32キス♡ご褒美と甘々
「みにゃさんが協力していただけることににゃって良かったですのにゃ。
ですがミンケはとっても心配ですのにゃ」
「みんなが手伝ってくれるから大丈夫だよ♪
魔力波長の発信場所も子どもたちの居場所も魔族を繋ぎ止めているかもしれない原因もみんなが探さないといけない。
ペーシェちゃんも近衛騎士のみんなもがんばってくれてる。
わたしはわたしの役目をする。
明日は軍部や警備部とか色んなところに行くからがんばらないとだね!」
「今夜の暗殺デートもご無理のにゃいようにがんばってくださいなのにゃ。
お休みにゃさいませですにゃ」
「うん、いつもありがとうね♪
それじゃあお休み〜♪」
「うにゃ〜」
ほっぺにちゅ〜をするとにっこり笑顔を見せるミンケちゃんがパッタンと扉を閉めた。
「さてと、軍部や警備部だけじゃなくて関係各所にうまいこと協力してもらうための資料作りをしないといけないのよね。
どこも頭の固いところばっかりだから、なんて説得するかしっかり考えないと。
それに秘密にしたい部分はふせたいとこだけど、ここまで話が大きくなると難しいよなあ。
よし! 今夜もがんばろう!」
不安な気持ちをどこかにやってしまいたい。
机に向かってペンを走らせる。
集中すると何も聞こえなくなる。
時間がどれだけ過ぎたかも気にならない。
隣に誰かが立ったとしても。
「ふう! できた!
こんな感じでいいかな!
我ながら良くできました♪
それじゃあもう寝ようかな。
今何時……
うひゃあ!?」
「おつかれさまでした」
「リーリエ!?
いつからそこに立ってたの!?」
「ずっとです」
「そうなの?
わたしの作業をずっと見てたの?」
「はい。
がんばれがんばれって応援してました。
心の声で」
「そうなの!?
全然気づかなかった。
暗殺は?」
「一応しました。
ダガーで刺す刺すギコギコ」
リーリエがダガーを握って実演してくれた。
わたしで。
「ギコギコされて気づかないわたしってどうなの!?
もしかしてわたしもぽんこつ!?」
「今日はもう休んでください。
明日も忙しいですよ?」
「そうだね。
じゃあ休むとしますか。
リーリエ、添い寝してくれない?」
「……ダメです。
その代わりどうぞ」
リーリエがお口をむにむにとして顔を横に向ける。
「何かな?」
「いつものあれです」
「あれ?」
「……ほっぺに」
「ちゅ〜のこと!? リーリエが自分から!?」
「早くしないと帰ります」
「します!」
ちゅっ♡
ほっぺたにちゅ〜したところに小さな魔法陣が現れて光ると消えた。
「今夜もちゅ〜ポイントゲットだね♪
でもなんで?」
そっぽを向いて後ずさるリーリエ。
「……がんばってるご褒美です。
お休みなさい」
挨拶しながら猛ダッシュで駆けて部屋から飛び出て行った。
バタンと大きな扉を閉める音を立てて。
「お休み〜!」
顔は見えなかったけど、リーリエとっても恥ずかしそうにしていたよね?
ベッドに横になる。
今日はとってもよく眠れそう♪
「サラ様、ごめんなさいなのです!」
聖皇教会の端っこにあるぼろっちい物置小屋、プリプリの仮住まい。
西陽を差し込ませながらバタンと勢いよく扉を開けて、待っていたわたしの胸に家主が飛び込んでくる。
昨日、わたしの応接室でみんなとあれこれ話し合った結果、色々やらないといけないことが多すぎて、朝からあちこち飛び回って忙しかった。
今は最後の訪問先として約束通りプリプリの話を聞きにきていた。
「やっぱりダメだったかあ。
聖皇教会はやっぱり頭が固いよねえ」
「はいなのです。
プリは悲しいのです。
神様のお導きをいただいておきながら、信徒たるものが民の安寧のために慈愛を尽くせないなんておかしいのです」
わたしを見上げてポロポロと涙をこぼすチビット族のプリプリ。
いつもは希望にあふれて意思の強そうな青紫色の瞳がゆらゆらと揺れている。
「ほんとに敬虔な子だねえ。
泣かないでプリプリ。
よしよしなでなでするからね?」
「うわあ〜ん。
サラ様が優しいのですぅ」
わたしの小さめの胸にぐりぐりとお顔を押し付けてくる。
プリプリは子ども並みに小さいのにわたしのお腹に立派なたぷたぷがぷにぷにする。
ちょっと悲しくて涙が出そうだったり。
「パパにもお願いしてあるけど、きっとうまくいってないだろうしなあ」
「ほんとに仲が悪いんですね?
王女として直接命令すればいいのでは?」
「教皇に?
正式な手続きを踏めばともかく、わたしなんかには司祭クラスとかだって会ってすらくれないよ。
聖皇教会は王政に口出したくてしょうがないんだから。
それよりプリプリ?
もう聖皇教会なんてやめてうちにおいでよ」
「ですが、プリは神様のおそばにいたいのです」
「神の巨塔の頂上に神様がいるというお話ですね?」
神々しい神殿を本部にする聖皇教会は聖王都ルパの西側の中心に位置する神の巨塔の足元にある。
「リーリエのくせによく知ってるね?
神の巨塔に神様がいるわけじゃないと思うけどなあ?
それとも無敵をくれたあの女神様もいるのかな?」
「女神様のお話を聞かせて欲しいのです!」
「食べながら話そうか?
美味しいスイーツを用意してあるんだよ!
お昼ご飯は結局食べてないし、一緒に食べよう♪」
わたしが打ち合わせをしている間に運転手のファーラちゃんに買っておいてもらったもの。
魔導車で待機してもらってる間にちょっとしたお買い物なんかを頼んだりしている。
リーリエはいつも通り語尾だけ説得の参加をしてくれていた。
物置小屋だけど几帳面なプリプリらしくよくお掃除されているお部屋。
テーブルも椅子もないからチビット族が寝れる程度の小さなベッドに3人で座る。
「うわあ! プリの大好きなパティスリーフジヤの甘々いちごショートケーキなのです!」
「はい、あ〜ん♪」
用意してもらった木製のフォークで口に運んであげる。
パックン♪
「ふわあ♪
いちごと生クリームがおいしいのです〜」
「リーリエもあ〜ん♪」
「ほうはべてはふ」
「一口がおっきいね?
ほっぺがドワーフハムスターみたいになってるよ?
最初の頃はお上品に小さく食べてなかったっけ?
わたしにもっと上品に食べた方がいいって言われた気がするけど?」
「気のせいです。ボロが出ただけです」
「ボロが出ちゃったんだね?
ぽんこつだね?」
「とんこつも好きです」
「がっつり系だね? そういう話だったかな?」
「ふへ」
「サラ様、もう一口欲しいのです!」
「はいはい♪」
パックン♪
「ふわあ♪ プリは甘々幸せなのです〜♪」
足をパタパタ、プリプリの小さくて可愛いつのとたぷたぷがルンルンに揺れている。
「わたしはプリプリの甘々が食べたいなあ♪」
スイーツを食べ終わった後はちょっとのんびり♪
「こんな感じだったかな?」
「ふわあ!?
女神様が人をダメにするクッションでゴロンなんてかわいいのです!
神様もゆったりなさるのです!」
駄女神様の真似をして床に転がってみせるとプリプリもわたしの隣に転がってくる。
「それで恩寵をくださったのです!?」
「そうなんだよね?
なんかゴッデ〜〜〜スギフト!
ってゆる〜く言ってたのを後で思い出したんだよね?
光のシャワーがわたしに降り注いでさ?」
「素晴らしいのです!
プリも女神様にお会いしたいのです!
サラ様がうらやましいのです!」
「わたしはプリプリの甘々の方がうらやましいけどなあ」
「プリをです? どこがです?」
「こういうところ♪」
「ふわあ!?
そんなところダメなのです!
ふわふわしたらダメなのです!」
「楽しそうですね?」
「リーリエも強制参加だよ!」
「きゃあ」
無表情だし!
まあいいけど。
3人でたっぷり甘々ワイワイきゃあきゃあ♪
今日の疲れも吹っ飛んじゃうね♪
プリプリにはしっかり五倍返しされました。
いよいよ明日!
でもその前に今夜を楽しむからね♪




