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30キス♡ロリっ娘とパックン

「街中がいよいよサマーフェスティバル開催って感じだったね♪

リーリエ、お祭りデートが楽しみだね!」


「いつの間にお祭りデートの約束を?」

「リーリエとの約束は毎日デートだからね!」

「めんどくさいからもうそれでいいです」


魔法省が所有する魔導研究塔はいくつかあって聖王都の中に規則的に配置されている。

今日はそのうちの一つ、リーリエとペーシェちゃんを魔導車で拾ってから最東端にある魔導研究塔に来ていた。


昨晩、外で待機していたレオーネとサリーにしっかりお礼を言ってから解散。

わたしもリーリエも一度帰ってから出直してきたんだよね。

ぼろぼろだったし、例の荷物も持って行きたかったし。


とある人物の研究室でわたしとリーリエはソファに座って待っている。

巻物や書類の束が散乱している汚部屋状態。

だけど机の上だけは綺麗で、写真立てには子どもが描いたような女の子の似顔絵があった。

だけどなんだかとっても古ぼけてる。


「お待たせなの」

「今日もお邪魔しちゃった。

急なのにペーシェちゃんありがとね!」


「うちんはいいの。

やっと見つけてきたの。

約束してたのに自分の研究室にいないで、なんで屋上なんかでごちゃごちゃ作業してたの」


「き、気分転換だ」


「紹介するの。

霊魂研究の第一人者ロリエ・温羅おんらなの」


よくわからない魔道具を抱えた女の子がぺこりとお辞儀をする。


「せ、正確には霊魂と精神と魔力の結びつきについて研究してる……ます。

お、王女様?」


「サラって呼んでね。

ちっこくてかわいいね♪

ペーシェちゃん、こんな子がすごい研究をしてるの?」


「すごいって言っても霊魂研究は胡散臭くて見向きもされてないの。

残念なロリっ娘なの」

「ペ、ペーシェ、後で覚えてろ?」


「覚えないの。

見た目はロリっ娘だけど400歳は超えてるの」

「400歳はすごい!」

「鬼族……珍しいですね?」


リーリエの言う通り鬼族は絶滅危惧種と言われるくらいに珍しい。

わたしも目にするのは初めてだと思う。


ひたいにつのが一本。

白い肌に、黒檀のような巻き髪が肩までかかっている。

月桂樹の花のような黄色い髪飾りが黒髪に映えてかわいい。

生花かな?

爽やかな葉っぱと花の甘い香りがほんのり漂う。

確かな意志の強さを感じさせる瞳はまるで黒蝶真珠ブラックパールのように輝いているけれど若干の不信感を表していた。

上衣と下衣に分かれてダボッとした鬼族特有の着物を感じさせる民族衣装を着て魔導士らしくローブを羽織っている。

ペーシェがロリっ娘と言った通りつるぺただ。

めちゃくそかわいい!

さすがに幼女に対しては微笑ましく見てますよ?


「き、昨日遅くにペーシェから相談をされて、お、驚いた……ました」

「あ、別に敬語じゃなくていいよ?

随分年上みたいだし、わたしも普通に話すしさ」


「そ、そうか?

じゃあ、え、遠慮なく。

ろ、六芒星を徹夜で解析した」


だから目の下にクマができてるのね?

ペーシェちゃんも徹夜でクマができてるし。


「二人ともありがとう!」


「結果、これをつけたものの、お、およそ92%が魔族の魂に憑依されて魔族化すると断定している」

「92%!?」

「と、特殊な条件下においてだが。

ある種の魔力波長を受信すると同時に増幅して送信、い、一斉に同調連鎖して魔族化が一気に進むと仮定している」


「それって大問題だよね!?

だって子どもたちの半分は首につけてるよ!?」

「か、仮定だ。

実証実験には、サ、サンプルが足りない」


「ですが不思議です。

そもそも魔族の魂なんてそのあたりにいるものなんでしょうか?」

「い、いい質問だ無表情女。

魔族は滅亡しているがなんでだか知ってるか?」


「他種族に害をなす魔族を人魔大戦で滅ぼしたと習いましたが?」

「そうだ。で、では魔族の国はどこにあったか知ってるか?」

「知りません」

「こ、ここだ」

「ここですか?」


「リーリエね?

魔族国家はここにあったの。

聖王都ルパはね?

魔族を滅ぼして建国された王国なんだよ?」


「さ、さすが王女だな。

教科書に載っていないことも知ってるのか」


「そりゃあね。

魔族の都を礎に当時の勇者が女王になったみたいよ。

わたしのご先祖様ってことかな?」

「大昔のことなのに魂がまだいるということですか?」


「ま、魔族の体は朽ちても魂は滅んでいないということだ。

よほど未練でもあれば天国なり、じ、地獄なりにはいかないだろ?

とはいえ、ど、どこかに魂を繋ぎ止める何かがあってもおかしくはないかもしれん」


机の上の似顔絵に視線を送るロリエちゃん。


「あまり論理的じゃないの。

さすが霊魂研究なの。

仮定だけどこれが解析結果なの」


「え〜と、つまり魔族がいっぺんに復活するっていうことかな?

子どもたちを依代にして」


「そういうことなの」

「たった一晩でこんな大事なことを調べてくれたんだ」

「ま、魔族の復活なんて大規模テロもいいところだからな」

「大規模テロ……どっかの誰かさんがおっかないことを考えてるってことだね」


リリリリリン♪


「イリスからだ」


イリスに持たされた魔導通信機をピッと。


「イリス?

うん……

うん……

そっか、分かったよ。

みんなおつかれさまでした。

撤収して一休みしてね。

うん、ありがとうイリス。

こっちのことは後で伝えるね。

じゃあね」


魔導通信機を切る。


「どうでしたか?」


「うん。でもその前にペーシェちゃんにロリエちゃんにも伝えておくね。

実はさ……」


養護施設と他施設の子どもを引き取る話と魔族再興現存種族殲滅計画と記されたメモや六芒星があった組織のことや裏ギルドの話をかいつまんで説明する。


「それでね、イリスたち近衛騎士隊が立ち入り調査に入った事務所や倉庫、全部もぬけの空だったって。

ザンバラ髪たちが雇い主に報告したとしても対応が早すぎるよね?

偽情報だったのかそれとも前からいなくなってたのかな?」


「調べないとなの。

現場には魔導コンソールがあったの?

魔族再興現存種族殲滅計画なんて大それた話、ハッキングできれば情報が引き出せるかもしれないの。

その組織の名前を教えて欲しいの」


魔導科学の恩恵の一つ、魔導ネットワーク。

あらゆる情報を魔導でデータ化する技術だ。

特殊な魔力波長で繋がることができる。

重要機関や許可されたところだけで一般化はされていない。


宙空に浮いたいくつかの半透明なコンソールを前に、ピシッと直立姿勢で操作する絶世の美少女。

黒い長耳が忙しなく揺れている。

ペーシェがひどく集中している時のくせ。


「じ、時間がかかりそうだな?

待ってる間、茶でも淹れるか?」


「それならわたしが淹れるよ。

二人とも疲れてるでしょ。

ソファに座ってて。

お、いろいろあるね?

二人とも何飲む〜?」


「ミ、ミルク」

「じゃあミルクティーにするね」

「わたしは生姜紅茶で」


生姜紅茶、気に入ったんだね?


「生姜はないからレモンでいい?」

「しょうがないですね。

ふへ」


研究室の隅に置いてあるお茶セットで3人分用意する。

わたしの部屋に置いてあるのと違って普通のもの。

テーブルに配膳してわたしもソファに腰掛ける。

真ん中にロリエちゃん、左右にわたしとリーリエ。


「ロリエちゃんて人族でいうと何歳なの?」

「わ、分からん」

「机にある手描きの絵のモデルはロリエちゃん?」

「下手くそなのに、よ、よく分かったな?」


「うん。つのが一本生えてるし。

なんだかとっても愛があふれてる気がする♪」

「……そうか。

古い……古い懐かしい思い出だ……」


遠い昔を馳せるようなロリっ娘ロリエちゃんの瞳がなんだか不思議。


「大事な絵なんだね♪

ロリエちゃんクッキー食べるかな♪」

「食べるっ♪ わ〜い♪」


バッグの中からクッキーの入った小袋を一つ取り出してクッキーを一枚差し出す。

指ごとパックンされた!


「ちびっ子ですね」

「ちびっ子だね」


「ち、ちびっ子じゃない!

もっとくれ!」

「はいはい」


クッキーを取り出すたび飲み込む前にパックンしていくからほっぺたがパンパン。

リスかな?


「ごふっ!?

茶! 茶〜!」

「はいはい」

「熱っ!?」


床がびっちょり。


「ダメっ子ですね」

「ダメっ子だね。

でも可愛いすぎるよ!」

「同意します」


「だ、抱きつくな!?」

「だって可愛いんだもん」

「同意します」


クッキーをはむはむするロリエちゃんを二人で左右からなでなで抱きしめてました♪


「キミたちはうちんこと働かせて何をやってるの?」

「終わった?

レモンティー入れるね♪」

「砂糖たっぷりがいいの。

ネットワークにアクセスして一つだけ分かったことがあるの」


「な、何が分かった?」


「二日後の正午、計画実行とあったの。

サマーフェスティバル開催初日なの」


「急すぎない!?」

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