20.
「会社関連の話し合いって、新聞記事には書いてありますが」
と依杏。
「お屋敷があるとなると、これまた宝物系の匂いがしてくるのは、私だけでしょうか」
「資産家であり、様々なゲーム事業も展開していたそうですからね。五堂忍さんは」
と数登。
「凶器を屋敷からくすねる、という方法も、あるにはありますが。現場に居たとされる6名が各々、庭園に居た時間と屋敷に居た時間と、あるようですから。詳しい情報は分かりませんが、宝物説で話を進めるのなら、彼らのオフィスに並べる陳列品を、忍さんご自身の屋敷で選ばせるために招待をした、ということも考えられますね」
依杏は更に、検索に検索を入れてみる。
問題の「海晴」地区までは、かなり遠い。
その地区の治安情報(こちらは全く信用が出来ない)と、実際に検索出来得る限りの土地の情報を見て行っても、あまり凶悪事件の起こるような土地では、なさそうに見えた。
正式な捜査機関での、現場に居た6名への聴取はすでに終わっているわけで、そのぶん九十九社側として手に入る情報にも、ハンデが出るわけで。
「五堂忍さんて、狙われやすそうな印象を受けますね。こんな庭園造っちゃっているし……」
と依杏。
数登は苦笑して言う。
「いずれにしろ現段階では、何もかも曖昧ですね。忍さんは、庭園の」
と示しつつ。
「見取り図でいけば、このあたり。黒色のドームのところで。中にもテーブルと椅子があったようですね」
「15時から16時の間、ずっと忍さんには変化がないように見えたんですかね?」
「死んでいるのが分かったのは、16時以降だそうですから。記事でいけば、7人目と忍さんを除く5名は、忍さんが刺されたところを見ていない。ということになりますね」
「ただ、そのうちの男女2人だけ、白いゲームキャラクターを現実に見て、その人が怪しいとされている。ということですね」
「ええ。凶器や、そもそも忍さん以外の方々が凶器、刃物だろうとありますがね、それを持っていたのかどうかすら不明ですからね」