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国道で寝てたら人生終わったと思ったら始まった件 〜黒糖飴を奪い返したら大富豪に拾われた〜  作者: Nao9999


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第2話:試験の意味

第2話です。


あの出会いは、偶然ではなかった。


黒糖飴ひとつで始まった出来事の裏にあったのは、

「選ばれる側」と「選ぶ側」の存在。


静かに動き出す物語を、ぜひお楽しみください。

エレベーターの中は、異様なほど静かだった。


高級ホテルのような空気。

いや、それ以上かもしれない。


隣に立つ男――さっきまでホームレスだったはずの人物は、何も言わず前を見ている。


俺は横目でその姿を見ながら、さっきの出来事を頭の中で何度も繰り返していた。


黒糖飴。

若者たち。

あの視線。


「……なあ」


思わず口を開く。


「最初から、こうなるつもりだったのか?」


男はすぐには答えなかった。


エレベーターの表示が一つ、また一つと上がっていく。


やがて、小さく笑った。


「どう思う?」


質問で返された。


その瞬間、確信に変わる。


やっぱりそうだ。


「……試してたのか」


俺の言葉に、男は初めてこちらを見た。


その目は、さっき路上で見たものとはまるで違う。

鋭く、冷静で、すべてを見透かしているような目。


「もしあのまま寝たふりを続けてたら、どうしてた?」


淡々とした口調。


「……何もしなかったと思う」


「そうか」


それだけ言って、男はまた前を向いた。


沈黙。


だがその沈黙が、妙に重い。


やがてエレベーターが止まり、扉が開いた。


広がっていたのは、先ほど見たジュエリーフロアとは別の空間だった。


無機質な部屋。


ガラス張りの会議室のような場所。

奥には数人のスーツ姿の男女が座っている。


全員が、こちらを見た。


「来たか」


その中の一人が立ち上がる。


「今回の候補はこの人?」


候補。


その言葉に、背筋が少しだけ冷たくなる。


男――社長は、軽くうなずいた。


「合格だ」


あまりにもあっさりした一言。


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


思わず声が出る。


「何の話だよ」


俺の問いに、社長は振り返った。


「簡単な話だ」


そう言って、ゆっくり歩いてくる。


「人間を見るテストだ」


やっぱりそうか。


だが――


「合格って、何にだよ」


社長は、ほんの少しだけ笑った。


「お前には、選択権がある」


その言葉に、空気が変わる。


「うちで働くか――」


一歩近づく。


「それとも、何も知らなかったことにして帰るか」


一瞬、息が止まる。


「帰る……?」


「もちろん、記憶の整理はさせてもらうがな」


さらっと、とんでもないことを言う。


「は?」


「冗談だ」


そう言いながらも、その目は笑っていない。


本気かどうか分からない。


だがひとつだけ分かる。


ここは、普通の世界じゃない。


「……なんで俺なんだよ」


絞り出すように言う。


社長は少しだけ考えるように視線を上げて――


答えた。


「黒糖飴だ」


「……は?」


「大した価値はない。だが、あの状況で動ける人間は少ない」


静かに、だが確実に響く声。


「損得じゃなく動いた。それが全てだ」


言葉を失う。


そんな理由で――


人生が変わるのか?


「どうする?」


社長の問い。


周りの視線が一斉に集まる。


逃げることもできる。


だが――


ここで帰ったら、きっと一生後悔する。


俺は、ゆっくりと口を開いた。


「……もしやるなら、何をするんだ?」


社長は、はっきりと答えた。


「顔だ」


「……は?」


「うちのジュエリーの“顔”になれ」


頭が追いつかない。


「広告塔ってやつだ」


やっぱりそれか。


だが、ただのモデルじゃない。


何かが違う。


「お前は、あの場所に立てる人間だ」


そう言って、社長はガラス越しの奥を指さした。


そこには――


さっきのフロア。


光り輝くジュエリーと、人々。


「選ばれた人間だけが立てる場所だ」


その言葉が、胸に刺さる。


選ばれた。


その響きに、少しだけ心が揺れる。


「……やるよ」


気づけば、そう答えていた。


社長は満足そうに笑った。


「いい顔だ」


その瞬間。


俺の中で、何かが動き出した。


国道で寝ていたはずの人生が――


音を立てて、変わり始めていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


第2話では、「なぜ主人公が選ばれたのか」を描きました。


ただの幸運ではなく、“見られていた”という事実。

そして、これから始まる新しい世界。


次回は、いよいよ主人公がその世界に足を踏み入れます。

見た目、価値観、そして生き方――すべてが変わっていく過程を描いていきます。


よろしければブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

引き続きよろしくお願いします。

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