13キス♡妄想と寝言
「サラ様。リーリエ様に対する恥ずかしい妄想はお控えになった方がいいかと。
その……こちらが恥ずかしくなってしまいます」
「ハレンチ王女」
「わたし何を言ったの!?」
イリスちゃんの顔がすっごい真っ赤になってる。
この子はえっち系の免疫が皆無だからなあ。
リーリエは無表情だけど。
え? 真っ赤になるくらいになんか恥ずかしいこと言ったの?
それとも無表情でいられる程度のことを言ったの?
どっち?
他の騎士ちゃんや騎士さんの表情を見る限り、かなり恥ずかしい寝言を言ってしまったかもしれない……
ひええええ!
それは恥ずかしいがすぎる!
パパや貴族に聞かれてない!?
あ……席が近いパパの耳には届いてるかも……
ちらっと後ろを振り返ると思いいっきり残念そうな顔をしている。
ああ!? 親に聞かれるほど恥ずかしいことはない!
こんな娘でごめんねパパ!
百合なわたしを許してください!
「恥ずかしいこと言い出したところで起こしてくれればいいのに……
ぷんぷんだよ!」
「寝顔がかわ……あまりに気持ちよさそうにされてましたので」
「あれ? リーリエ?
もしかしてわたしの寝顔に見惚れてた?
恥ずかしい寝言で実は照れちゃってたとか?」
ふいっと顔を背けるリーリエの表情が見えない!
「順番が来ました。
スピーチをお願いします。
王女らしくしっかり威厳を示してきてください」
「あ、はいはい」
それでは中央のお立ち台に登壇いたしまして。
整列する軍人の皆さんに労いのご挨拶だね!
うっわ〜。
見渡す限り軍人さんの列。
従魔とか騎竜はもう退場してる。
「みんな、おっはよう!
サラだよ!」
目線はみんなに、マイクに向かってご挨拶。
あれ? わたしの第一声にみんな変な顔してない?
パパの小さな悲鳴が聞こえた気がする。
「今まで見に来なくってごめんなさい!
今回初めて軍部の皆さんのがんばりを見せてもらいました!
みんなカッコよくってわたし感動しちゃった!」
「気持ちよさそうに寝てました」
一緒についてきて後ろに控えるリーリエさん?
余計なこと言わないで?
うっかりマイクに声が入っちゃうよ?
確かにうたた寝しちゃったけど、ほんのちょっと一瞬わずか少しだけだよね?
「あんまりドキドキしてわたしの豊かな胸が大興奮でした!」
「ささやか慎ましいです」
おい。
だからマイクに入ってる。
思わずツッコミを入れようとして振り返ったら、パパがあんぐり大きな口を開けて変な目でわたしを見てる。
どうしたの?
そしてリーリエがとんでもなく心配そうな顔で両手を伸ばしてわたしに向かってくる。
そんな顔して珍しい。
どうしたの?
ゴスン!
突然の衝撃に頭が後ろにのけぞる!
びっくりしたあ!
あんまりびっくりしたから、のけぞったまま大空を眺めちゃってた。
そんなわたしを支えるように抱きつくリーリエ。
わたしとリーリエの異常なアクションに軍人さんたちも観覧席もざわついてる。
姿勢を正してちらっと後ろを振り返るとリーリエもびっくりして目を見開いてる。
もしかしなくても狙撃された?
斜め後ろを向いてたから後頭部に当たった気がする。
弾はきっとわたしに当たったことで軌道を変えてどこかに飛んで行ったんだろう。
みんなざわついてはいるけどその事実には気づいていなさそう。
わたしが無敵な体になったなんて、あの時現場にいた人以外は知らないし?
頭に当たれば当然即死。まさか狙撃されたなんて夢にも思わないと思う。
「あはは〜♪
ごっめんね〜♪
うっかりうたた寝しちゃたよ!
がくんって首が折れちゃうかと思った!
リーリエが支えてくれたからうっかり寝っ転がらずに済みました!
リーリエありがとね♪」
「いえ……どういたしまして」
とってもほっとしたような表情を浮かべるリーリエ。
とっても心配してくれてる!と、思った途端に心配そうな表情はどこへやら、無表情に定位置に戻って行った。
「こほん。
気を取り直して……
皆さん!
ルパの国民と平和な生活を守ってくれてありがとうございます!
とっても誇らしいです!
ついでにへっぽこ国王のパパと貴族たち。
ほとんど顔を見せることがなかった可愛げのないわたしも守ってくださいね♪
だけど、もしもの時は皆さん一人一人が互いに守りあってください!
みんなの命こそかけがえのないものですから!
これからはちゃんと皆さんの勇姿を見に来ます!
今日はおつかれさまでした〜♪」
元気よくぺこりと頭を下げると?
なんだかすっごい歓声と拍手が舞い上がって、笑い声が空に響いてる。
さっきの狙撃はうまくごまかせたかな?
「さてと、席に戻ろっかリーリエ。
わたしって撃たれた?」
「はい、そのようです。
ですが、ほんとに無敵ですね?」
「あはは! 本当だね!
誰の仕業か知らないけど危ないことするね〜。
騒ぎになっちゃうからとりあえず今のは秘密にしておいてね?」
「……はい」
「二人だけの秘密! やたっ!」
弾丸が逸れてれば他の人に当たってたよね?
リーリエにも暗殺されてるけど、他にもわたしを殺したいってのがいるのかな?
それともコルニクス家?
パパや重臣じゃなくてわたしが狙い。
恨まれることなんかしてないと思うけど?
「サラ様、スピーチ中に寝てしまうほどおつかれなのでしょうか?
聞けば夜間も熱心にお仕事をなさってるとか。
ほどほどにしてくださいませ」
イリスは気づいてなかった。
そりゃ、よそから見ればわたしが派手にのけぞってリーリエが抱きついただけだもんね?
やっぱり他の人も分かってはいないんだと思う。
「心配させちゃってごめんねイリス。
さてと、リーリエ、イリス。
わたし、演習場に降りるね!」
「はい?」
「サラ様!? なぜですか!?」




