13.
賀籠六絢月咲。
「そう。○日はそうだった。空中庭園はあくまで通称だけれど、こっちの写真にもある通り」
緑豊かな場所。というのが、杵屋依杏の第一印象で。
実際、絢月咲も、そのように説明した。
九十九社のある西陣地区からは車の距離で1~2時間ほどの場所。
温泉やトレッキングなどに相応しい地形の多い、「海晴」地区。
五堂忍は事業展開の得意な人物で、所有地の一角に庭園を造った。
「集まった人、五堂姓が多いんですね。全員ではないみたいだけれど」
と依杏。
「そう。とにかく五堂忍さんの、庭園だったわけ」
「実際に賀籠六さんは、ここへ行ったことは?」
と数登珊牙。
「ないの。そもそも絵卯ともあまり交流はないけれど、他の5人とも、もっと接触がない」
と絢月咲。
「新聞記事によれば……」
と依杏。
「庭園とつながる屋敷があって、庭園とテラスは屋外。○日当日、五堂姓の皆さんと他2名、ですね」
「ええ」
「会社関連等の話し合いで、テラスに集まっていた、とあります。開始は15時からで、屋敷のほうに数人固まって移動した時間あり、ということみたいです。基本的に、五堂忍さんはテラスを動かなかったっぽいですね。五堂絵卯さんもテラスをあまり、動かなかった」
「そうらしい。特に、忍さんはゲーム事業にも手を出していた人だったから。絵卯とは、話す時間が長かったみたい」