王の中でも飛び抜けて優れていた。
良き為政者として民草から敬われ、家臣からは十二分に慕われていた。
読んで字が如く秀でている若き国王の元には、当然山のように縁談話が舞い込んでくる。
国内の貴族は勿論、隣接する大国の姫、交易が盛んな国々や大国の密にあやかろうとする小国までもが自慢の娘を、躍起になって売り込んでくる。
若き王には幼少の頃より采配された姫、それと縁戚を結ぶ必要性が高い者たちを妃とした。
勿論かの姫たちも高貴な血筋と、誰もが振り返る美貌を兼備した者たちである。
この世に誕生すると当時に、王の妃になるべくして教育された彼女たちは誰を娶っても王に相応しい女性であった。
私情を交えず、国がため民がため己の生涯を捧げんとする若き君主は、利害を最優先して彼女等を選別した。
だがしかし、この絵に描いたような善良なる国王には最愛の人がいた。
彼がただ一度だけ破戒し、護衛もなしに街へ出向いた時分物静かな少女を目にした。
彼は一瞥した瞬間、少女に恋をした。