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絢月咲は、五堂絵卯と多少なりとも、つながりがある。というだけで、現時点ではそこが一番いまは良い点なのだが、絵卯自身は極度に顔バレをしたくないらしい。ということについて。
「困っている、という情報でしたよね。絵卯さん」
と依杏。
「ええ。今回の事件で、目星を付けられている女性2人の枠内へ、彼女が収まっているというのとは、また違うことだと思いますがね」
と数登。
さて、それはなんだろう。
検索に検索を入れてヒットしたのは、とある事務所。
黄褐色の四角い建物、恐らく賃貸マンションだろう、その1階と2階で、経営を構えているらしい事務所。
こちらは「黒敷」地区で、九十九社のある西陣からは車で10分程度。といった距離だろうか。
依杏は相変わらず、同じくいろいろな事情で、九十九社に居ることになった八重嶌郁伽と、シェアハウスだった。
で、場所は割とそこは、社に近いので、いずれにしろ「海晴」地区よりは、黒敷であれば依杏にとって、移動の範囲内ということになる。




