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34キス♡ばっきゅんとドレス

『みんな、準備はいいの?』


耳に装着した魔導通信機を通じて、最東端にある魔導研究塔の屋上にいるペーシェちゃんの声が聞こえる。

魔導通信機はわたしたちと関係者に配ってある。


『『『「「オーケー!」」』』』

『わふ!』


今日は聖王都ルパにおける初夏の風物詩サマーフェスティバルの開催初日。

ほとんどの国民が初日から参加する待ちに待った特大イベント。

例年通り、街には朝早くから多くの人で賑わい始めている。

大きなイベント会場やショッピングモールをはじめとして大盛況だ。

そして、魔族再興現存種族殲滅計画が実行されるかもしれない日。


『予定通り、軍部と警備部の配置は完了してるの』


昨日、わたしとリーリエは国王であるパパにお願いをして、協力を要請するために国防大臣、国防省の関係各所に頭を下げて回った。

今日の魔族暴走対策のためにどう対処するかたくさん話し合った。

軍部も警備部もなんでかすんなり快諾してくれてよかった♪


『魔力波長の発信場所も子どもたちの居場所も魔族の魂を繋ぎ止める原因も発見できずに申し訳ありません!

近衛騎士一番隊隊長でありながら、お役に立てずに申し訳ありません!』


イリスたち近衛騎士隊はそれぞれ調査をしたけれど無駄に終わってしまった。

ミンケちゃんから諜報部に指示してもらったけどこちらも成果はなかった。


『うちんもあれ以上の情報が得られなくてごめんなさいなの』


「ううん。何も手掛かりがないのにみんながんばってくれたよ!

それに六芒星シートに魔法適性に害があるっていう話を国中に宣伝してくれたじゃない!

あれで少しは減ったと思うよ!」

『ありがたきお言葉、胸に沁みます!』


『だけど、六芒星の魔力波長はシートを剥がしても魔力が残留することも新たに分かってるの。

油断はダメなの』


「残留!? ほんとに!?」

『サラちゃん、どうかしたの?』

「え〜と? なんでもないよ?」


首を手でさするわたしを無表情に見つめるリーリエ。

目立たないように首の後ろ、生え際に貼ってたけど危なそうなことが分かった時に剥がしたんだけどさ?


『プリもごめんなさいなのです!』

「こっちこそごめんね。

聖皇教会は王侯貴族と仲が悪いからパパからの打診もあまり効果はなかったみたいなんだ」


きっと嫌味の応酬と皮肉ばっかりで終わったことだろう。


プリプリは聖皇教会で事情を話して協力を要請したけど、あんまり反応は良くなくて例年通り各イベント会場で回復術師士を手配して救護場所を用意するだけらしい。

今朝も大泣きされてしまった。


『計画実行の正午10分前に魔族の憑依を促す魔力波長が放出されると推測しているの。

そしたら同調連鎖が一斉に始まるの。

正午前の10分が勝負なの』


「ペーシェちゃんが解析してくれた通りなら、変身完了まで10分、変身完了後は凶暴化するんだもんね!」


『そうなの。

その間に魔力波長の発信源を特定するの。

それが逆転できる最初で最後のチャンスだと思うの』


「一発勝負ですね。

最東端にある魔導研究塔でいいんでしょうか?

今さらですが中央の方が良くないですか?」


『ロ、ロリエだ。

リーリエ嬢、魔力波長を確実に捉えるためだ。

ちゅ、中央では万一乱反射すると特定しにくい。

大急ぎで作った、ま、魔力波長を狂わす浄化弾も配備が終わってる。

み、みんながんばって欲しい』


ロリエちゃんはペーシェちゃんと一緒に最東端の魔導研究塔の屋上にいる。


「狙撃なら任せてください」


たっぷんを得意気に揺らすリーリエ。


霊魂研究の第一人者で鬼族のロリエちゃんは魔法省の魔導士たちに指示して軍部も警備部の分も浄化弾をしっかり作ってくれた。


『ぼ、暴徒鎮圧用に用意されていた殺傷力のないゴム弾に特殊な魔力波長を付与エンチャントした。

これを当てれば、は、波長を狂わせて憑依を強制遮断できる』


『だけどそれほど数があるわけじゃないの。

魔族の大量発生が見込まれているし計画そのものを中止には追い込めないの』


「ですが確実に数は減らせます。

わたしのかわいい魔導狙撃銃、そげきちゃんの出番です。

ふへ」

「そのまんまのネーミングだね!?

実験通り怪我をさせないで済むといいんだけど」


ゴム弾は当たりどころによっては大怪我をしてしまうもの。

だけど、わたしの体当たりでも少しの怪我で済んだ魔族(警備隊員女子)のことを考えると問題ないだろうし、ペーシェちゃんが実証実験をしてくれていた。


「発信源を特定するまでの間に魔族を銃撃して憑依を阻害するんだよね。

でもほんとに魔族って高いとこまで宙に浮いてくるのかな?」


『それもサラちゃんが遭遇した暴走魔族の目撃情報で確認済みなの。

憑依した魔族が魔力波長の受信に邪魔になる建物よりも高い位置まで浮いてたの。

これも推測だけど速やかな変身をするためにとった行動だと思うの』


『推測ばっかだな』

『わふ?』


「推測が当たればターゲットの発見も簡単です。

ばっきゅん」


スコープを除いて引き金を引いて見せるリーリエ。


「わたしはあなたがぽんこつしないか心配だよ」

「心外です」


『狙撃手とプリプリたち回復術師の移動ならあたしたちに任せろよな!

暴走した魔族もなんとかなるだろ!』

『わふん!』

『プリも回復をがんばるのです!』


レオーネとプリプリは一緒の班だ。

銃を扱えないレオーネたち従魔士は移動するための足として、街中を軽快に走れる比較的小さい従魔を指揮してくれる。

腕のいい狙撃手を乗せて走り回ってくれるだろう。

体の大きい従魔は戦闘力として申し分ないけど正直使い所が難しい。

だから王都の外郭やメイン通りで待機している軍部の従魔は街中では出番がないかもしれない。

対外的にはイベントの一環として従魔部隊のアピール戦略ってことになってるから、みんなニコニコ対応していた。


『うにゃ〜。

ミンケですにゃ。

みにゃさん、国のためにがんばるのはとってもご立派にゃのですにゃ。

ですが、どうかみにゃさんもご自身の安全を考えて行動してくださいなのにゃ。

そして危なっかしいサラ様をお願いしますのにゃ』


ミンケちゃんの涙声にみんなそれぞれの耳に響く。


『ミンケは相変わらず泣き虫だな!』

『あわわ! ミンケちゃんの泣き虫は回復できないのです!』

『心配しなくてもうちんは後方にいるし、イリスがいるから大丈夫なの』

『ペーシェさんとロリエさんの護衛はこのイリスに任せてください!』


今回の計画の要であるペーシェちゃんにもしものことがあると一巻の終わりだから護衛にイリスと近衛騎士ちゃん数人も一緒にいてもらってる。


『みんな、時間までもうちょっとあるの。

あまり緊張してると疲れちゃうの。

魔力波長を感知したらすぐに連絡するの。

トイレも今のうちに済ませておくの』


『そ、そうだな。

今のうちに行ってスッキリしてからがんばろう。

ペーシェは?』

『うちんは大丈夫なの。行ってらっしゃいなの』


『トイレって遠足かよ!』

『わっふ!』


「わたしとリーリエはもう無理だよ〜」

「行っておけばよかったです」

「作戦中に行かないでね!?」


わたしとリーリエはみんなと同様に別のところにいる。

わたしは王女としての装い。

リーリエは公爵令嬢としての装い。

二人ともいつもと同じ正装ドレス姿だ。


場所は王城の一番高い屋根の上。

ここなら東側全体を見渡せるし、リーリエの狙撃の腕なら狙い放題だからだ。

屋根に登るまで何度リーリエがバタバタと体を揺らして落ちそうになったことか。


「リーリエ、二人でがんばろうね!」

「昼の同行は約束ですから」

「ほんとにそれだけ?」

「それだけです」

「そっかあ。いつか心から一緒にいてくれるようになるといいなあ」

「…………」


またそっぽを向いたし。


「リーリエ〜こっち向いて?」

「はい」


振り向きざまのほっぺにちゅ〜をする。


「ずるいです」

「わたしはずるいんだよ♪」

「知ってます」


ふふ。ほっぺをさするリーリエがかわいい♪


『きたの!

魔力波長を捉えたの!』

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