表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/25

第8話 超人的なレオン

「「「がはっ!?」」」


レオンを庇うため天狼(フェンリル)の爪に貫かれた3人。天狼(フェンリル)がレオンとの交渉を受け入れて爪を抜いた。

それに対してレオンはすぐに3人に対して超回復薬をかける。すると3人のお腹に空いていた大穴が徐々にふさがっていく。


「よかった」


安堵しているレオン。そして即座に天狼(フェンリル)と1対1で戦うための準備に移る。


「レオン兄?どうするつもりなの?」


しゃべれる程度には回復したサーシャがレオンに作戦を問いかける。それに対してイリアリスが自身の考えを提案する。


「レオンのおかげで時間は稼げたのだしもう一度全員で戦いましょう。時間さえ稼げば事態に気付いた冒険者や騎士たちが街からやってきてくれるはずよ」


イリアリスが提案するのは助けを持っての時間稼ぎ。しかしレオンにはそのつもりはなかった。


「……どうやらレオンくんにそのつもりはないみたいですね?どんな秘策があるのですか?」


ナナのその問いに準備の整ったレオンが口にする。


「ずっと気になってたんです……僕の錬成は魔力水と素材を錬成することで様々な薬が作り出されるけど……その作り出された薬をさらに錬成したらどうなるのか……それを今から試します……」


レオンは鞄から強化薬とその素材となるバルト茸×10を取り出して地面において薬液錬成を発動させた。


「錬成!」


ボウン!


そうして作り出されたのが強化薬の進化系である超強化薬だった。しかしそんなレオンの考えに3人は懐疑的。


「レオン兄がそんな考えがあったのに今まで試していなかったのはなんで?」

「必要なかったからだよ。今までで困ったことはなかったからね」

「本当にそれだけかしら?必要がなくともレオンなら作ってみるぐらいはするんじゃない?」

「それは……」


イリアリスの指摘に言いにくそうにしているレオン。そこでナナがレオンが3人を代表して真実を指摘する。


「レオンくんは言っていましたよね?スキルの影響でその素材を錬成すればどんな薬が作れるかがなんとなくわかると……それはどれほど()()なのですか?」


ナナの指摘にこれ以上の言い逃れはできないと理解したレオンは超強化薬の危険性を一言で話す。


「大丈夫……これで()()()()()()()ですから……」

「それって……」


サーシャのつぶやきを聞こえないふりをしてレオンは超強化薬を片手に立ち上がる。まだまだイリアリスもサーシャも言いたいことは山ほどあった。止めるために声をかけようしたがその行動をナナに止められた。ナナはそして2人も本当は理解していた。レオンの覚悟の決めた表情は勝算のない破れかぶれのものではないと。


天狼(フェンリル)!お前のやりたいことは僕たちを殺すことじゃない!僕たちの力を見るためだろう!なんでそんなことをするのかはわからない!でも!だったらよく見ておけ!今から僕が!その力ってやつを示してやる!」


ゴクゴク!


超強化薬を一気に飲み干したレオン。するとすぐに身体に変化が起こった。


「ぐっ!?ぐああああああああああああ!?!?」


胸を押さえ大きな叫び声をあげるレオン。


「「「レオン!?/レオン君!?/レオン兄!?」」」


たまらず声をかけ駆け寄ろうとする3人だがその足が突如として止まった。それはレオンの身体の変化を見たから。


「あれが……レオンなの……」

「レオン君……どうか無事に……」

「レオン兄……」


レオンは元々茶色系の髪色が白く変色しさらに両眼の黒の部分も真っ白に変わった。さらに変わったのは見た目だけではなかった。


「グウウウウ……ウガア!!」


ダン!!


まるで獣のような鳴き声で空高く飛び上がったレオン。そこにレオンの理性は存在しなかった。


『力を示せ。人間よ』


ブン!!


天狼(フェンリル)は上空から迫るレオンに対して尻尾の叩きで対応。それは究極能力(アルティメットスキル)「超剛力」を持つナナでさえ耐えることもできず吹き飛ばされた威力を持つ。


「ガアア!!」


ドガン!!


なんと上空にいながらも迫る天狼(フェンリル)の尻尾を殴ることによって吹き飛ばした。


『それが貴様が示す力か。人間よ』


ダン!!


レオンは空気の壁を叩き加速。天狼(フェンリル)に対して上空から拳を叩き下ろす。


「ガガア!!」


ドガン!!


しかし振るわれた拳は天狼(フェンリル)に当たることはなかった。レオンの拳が当たるその瞬間に天狼(フェンリル)能力(ちから)を行使したから。


バチバチバチバチ


天狼(フェンリル)の身体から周囲に放電される。それが天狼(フェンリル)能力(ちから)。神の怒りとも呼称される(いかずち)を操作する。


『人間よ。貴様の本気を示せ』

「ウガア!!」


そこから始まるは元勇者パーティーの3人さえも驚愕する戦い。(いかずち)を自在に降らし(いかずち)の速度で動く天狼(フェンリル)に対して超人的な動きで回避して天狼(フェンリル)の速度に対抗するレオン。


「ガアア……ガガ!!」


ダダン!!


それまで超人的な身体能力に任せて直線的に獣のように動いていたレオンがフェイントを入れて欺く人間的な動きを見せる。


『成長途上。ならばこれはどうする?』


すると天狼(フェンリル)が口を大きく開き息を吸い込む。(いかずち)が集まり球体となりそれは次第に大きくなっていく。


天破雷哭(ラグナロク・ロア)


ドゴオ!!!


迫る(いかずち)の放撃。それは地面を(えぐ)り一瞬にしてレオンに迫る。


「ダア!!!」


ダザン!!!


レオンは突如として右腕を光らせそれを剣に見立てて振り下ろす。それによって天狼(フェンリル)の最強の一撃を切り裂いた。


『見事だ。人間よ』

「ガアア!!!」


ダン!!


レオンが最短距離を突き進み天狼(フェンリル)に対して脚を振りぬいた。それは僅かに顔を逸らした天狼(フェンリル)の牙をへし折った。


『力は示された。それは褒美だ』


そう言ってレオンたちの前から立ち去ろうとする天狼(フェンリル)。それを追いかけようとするレオンだったが戦いはここまでだった。


「ウガアアアアアアア!?!?」


悲鳴を上げてレオンは倒れこむ。


「「「レオン!?/レオン君!?/レオン兄!?」」」


それに駆け寄るイリアリスたち。それは天狼(フェンリル)からレオンを守ろうとした立ち位置。


『……力を示し者よ。もっと強くなれ……脅威はそこまで迫っている……』


そう言って天狼(フェンリル)は立ち去った。

読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ