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6キス♡太ももと香り

「あ、あの! 娘だけでも連れて逃げてください!」

「ママ!?

お姉ちゃん、ママも助けて!」

「大丈夫! 二人とも助けるからね!」


黒狼は?

視界に入ったわたしを見て、唸る黒狼が突進してくる!

突進する勢いを止めることなく、わたしを切り裂こうとする鋭い爪!

何をそんなに怒っているんだい?

って、拘束されてたんだから怒って当たり前か!


「いよっと!」


ガッツン!


殺人的なまでに鋭い狼の爪は振り上げたわたしの左前腕でしっかり止まっていた。

もちろん無傷だし痛くない。

だけど、あまりの衝撃と重量に舗装された石畳が割れて、わたしの体ごと沈み込むほど!

ふむふむ。衝撃をうまく殺さないとよそに伝わっちゃうのね?


ガアアアアアアア!


「あら? さらにお怒りのご様子?」


高らかに吠え声を上げた黒狼は、よだれを撒き散らしながら大口開けて咬みついて来た!


「なんだか目が血走ってない!?」


三人まとめて食べるつもりかな?

目の前に迫る牙が鋭い!


ガッツン!


「マナーがなってませんなあ?

お客さん?」


さっきリーリエに言われたことは棚に上げておこう!

黒狼の恐ろしいはずの鋭い上顎の牙はわたしの左手で止まっていた。

下顎の牙は右手でしっかり受け止めている。


黒狼はわたしを咬み砕きたいんだよね?

がぶがぶと顎を動かすけど、両手でしっかり押さえてるから痛くもないし刺さりもしないからね!

あとは倒すだけなんだけど!

それはわたしの役目じゃない!


「リーリエ!

あれ? ……なぜに転んでいるの?」

「気のせいです」


気のせいで済まそうというあたりもポンコツかわいいなあ。

何かをしようとして接近していたんだろうけど、何もないのに蹴つまずいて転んだんだろうなあ。


そんなことをしている間に、黒狼が……

ほら。ターゲットをわたしじゃなくて母娘に戻してる。

弱そうな個体を狙うのは弱肉強食の掟だよね!

わたしをジャンプで飛び越して母娘の向こう側に着地した黒狼が鋭い爪を振り下ろす!


「「きゃあああ!」」

「ダメだよ〜」


ドンと踏み込む!

母娘の斜めに跳んでもう一度ドスンと踏み込む!

瞬時に移動してガッツンと両腕で受け止めてしっかりつかむ!

けど!


「うひゃあああ!?」


黒狼ったら前脚をぶんぶん振り回すもんだから、爪をつかんだままのわたしもぶんぶんされてる!


「目が回るぅ〜!

リーリエ〜〜〜!」


「任せてください」


黒狼の体を駆け上がって鼻先に飛び乗るリーリエ。

スカートをひるがえして綺麗な太ももをお披露目すると、ショートパンツから引き抜いてかなり短めの細剣を構えた。

刀身は細身で鋭く尖った先端からするに刺突用の片手剣だよね?

柄に護拳ガードがついてるからショートレイピアといったところかな?


黒狼の眉間をひと突き!

瞬間、眉間を中心にズバンと衝撃波が放射状に走る。


「おお〜。リーリエかっこいい」


その巨体はズズンと路面に倒れ、リーリエは軽やかに着地!は、することなくズベンと体で着地していた。

短い細剣がころころ転がってるし。


「ぽんこつ!」


わたしはわたしで空中高く放り出されていた。

まあ、地面に激突しても痛くないだろうし、無傷なんだろうけど?

やっぱり怖いものは怖い!


「うきゃああああ!」


ぽすん。


「はわ?

あれ? リーリエ?」

「はい。しっかりキャッチしましたから大丈夫ですよ。」


え? もしかしてお姫様抱っこ!?

落っこちてたのに素早い!

いつもはそっけないのにイケメンかわいい!

やだ! うれしい!

胸がキュンキュンしちゃう!


「わたしの花嫁!」

「違います。あ……」


バッタン!


抱きつこうとしたわたしを支えきれなかったのか路面に倒れるわたしとリーリエ。

結局ぽんこつはぽんこつ!


「わは! こんな時でも痛くない♪

助けてくれてありがとう♪

ぽんこつかわいいよ♪」

「あの……重いのでどいてください」


仰向けになってるリーリエに覆い被さるように転がっていた。

うは〜♪

ほっぺがくっついてる〜♪


「リーリエは大丈夫?」

「はい。問題ありませんから体をぺたぺた触りまくるのはやめてください」


顔が赤くなってる。かわいい〜!


「黒狼は殺しちゃったの?」

「いえ。麻痺しているだけです。

どんな恋の相手もイチコロビリビリ麻痺毒を仕込みましたから」


「何それ? とっても犯罪の香りがするんだけど?

暗殺者ってそんなものも常備してるの?

もしかしてわたしに使うつもりな毒?

それはともかく、どんな理由があっても殺しはなしっていう約束をちゃんと守ってくれてるね!

助けてくれてありがとう!」


あの晩に取り決めた約束のうちの一つ

不殺

ただしラーサラ・ルパ・ベルトールは含まない


リーリエにわたし以外を殺すなんてことさせたくないから。


「それにしても黒狼ちゃん、かわいいね〜♪

麻痺してる間になでなでいい子しちゃお〜♪

なんで脱走なんてできたかなあ?

よっぽどへっぽこな拘束だったのかな?」


「麻痺しているだけで意識はありますからね?」


「ほんとだ!

こっち見てる!

ほれほれ!

うりうり!

鼻先かゆいでしょ?

いっぱいこちょこちょしてあげるぅ〜!」


心なしか黒狼ちゃんの瞳が喜んでるような!


「麻痺してるんですから感覚なんてないですよ?」

「そうなの?

あれ?

黒狼のツノっておでこのど真ん中にあるのが普通だよね?

この子ってだいぶ右に生えてるね」

「そうですね。ツノがずれてるなんて珍しいですね?」


「「きゃああああ!?」」


およ? 母娘の新たな悲鳴!

視線の先を追いかけてみると?


「うわ!? でっかいノミだ!

ジャイアントノミ!」

「黒狼のもふもふの中から飛び出してきたようです」


あれ? わたしたちを見てる?

もしかして血を吸おうとしてる!?

飛びかかってきた!


「リーリエ! 殺処分!」

「殺しはなしでは?」

「虫はオッケー!

ゴートゥーヘル!」


「はいはい。

では……

はみゃあ!?」


奇声を上げつつしっかり蹴つまづきながら、ジャイアントノミをひと突きしてしっかり退治してくれた。


「うん。殺しはなしっていうのは無理があった。

凶悪な犯罪者や魔獣なんかはオッケーにしよう!」

「異存はありません」


新しいルールが増えました♪

約束のうちの一つ

不殺

ただし、ラーサラ・ルパ・ベルトールと極悪人と凶悪な魔獣の類いは可

ん? わたしは極悪人と同レベル?


「あ、ありがとうございます!」

「お姉ちゃんたち助けてくれてありがとう!」


「どういたしまして〜♪

お礼はこのかわいい無口なリーリエに言ってね♪」

「………」


顔を真っ赤に照れてる〜♪


「警備隊です」


「お! 続々やってくるね!

めんどいことになるからとっとと行こうか!

それじゃあ、養護施設にレッツゴー!」

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