第74.5話 ステータス測定器
ユキチのを見て、あたしも早く触ってみたかったんだよね。ワクワク顔で板に触れるアリシア。ユキチの時と同じく、文字が表示される。
ID:PRC6982930192001231U653
名前:アリシア=ラフェル*
種族:人間
性別:女
年齢:15
レベル:16
職業:巫女 Lv6
HP:242/242
MP:762623/762715
攻撃力:21
守備力:15
筋力:13
体力:62
魔力:231
素早さ:53
身長:157cm
体重:53,7kg
戦闘スキル:投擲 Lv1
補助スキル:神聖魔法 Lv7、魔法改変 Lv5、原初魔法 Lv2
捕捉事項:魔王の加護、神の加護、竜の加護、シャルルの刻印、従魔契約、子竜の保護者
「良かった! あたしの職業、聖女じゃなかった!」
第一声はアリシアの安堵の声。
「確かに。でもこの巫女って職業も聞いたことないな。シスターでもないんだろ? 何の仕事してるんだ? おまえ?」
喜ぶアリシアに容赦ないユキチのツッコミ。
「教会の役職でも聞いたことないですね」
ギルも首をかしげる。
「それにしても、おまえ、加護もらいすぎじゃね? 竜の加護はルメールのお母さんからもらったのかなってわかるけど、魔王に神って……。色々おかしいだろ」
「うーん。あたしも全く心当たりがないんだよね。魔王にも神にも会ったことないし。アルドラが実は神だったとかいうなら分かるけど、そういうわけでもなさそうだし。本当に何なんだろうね」
ユキチのコメントに、アリシアも頭を抱える。
「それに、このMPの高さ。異常だよ。ユキチは2ケタとか3ケタじゃなかったか?」
ルイスがアリシアのMPの項目を指さす。この数字が正しければ76万あるらしい。どう見ても他と数字の桁が違う。
「確かに。しかもちょっと減ってる……なんでだろ――あ! ルメールが食べてる文かな」
アリシアの頭の上では、相変わらずルメールがちゅぱちゅぱと魔力を吸っている。
「それも少しはあるかもだけど、多分ここに移動したからじゃないか? おれは移動するたびに魔力枯渇になってるけど、MPが化け物のアリシアには楽勝ってことなんだろうな」
ユキチの解説に納得する一同。
「じゃあ、次はおれが触っていいかな?」
そう言うとギルが板に触れる。ギルも、実は試したくてウズウズしていたらしい。
ID:EUA1293812222123497U223
名前:ギル=ガルナーク*
種族:人間
性別:男
年齢:27
レベル:62
職業:格闘家 Lv17
HP:2471/2471
MP:424/424
攻撃力:312
守備力:110
筋力:321
体力:392
魔力:103
素早さ:172
身長:196cm
体重:98,0kg
戦闘スキル:体術 Lv12、長剣使い Lv6
補助スキル:気功 Lv9、身体強化 Lv6、ゴーレム技術 Lv3
捕捉事項:大司教、老化42%、暗示、聖地巡礼者
「62って、なんかレベル高くない?」
「いや、レベルだけじゃなくて他の数字も高いぞ」
ルイスとユキチがその数字の高さに目を丸くする。
「ふふふ。修練の結果だな。こういう風に数字で見れるのはいいものだな」
ギルも自分の数字にうれしそう。
「あれ、でも職業が大司教じゃなくて、格闘家になってるよ。しかも格闘家としてのレベルも高いし」
「うん? 本当だ。まぁいいんだよ。ほら、捕捉事項に大司教って書いてあるし、細かいことは気にしない。ってか、おれはこっちが気になるな。なんだこの暗示って……」
(あ、これヴェルドットの魂の命令上書きした時のやつじゃない)
顔がこわばるアリシア。
「さぁ……なんだろうね。ひゅーひゅー」
鳴らない口笛を吹いて、とぼけるアリシア。
「それより、ガルナークってかっこいい家名ね! どこかの家柄なの?」
「いや、おれは孤児だったから。自分で適当につけたんだ」
「そうなんだ……」
気を使ったつもりが、逆に微妙な空気が流れてしまう。
「よし、じゃぁ、つぎは私だな」
場の流れを切り替えるように、ルイスが板に触れる。
ID:UQT2198735888974201U836
名前:ルイス=ガガラク*
種族:ドラゴニュート
性別:女
年齢:21
レベル:28
職業:戦士 Lv8
HP:2107/2107
MP:5/5
攻撃力:183
守備力:271
筋力:239
体力:413
魔力:3
素早さ:77
身長:235cm
体重:142,6kg
戦闘スキル:長剣使い Lv6、盾使い Lv7
補助スキル:鉄壁 Lv5、パリィ Lv4、気功 Lv1
捕捉事項:竜の眷属
「おお……なんというか……地味?」
言ってはいけないことを言うアリシア。
「うう……いいんだ。あたしはどうせ一般人ですよ……」
「そんなことないぞ。ルイス。きみはまだこれからじゃないか。それにほら……あー、体力は既におれよりも高いぞ。このステータスは、皆を守るタンク役としてはとても優秀に見えるけどな」
ギルもフォローに回る。
「そうだよ!戦いのときはいつもルイスが守ってくれるから、あたしたちは気兼ねなく戦えているんだよ!」
軽口をたたいた口で、ルイスをほめるアリシア。ルイスにもちょっと元気が戻ってくる。
「そうかな……わたし、がんばるよ」
涙目でつぶやく。
「えーと、ルメールはやる気なさそうだから、ラムネで最後だね! どんなのがでるかなー」
気持ちを切り替えるのが早いアリシア。ぷるっとラムネが伸ばした触手が板に触れる。
ID:JCH5189861238691826U983
名前:ラムネ=ラフェル*
種族:ホーリースライム
性別:男
年齢:4
レベル:21
職業:ポーター Lv7
HP:42/42
MP:576/729
攻撃力:63
守備力:73
筋力:87
体力:252
魔力:826
素早さ:107
身長:35cm
体重21,7kg
戦闘スキル:なし
補助スキル:物理無効 Lv10、魔法無効 Lv4、パリィ Lv7、ゴーレム操作 Lv5、気功 Lv3、魔素操作 Lv3
捕捉事項:アリシアの従魔、分裂、生命力吸収、魔力吸収、寄生
「ん? ホーリースライムってなんだ? ただのスライムじゃないのか?」
「あぁ、それはたぶん、グラスノヴァでゴーレム戦にむけて、アリシアがラムネに大量の聖水を飲ませまくったからじゃないかな」
ユキチがギルの疑問に答える。
「そんなこともあったわね。それにしても種族って変わるものなのかしら? 職業が変わるなら分かるけど」
アリシアもすっかり忘れていた昔の出来事。
「スライムは適応力が高いっていうしな。あんだけ聖水飲ませれば体液もほとんど聖水になって種族も変わっちゃうんじゃないか」
「なるほどね、つまり毒水を大量に飲ませれば、ポイズンスライムになるのかな」
「……かもな。――でも、絶対、試すなよ!」
「ぷるぷる!」
アリシアの恐ろしい考えに、ユキチもラムネも猛反発する。
「それにしても、ラムネはまた、補助スキルもりもりだな。物理無効、魔法無効ってなんだよ。最強じゃねぇか。こんだけスキルあったら、どおりで攻撃が通らないわけだよ」
ユキチは、ゴーレム戦でギルを守っていたラムネを攻撃したときのことを思い出す。ユキチとアリシアの攻撃は全て弾かれた苦い思い出。
「HPが低いけど、そもそもダメージを受けないから、気にならないし。しかも地味に気功と魔素操作のレベルおれより高いし。一緒に修行始めたのに、なんかずるい」
ぶつぶつ言うユキチ。その脇ではルイスも凹んでいる。
「うう……ラムネがいれば、タンクっていらないんじゃないかな……」
「そんなことないさ」背中をさすって慰めるギル。
「それにしても、この名前の最後の米マークは何だろうね。あたしにもついていた気がするけど」
落ち込んだ人たちは無視して、どうでもいいことを気にし始めるアリシア。
「それはこの星の住人ということですよ。本来はこのシステムに触れることなく生活する予定の方たちです」
食事と共に現れるアルドラ。
「ちょっとまって、おれにはそのマークなかった気がするけど」
「――はい。魔法の首輪をしている現在のユキチさんは、完全に私たちの仲間。裏を返すと、この星の住人ではありません。――とはいえ、記号的なものなので、あまり気にする必要もないですよ」
「なんだよ、最初にそう言ってくれよ。なんかもう帰れないとこまで来たのかと思って、肝が冷えたぜ」
ユキチのコメントにアルドラは表情を暗くするが、それ以上は何も言わない。




