41.
「正式な捜査とは、いきませんが」
と、電話の向こうの数登珊牙は続けて言っていた。
「杵屋さん自身が駐輪場へ、自転車を置く場合と。絵卯さんに自転車を貸して、置く場合と。など。いろいろ試してみて、追跡や駐輪禁止などが、どうなるのか。見ておくのが、いいかもしれません」
「やっぱり」
と依杏。
「小型カメラとか、付けておいた方がいいですかね?」
「ご自由に」
と数登。
彼のいつもの微笑が、依杏の眼に浮かぶ。
で、依杏が今の場合、一番訪問しやすそうなのは、萩原洋一が勤めているという図書館だ。
まだ、この時点で分かっていないことがある。
五堂絵卯も、樅ノ木有人も、そして依杏自身も含めて三人だが、現場で言うのであれば、2人。
この2人は、いまの時点で五堂忍を殺したのではないか、とされている、「白い女性のゲームキャラクター」を見ていない、という。
ということは、6人のうち2人は抜けたので、「見た可能性のある人は」4人に絞られる。
その4人の中に、萩原洋一が含まれているのは確実。
依杏が訪問したとして、その萩原本人に会えるかどうかは、彼女の運にもよる。
ただ、何も分からないで、手ぶらのままいくというのも、いまいちだ。
と依杏は思いつつ。




