9キス♡女子更衣室と露天風呂
「……これは?」
水着用ハンガーについたままの水着を手に怪訝な表情で見つめるリーリエ。
「水着だよ?」
「紐ですか?」
「水着だよ?」
「紐ですよね?」
「水着だよ〜♪」
「じゃあ着てください」
わたしの体にハンガーをあててくる。
紐でした!
「ごめん! わたしが悪かった!
ちゃんとしたのもあるから!
紐は初夜の時によろしくね!」
「着ません」
そっぽを向くリーリエ。
むう。
いけず。
女子更衣室は至福の空間である。
そう!
女の子が好きな女の子であるわたしにとって!
女子更衣室や温泉は天国なのである!
右を向いても左を向いても!
大中小がいっぱい!
大事なところは開けっぱなしのロッカーの扉や籐の椅子でギリギリ見えません♪
ニヤついた顔で見るとさすがに警戒されるのでにっこりポーカーフェイスをしっかり維持するのも大変だったり。
そんなわたしのことを知っているリーリエはタオルをしっかり巻いて器用に着替えてるし。
くそう! こんなことならまだ秘密にしておけばよかった!
でもタオルの隙間からちらりと見える花園はこれはこれでパラダイス〜♪
人族だけじゃなくて妖精や獣人の女子たちの着替えをたっぷり堪能できました。
イリスも連れてくればよかった!
「わお♪
リーリエさすが!
なんて素晴らしいスタイル!
しっかり引き締まった肉体美になんてわがままなボディ!
行き交う男どもを釘付けだね!」
リーリエの水着は紐ビキニ!
じゃなくて、クロッシー三角ビキニ。
ボトムはローライズにフリルがついてるタイプ。
ホワイトシルキーブロンドの髪色に合わせて明るいクリーム色にしてみた。
見ようによっては肌の色っぽくて見間違えそう♪
どちらも布面積少なめで、眼の薬です!
最初にハードル高めのを用意しといたから抵抗感なく着てもらうことができた♪
作戦通りだぜ!
わたしもビキニ。
お胸はあんまり自信がないのでオフショルダーなフレアトップにしたんだけどあんまり隠れてないじゃん!
ヒラヒラがかわいいのだよ♪
形のいいおしりはそれなりに自信があるからボトムは脇ひも結び。
足長効果もバッチリ!
ストロベリーブロンドの髪色に合わせて明るいピンク色。
わたしもリーリエもフェミニンなデザインで揃えてみた♪
「そんなに見ないでください」
「スタイルいいなあ……
わたしもそれくらいあったらいいのになあ」
この大きなサイズ差はいかんともしがたし……
ちょっと悲しくなってお胸に手を添えて寄せてみたり。
「わたしは……好ましいかと」
「おお? 好ましい?
もしかしてリーリエちゃんはわたしくらいのサイズがベストなのかな?
ていうか、やっぱり女の子好きだよね?」
「…………」
いつもと同じようにそっぽ向いたけど否定しない!
やっぱりそうなんだね!
「さあ! 夕方まで楽しも〜♪」
そんなに時間がいっぱいある訳じゃないからね。
駆け足で次々行くよ!
滝のプール♪
流れるプール♪
ウォータースライダー♪
二人乗りボートスライダーはやわらか密着感が最高♪
遊び疲れて流れるプールで大きな浮き輪におしりを突っ込んでゆらゆら♪
離れないようにリーリエの手をしっかり握っておく。
「それにしても人がいっぱいだよね。
波のプールなんてモンスタースタンピードかっていうくらいにめちゃくちゃだったし」
「もみくちゃにされてしまえば良かったんです」
「ひどいなあ。
痴漢を察知できないぽんこつリーリエのたっぷんに手を伸ばす不届きな輩を追い払ってあげたっていうのに」
「あれは……その、ありがとうございます」
「どういたしまして〜♪
子どもたちも楽しそうで我が国も安泰だねえ」
「ところで、あれはなんでしょう?」
「な〜に〜?」
「ほら、あれです。
子どもたちが首につけている星形のマーク。
貼り付けているのでしょうか」
「ほんとだ。
あの子も、あっちもこっちもパッと見、2人に1人はつけてる?」
「赤や青や黄色に白だったりカラフルですね?」
「子どもたちの間で流行ってるのかな?」
「小さな子どもだけではなくわたしたちと同じくらいの若者もいますね?」
「ほんとだ。大人も少しだけいるね?」
「そういえば養護施設の子どもたちも少ないですがつけていましたね?」
「そうなの? わたしは気づかなかったなあ?」
「6つの頂点があるから六芒星ですね。
あの子の星を見てください。
白から赤に変わっていきます」
隣でぷかぷか浮き輪に乗っていた小さい女の子の首についてる星の色がリーリエのいう通りに変わった。
目が合ったからにっこりして手を振ると微笑み返してくれた。
この子も将来が楽しみかわいいなあ♪
あ! あそこの四人組もかわいい!
あっちもこっちもかわいい子がいっぱい♪
「ほんとだ……なんだろねあれ。
後で諜報部の子に調べてもらおっと」
子どもたちのトレンドも知っておけばきっと何かの役に立つでしょ!
最後は水着で混浴露天風呂♪
「プールデートが楽しかったあ♪」
「デートじゃありません。
同行しているだけです」
「ええー? わたしと遊ぶの楽しくなかった?」
「……楽し……くないです」
眉をひそめてる。
確かにずっとむすっとしてたし、いつもと変わらないクールな顔してたもんなあ。
「む〜。
いつになったらわたしのことを好きになってくれるかなあ?」
「永遠になりません」
「でもさ?
早くわたしのことを暗殺しないと10000ちゅ〜ポイントが貯まっちゃうよ?
昨晩で30ちゅ〜ポイントになったしね!」
「これ以上、ポイントを差し上げるようなことは致しません。
ところで、サ……
お聞きしたいことがあります。
先ほどの騎士との会話、わたしの耳にも聞こえましたが、子どもたちに何か不利益でも?」
「おや?
今、わたしの名前を呼ぼうとしてくれた?
遠慮しないで呼び捨てで呼んでくれていいんだよ♪」
「しません。
さっきの話を教えてもらってもいいですか?」
「調べてみないとわからないけどね?
なんだか怪しいとは思うよ?」
「そうですか。
あの養護施設はわたしも大変おせわになりました。
院長先生にも大恩があります。
わたしにも手伝えることがありましたらご指示ください」
「おお! 珍しく鼻息荒いね!
実は情熱的なところもあるんだね!
その立派なものみたいに!」
「ふわ!?
な、何をするんです!?
他にも人がいるんですよ!?
ちょっ!?
やめ!?
はわ!?
やん!
やめてください!
もう時間ですから帰りましょう!
今夜こそ暗殺しますから!
覚悟してください!
いいですね!」
真っ赤になって珍しく大きめの声で詰め寄ってきた。
確かに注目の的。
ちょっとやりすぎちゃったかな?
てへ♪
「あんまり顔を近づけるとちゅ〜しちゃうよ?」
「ふ、ふざけないでください!
先に帰ります!」
「待ってるよ〜♪」
ほんとは二人で一緒にいきたかったんだけど、数時間後には会えるからいっか♪