第3話 奴隷商館
この世界では奴隷が存在する。
奴隷の扱いは国によって様々だが共通するのは、奴隷になるのは亜人が多く、人間の奴隷は少ないことだ。
奴隷になる人間は余程の事情がある場合のみで、犯罪や借金などの理由では奴隷になることはない。
しかし亜人の場合は問答無用で奴隷とされてしまう。
それほどまでにこの世界では亜人の地位は低い。
クロウは王国のとある奴隷商館にやってきていた。
王国のとある都市にある奴隷商館。
大通りから外れた場所にあるその建物は外観は立派な造りで、ここが奴隷商館と知らなければ貴族の館かと思う程だ。
クロウがここを選んだのはこの奴隷商館が亜人の扱いが他よりもまともという評判を聞いたからだった。
「いらっしゃいませ」
店に入りスーツ姿の店員に奴隷について説明を受ける。
「早速奴隷を見せて貰おうか」
「かしこまりました」
奴隷のいる部屋へ案内される。
部屋に入ると一列に並ぶ奴隷たちが目に入る。
綺麗に手入れされた毛並みと健康的な身体。
話に聞いた通り奴隷の亜人たちは酷い扱いを受けていないようだ。
奴隷一人一人を鑑定していく。
この世界にも鑑定魔法や魔導具は存在しているがクロウの持つ鑑定魔法はそれよりも上位のもので、基本的なステータス以外にも潜在的な能力まで見ることができる。
「この二人と話がしたい」
クロウは二人の奴隷を選ぶ。
店員と他の奴隷を下がらせ部屋に残ったのはクロウと二人の奴隷。
「僕は君たち二人を迎え入れたいと思っているんだけど、どうかな?」
「私は問題ありません」
「ウチも構わないぜ」
こうしてクロウは羊の奴隷と白熊の奴隷の二人を購入した。
奴隷商館をあとにしたクロウと二人の奴隷。
奴隷商館のある場所は人がほとんどいない寂れた所にある。
道から外れた物陰に移動すると、
「少し目をつぶってて」
その場からクロウと二人の奴隷の姿が消える。
二人の奴隷が目を開くと、
「ようこそ。今日からここが君たちが過ごす場所だよ」
クロウの拠点である浮遊島に転移していた。