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12キス♡軍服ドレスと絶対領域

「リーリエ! おっはよう!」


「おはようございます。

本日は軍事演習場にて軍部の日頃の鍛錬を労ってください」


「ほいほい♪

ねぎらうんだよね!

とりあえず見学してればいいんだ?

それにしてもリーリエったら、この一ヶ月ですっかり王女付き秘書官な感じがマシマシだね♪

今日は軍服だけど、とってもかわいいよ!」


「そうでしょうか?

……こんな服はなくなってしまえばいいんです」


「まあ、戦争する人たちの制服だからねえ。

でもいざとなったら必要になるお仕事だからね!

それじゃあ乗って乗って」


わたしもリーリエもドレスではなく軍服を着ている。

パンツルックではなく割とヒラヒラしたスカートだけど。

ブーツにニーハイソックスとスカートの間が眩しく光ってる。

絶対領域ってやつだ!

王族や貴族向けにデザインされた軍服ドレスと言った感じかな?

髪もメイクもミンケちゃんがいかにも軍人な感じにかわいく仕上げてくれてたりする。

そう、かわいさは忘れない♪


魔導車に乗り込むわたしとリーリエ。

王女であるわたしと行動を共にするために、リーリエにも役職が必要だろうということで秘書官の肩書をつけてもらいました。

リーリエを身近にずっと置くことをパパは最初は嫌がってたけどね。

いつもの「舌を噛む!」っていう殺し文句で苦虫を噛み潰していたっけ。


コルニクス侯爵家にも探りを入れているらしいけど、力のある対立派閥なので中々難しいらしい。

何よりもわたしが余計なことをするなとストップかけてるからね?

だって、そうしないとリーリエの立場が悪くなるかもしれないじゃない。


そんなわけで、前後に護衛する魔導車に挟まれて、聖王都からそこそこ離れた場所にある軍事演習場に移動する。

馬車と違って早いし乗り心地もいいし、睡眠不足のわたしにはうれしい限り♪




「お座りください。

こちらが本日の演習内容の詳細になります」


バサササササッ!


「ふわわ!」


演習場を見下ろすように設置された貴族や各国来賓たちの観覧席。

そして王族の特等席に吹く急な突風。

わたしとリーリエの軍服ドレスのスカートがめくれ上がる勢いではためく。

演習場に整列している大勢の軍人さんたちの視線が思いっきり集中した気がする!

恥ずかしくて燃えそうだよ!

それと。

リーリエが手にしていた書類の束が全部空に舞っていた。

ちゃんとつづりひもで束ねておかないからそうなるんだよ?


「…………」


スカートをはためかせながら、リーリエが舞う書類を無表情に眺めてる。

スカートを押さえた方が良くない?

みんな見てるよ?


「今日もぽんこつ日和ですなあ♪」


あ、暗殺ショートパンツだからいいのか。

でもわたしは生パンだからね?

そういう訳にはいかないよ?

わたしにだって人並みの羞恥心はありますから!


軍事演習はきっちり予定の時間に国王であるパパの挨拶から始まった。

滞りなく予定の通りに進んでいく。


「お〜! 派手だねえ!」


「さすがルパの軍部は精鋭揃いですね?

胸が躍るようです?」

「目が死んでるよ?

まったく胸が踊ってないよね?」


ピシッと背筋正しくわたしの隣に座っているリーリエ。

まるで百年の恋が覚めたような視線でたっぷんなお胸も微動だにしていない。

わたしもこんな目で見られないようにしなくては!

ミンケちゃんにぱくんと食べさせるスプーンいっぱいほども好意を持ってもらえてるかは怪しいけど。


「まあ、結局戦争は嫌だから分かるけどね。

でもさあ、軍事演習って言ってたけど、まるでパレードだね?」


「はい。あくまで王族や貴族、各国に対するアピールにすぎませんから」


リーリエの言う通り、行軍する様子を見せられたり観覧席に向けて敬礼するパフォーマンスがあったりとで、実戦さながらの模擬演習とかはほとんどなかった。


歩兵団の規律正しい行軍

おめかしした軍馬に騎乗した騎士隊の模擬突撃

魔法隊の魔法攻撃のお披露目

しっかり訓練された魔獣戦車の行軍

竜騎士隊の飛行展示や曲芸飛行

などなど


ん? 昨日の魔獣とおんなじのもいる。

まあ、従魔はいろいろだからおんなじ種族もいるか。


皆さん気合いが入っていらっしゃる。

魔法省や従魔省なんかも絡んでることもあって多少張り合ってるらしい。

がんばってはいるんだけど?

近年、大きな戦はなく平和にのんびりしているから有事の際にしっかり戦えるかは微妙なところかも?


隣国とは友好的な和平を結んでいるし貿易も盛んだから、まず戦争になることはないと誰もが思っている。

それもあって軍事関係への支出は年々減らされている。

平和は幸せだねえ。


「しかしまあ、この状況って軍事クーデターとか起こしやすくない?

王族、貴族が集まる観覧席に一発ぶち込めばおしまいだよ?」


「そんなことはあり得ません。

我が国の軍部はこの国を愛していますから」

「イリスはそう言うけどさ?

おっかないことを考える人は必ずいるもんじゃない?」


わたしとリーリエの後ろで護衛として控える近衛騎士イリスちゃんの一言には疑問に感じる。

実際、コルニクス家のような有力派閥や権力のある人たちは、軍事クーデターとまでは言わないけど虎視眈々と狙っているのは間違いないと思うけどなあ。


「そろそろスピーチの時間です」

「へ? ああ、はいはいスピーチね」


ぼけっと眺めていたらあっという間に終わってた。

というか、リーリエの肩にもたれてうたた寝してた。

軍人の皆さん、ごめんなさい!


「……よだれを拭いてください。

それと寝言でわたしを襲うのはやめてください」


「うわ! ごめんごめん。

ちゃんと拭くから!

寝言って?」

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