38キス♡天国と瞳
「どうなることかと思ったけど被害が少なくて良かったね♪」
「人的被害や建物への被害もそれほど多くはなかったようです。
ゴム弾による負傷者もゼロとのことでした」
イリスがお風呂に入る前の掛け湯をしている♪
「それは良かった!
わたしを弾丸にした風魔法でも少しの怪我で済んだんだからそうだよね!」
「魔族の姿を形造る魔力が防壁の代わりになったの。
魔力波長による侵食なんて信じられないの。
この技術はしっかり解析するけど秘匿事項にするべきなの」
タオルを解いてお湯に足をつけるペーシェちゃん♪
「そうだねえ。
六芒星シートの回収を進めてるけどおっかない人に利用されると嫌だよね」
「わっはっは! 広い風呂だ!
泳ぐぞサリー!」
「わふん!」
大の字に体を広げてお風呂に飛び込むレオーネとサリー。
サリーの手としっぽがうまいことレオーネの大事なところを隠しちゃったからギリギリ見えないよ♪
「体を洗ってないのに飛び込んだ!
野性の血が騒ぐのかな?
泳いじゃダメだよ?」
「皆さん、お元気になって良かったのです〜。
最後にリーリエ様が落ちた時はどうなるかと思ったのです!
神様が祈りを聞き届けてくれたのです!」
すっぽんぽんのまま跪いてお祈りのポーズをするプリプリ。
「そうだねえ。
あの種は魔族の攻撃だったのかなあ?
(それとも騒ぎに乗じてわたしを暗殺しようとした?)
回復術師のみんなもがんばってくれました♪
魔族の魂も神様が救ってくれたらいいのになあ」
「……慰霊碑」
「リーリエ、それいいかも!
きっと慰霊碑の中で気持ちよく過ごしてくれそうだね♪」
……わらわもうれしいぞ♪
ん? 何か聞こえた? 空耳かな?
派手に落ちる音のせいでよく分からなかった。
バスタオルを巻いたまま小走りに、つるっと床に滑っておしりからお湯にダイブするリーリエがブハッと湯船から顔を出した。
「広いお風呂が気持ちいいですね?」
「ぽんこつリーリエさん?
バスタオルを巻いたままお風呂に入るのはマナー違反だよ?」
「目つきがいやらしい人への対処です」
「そんなことないけどなあ♪」
「「「「「絶対うそですね(です)(だろ)(なの)(なのです)」」」」」
「わふ?」
「うにゃ〜♪」
お風呂に浸かるわたしの肩に頭を預けるミンケちゃんの耳がこそばい。
7人と1匹で入るお風呂のなんて幸せなこと♪
ついさっきまであちこち後片付けに駆け回って大変だった。
まだ片付いていない問題も山ほどあるけどね。
なんだかもっと増えそうな気もする。
今は王宮にある王族専用の浴場でみんなでお風呂タイム♪
今日の疲れを癒してる。
うはは♪ 天国♪
椅子や湯桶だったり、お風呂でも大丈夫な観葉植物でみんなの大事なところは見えないよ〜だ♪
「サラちゃん、ロリエちゃんは監獄行きなの?」
「うん……危うく聖王都を壊滅しかねないことをしたからね」
「ここまでの大規模テロになった真犯人は別にいるの。
ロリエちゃんがかわいそうなの」
ロリエちゃんが監獄に連行される前。
最後の会話で分かったことがある。
☆☆☆☆☆
「大切な人と会いたいのは分かるけど、今生きている人たちを犠牲にするなんて一体どんな人たちとこんな計画を画策したの?
ロリエちゃん一人でだなんてとても思えないよ?」
「わ、わたしだけだ。
ひ、一人でミーラヤを探すための道具として六芒星を流行させたんだ。
ただ……正直、こ、怖い気持ちもあった。
だ、だから一人だけ魔族の憑依をさせて事件化した。
ダミー事務所にヒントになるメモも置いてきた」
「だったらなんであんな裏ギルドに護衛なんてさせたの?」
「か、賭けって言ったろ?
魔族の無念を思うと、聖王都がどうなってもいいとも思っていた。
ミーラヤに……会いたかった。
め、目の前で大事なものを失う気持ちを……思い知らせてもやりたかった」
「……養護施設から引き取った子どもたちはどうしたの?」
「養護施設? そんなの、し、知らないぞ?」
「特別子ども育成復帰支援センターっていうペーパーカンパニーはロリエちゃんが作ったんじゃないの?」
「そ、そうだが、子どもたちなんて知らない。
それに……わ、わたしが言うのもなんだがいくらなんでも流行の規模が大きすぎる。
あ、あんなに魔族の数が多いとは予想外だ」
「ほんとに? 何か他にも隠してることないかな?」
「……ない。子どものことは本当に、し、知らないんだ」
「そっか。
最後に一つ聞くけどロリエちゃんて何歳なのかな?
鬼族は長命だけどそこまで長生きじゃないでしょ?」
「レディに年齢を聞くのは失礼だ。
ふ、二つだけ教えてやる。
400歳は嘘だ。
わたしは鬼族でたった一人生き残った純血種、鬼神族。
絶滅危惧種と言われてる鬼族は混血種。
世の中、嘘つきだらけだ。
覚えとけ。
も、もういいだろ?
連れてけ」
☆☆☆☆☆
「そうだよね。
確かに一人だけのアクションで短期間にこれだけの規模になったなんて考えにくい。
行方不明の子どもたちもどこにいるのか分からない。
ロリエちゃんの想いに乗っかっておっかないことを企んでる人がきっといると思う。
ロリエちゃん、かわいそうだよね?
なんとかなんないかなあ」
「罪は罪です。
ですが……友だちになればいいのでは?
得意ですよね? 人たらしハレンチ王女は」
「人たらしハレンチ王女ってどういうことかな?
でもそっか! 友だちいいね!
リーリエありがとう!
今度みんなで監獄に遊びに行こう!」
「うちんは元々友だちなの。
それはともかく今後はよろしくなの。
魔法省と掛け持ちだけどなの」
「わたしはいついかなる時もサラ様とともに!」
「プリは聖皇教会を脱会するのです!
サラ様よろしくお願いします! なのです!」
「あたしはもうちっと従魔省でやることがあるからそれが終わったらな!」
「わふ!」
「わたしは約束ですから」
「あはは♪
レオーネは後からだけど、みんなこれからよろしくね♪」
「サラ様ラブラブラブリー親衛隊結成です!」
「イリスちゃん? そのネーミングはどうなの?」
「ハレンチ王女と愉快な仲間たち。
ふへ」
「リーリエも愉快な仲間だよ?
一応、対外的には王女直属の近衛少女騎士隊ってことになってるからね?」
「サラ様をサポートしてくれるみにゃさんが嬉しいのですにゃん♪
ミンケも影ながらお手伝いしますのにゃん♪」
「いつも諜報部の取りまとめをしてくれてありがとね♪」
「うにゃ〜♪」
「それじゃあさ!
気合いでも入れようぜ!
みんなで輪になれよ!」
「わふん!」
「お風呂で円陣ってどうなの?」
「えー。めんどいです」
「リーリエそんなのばっかだな!
裸の付き合いって言うだろ!
手を出せよ!」
「はいなのです!」
「わたしは嬉しいです!」
みんなで円陣を組んで中央に手を重ねる。
サリーはお湯に浮いてるけど。
「ほれサラ姫、なんか言え!」
「あはは♪
今回はほんとにみんなのおかげで聖王都を守ることができたよ!
みんなありがとう!
みんなで約束しよう!
みんなの幸せを守るために!
聖王都を駆け抜けよ〜!」
「「「「「お〜〜〜!!!」」」」」
お風呂に響くみんなの掛け声♪
お風呂から上がってサイズの順に並んで背中の流しっこをしたり♪
なぜにわたしが一番前なんだ?
お風呂上がりにミルクを飲んだり♪
うっかり顔とたぷたぷにミルクをこぼしちゃったり♪
ぽんこつだよね!
お風呂の後は料理長が腕によりをかけたディナーをみんなでいただきました!
初めてのみんなとの夕食が賑やかでとっても楽しかった♪
最後はやっぱりお別れ。
みんなそれぞれお家があるからね。
しょうがないけどお見送りしました。
イリスは騎士隊宿舎だけど。
「いいお湯だった〜♪
みんなで一緒に入るなら毎日お風呂も悪くないね♪」
「サラ様、ちゃんと毎日お体を磨いてほしいのですにゃん」
「だってめんどいんだも〜ん」
「それではサラ様、本日の暗殺デートを楽しんでくださいにゃん」
「ミンケちゃん、また明日もよろしくね!」
「お休みにゃさいませ。サラ様」
事件も無事に収束して安心しきったミンケちゃんの笑顔がかわいい♪
ぎゅぎゅっとハグをして両方のほっぺにちゅ〜。
「うにゃ〜♪」
わたしの後ろを気にするミンケちゃんに手を振って扉を閉めた。
分かりやすい♪
「さてと……リーリエそこにいるのは分かってるのさ!」
勢いよく振り返りながら指をビシッと指す!
ズバン!
ゴン!
「ふおっ!?
おでこ!
おでこに直撃だよ!?
しっかりあたったよ!?
びっくりした〜〜〜!」
軌道が逸れた弾丸が天井にめり込んでる。
「やっぱり無敵ですね?」
「ふわ!?
至近距離がすぎるよ!?」
わたしの目の前で魔導狙撃銃を構えるリーリエ。
銃口がもうほんとに目の前!
手を伸ばせば届く距離にいるんですけど!?
ボルトアクション式で次弾を装填してるし!
「ふふふ……
だけどこれしきのことで驚くわたしじゃないんだよ!」
「思いっきり驚いてましたよね?」
「今日もおとなしくちゅ〜をされなさい!」
「嫌です」
寝室で鬼ごっこが始まりました♪
息が上がるまで走り込みました♪
また撃たれたし!
ぽんこつが転んでもめげすに、どんだけ逃げるのかな?
無敵だけどちゃんと疲れるんだよ?
「追い込んだ!」
バルコニーは行き止まり!
ストロベリーブロンドとホワイトシルキーブロンドが風になびいてる。
今日も月夜が綺麗で、汗に濡れた体に夜風が心地いい。
バルコニーの手すりに背中を預けるリーリエはいつもの通り無表情。
リーリエの左右に両手を伸ばして手すりをつかむ。
「壁ドンならぬ、壁通せんぼ♪」
逃げられない至近距離にリーリエのお顔。
「もう逃さないよ〜♪」
「もう逃げられません」
リーリエの瞳が真っ直ぐにわたしの瞳を見つめてる。
「ちゅ〜するよ?」
「……」
「顔を背けないの?」
「……」
「まっすぐいっちゃうよ?」
「……」
「いいの?」
「……」
むにむにする唇。
赤く輝く尖晶石のような瞳に映る水宝玉のようなわたしの瞳。
もう息がかかるくらいに近い。
閉じられる二人の瞳。
しっとりと絡まる想い。
夜風が髪をすり抜ける。
「……ん」
月明かりに輝く金色の糸が、照らされた二人のシルエットを繋いでいた。
唇の距離が開くとリーリエの瞳が潤んでる。
ぷるんとした感触が残ってる。
顔を背けるリーリエ。
「さあ、どうぞ」
「? もうしちゃったよ?」
「……気のせいです」
「え? したよね?」
「してません。ほっぺにどうぞ」
「もしかして……今のなかったことにしようとしてるの!?」
「今の? なんのことです?」
「ごまかし方がぽんこつか!」
「とんこつ味。
ふへ」
「とんこつは食べてないよ!?」
ふへじゃない!
ファーストキスだったんだけど!?
「まあいいけど。
初めてを二回目があってもドキドキだよね♪」
リーリエの両肩を抱きしめてほっぺにちゅ〜をするとビクッと震えてる。
可愛い♪
ちゅ〜したところに魔法陣が現れて光ると消えた。
ポイントゲット!
リーリエの隣に並んで城下を見下ろす。
「わたしもリーリエと死に別れたらロリエちゃんみたいになっちゃうのかな?」
「死別などありえません」
「わたしを暗殺するんだよね?」
「……そうでした」
「ぽんこつかな?
ありえないってやっぱりわたしのことを好きになってくれたんだね!」
「1000%なってないです」
さっきのあれはほんとになかったのかな?
「もう一回名前で呼んでほしいなあ♪」
「却下です」
「ちぇ、リーリエのけちんぼ〜。
わたし寂しいなあ……」
「そんな目をされてもお断りです」
「だめ?」
「ダメです」
「わたしはリーリエと幸せになりたいんだけどなあ♪」
「……約束ですからね」
「そう! 約束のうちの一つ!
幸せになるために二人でがんばること♪
つまりずっと終わらない約束ってこと♪」
「めんどい約束です」
約束のうちの一つ
リーリエ・コルニクス及びラーサラ・ルパ・ベルトール
両名ともに幸福となること
「幸せになるって難しいね?」
「難しいです」
「わたしたちはなれるかな?」
「約束ですから」
「そうだね!
幸せに向かって!
二人で明日も聖王都を駆け抜けよう!」
「おー」
やっぱり無表情な掛け声のリーリエ。
二人で夜の聖王都を見上げる。
聖なる守護竜が月に影をつくって横切っていく。
城下では多くの人たちが今日も息づいている。
月夜が見える晩は寝る前にお月見をするのがわたし一人だけの日課。
でも今は二人。
満ちた月の光がわたしたちの行く道を、未来を照らしてくれている。
〜近衛少女騎士隊結成編 完〜
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ここまでお読みいただきありがとうございます。
文字数が応募要項の規定に達したので物語はここで一区切りとさせていただきます。
少しでも楽しんでいただましたら。
ぜひお星様をお願いいたします。
今後とも応援をよろしくお願いいたします。
おまけの番外編デートがあります♪
レオーネとデート
ミンケちゃんとデート
二つです。ぜひお楽しみください♪
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