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第3話 再会と常識外れ

馬車が王級魔物の死狼(デスウルフ)に襲われていたため自身が(おとり)となったレオン。しかし森の中にてトレントに捕らえられ万事休す。そんな時にレオンを追いかけてきたイリアリス、ナナ、サーシャに助けられた。

/////

「レオン兄!?大丈夫!?」

「レオン傷だらけじゃない!?回復薬を飲みなさい!?早く!?」

「ごめんなさいレオン君。遅くなっちゃいました」


それぞれがレオンを心配する。ちなみにどさくさに紛れてイリアリスが回復薬を口移ししようとしたのでサーシャが阻止。ナナがレオンにやさしく飲ませてあげた。


「ふう……ありがとうナナさん。サーシャもリアさんも……みんながいないと死んでたよ……みんなは命の恩人だね」


ズギュン!


そう3人に対して笑顔でお礼を述べると3人はその笑顔に心を撃たれる。


「あの笑顔は反則ね」

「もしかしたらレオン君と会えないかもって思ってましたからその分より強力でしたね」

「さすがレオン兄……私たちを()()()()だけあるね……」


ぼそぼそとレオンには聞こえないようにつぶやいている3人。今更かもしれないがこの3人はレオンのことが大好きな3人なのである。しかしレオンは鈍感なため3人の気持ちに気が付いていない。今も首をかしげてハテナを浮かべている始末。


「でもどうして3人はここに?ジルグは?」


レオンとしては3人には会いたいと思っていたため嬉しさはあるが勇者パーティーの一員である3人がここにいることが不思議だった。


「ジルグはまあ……生きてはいるんじゃないかしら?」

「仮にも勇者ですから。自分でなんとかしてるんじゃないでしょうか?」

「ってわけで私たちも勇者パーティーを抜けてきたってわけ!これからも一緒に冒険をしようね!レオン兄!」


ガシッ!


どさくさに紛れてサーシャがレオンの右腕に抱き着く。


「ちょっ!?サーシャ!?」

「ふふ♪」


慌てるレオンにうれしそうなサーシャ。しかしそれにはイリアリスが黙っていない。


「レオ~ン。寂しかったわ~」

「リアさんまで!?」


イリアリスは開いているレオンの左腕に抱き着く。サーシャにはない武器を押し付けて。


「ふふん♪」

「ぐぬぬぬぬ!」


愉悦(ゆえつ)の表情を浮かべるイリアリスと悔しそうに睨むサーシャ。その二人に挟まれているレオンは慌てている。


「ちょっと二人とも!?そんなことしてる場合じゃ!?」


レオンが慌てていたのは馬車のほうが気がかりでありそちらに一刻も早く駆け付けたかったから。しかしそんなレオンの心情を理解してかナナがイリアリスとサーシャを制す。


グン!


「こら。二人とも?レオンくんが困ってますよね?それにまだ終わってないんですよ?」


そう二人をレオンから強制的に引きはがしながら叱りつけるナナ。


「ありがとうナナさん。助かったよ」

「うふふ。いいえ、どういたしまして」


なんだかいい雰囲気の二人に悔しそうなイリアリスとサーシャ。


「それじゃあ行こう!まだ間に合う人がいるかもしれない!」


そう言ってレオンは馬車に向かって駆け出した。森を抜けるとまだ馬車はそこにあり騎士たちは倒れたまま。そして1人無事な騎士は馬車の中で悲痛な声を上げていた。


「くそっ!?やはり解毒薬も効果なしか!?」

「ガイストさん……お父様たちに……先行く不幸をお許しくださいと……」

「エミリアお嬢様!?」


馬車の中には十代前半ほどの女の子が苦しそうに横になっておりそのそばにガイストと呼ばれた騎士が存在する。そしてレオンたちは馬車に近づき声をかける。


「状況を教えてください!僕は薬を持っています!」


その声にガイストと呼ばれた騎士が警戒心を抱きながらも冷静に答える。


「君は先ほどの……助けてくれたことは感謝する。だがお嬢様は死狼(デスウルフ)に嚙まれたのだ……一縷の望みにかけて解毒薬を飲んでいただいたが……効果がなかった……くそっ!」


自身の守るべき者が苦しんでいるというのに救う手立てがないという現状に拳を強く握り苛立(いらだ)ちを露わにする騎士。


死狼(デスウルフ)に?それじゃあ普通の解毒薬じゃあ効果がないわね」

死狼(デスウルフ)に攻撃をくらえば身体の中に毒が蔓延する。その毒は決して治療不可能の毒でありあとは死を待つのみ……っていうのが世界の常識だけど……」

「騎士の方。ちょっと離れてくださいね」


ナナが女の子から騎士ガイストを引きはがす。それはレオンが治療するスペースを確保するというのと邪魔させないために。


ガシッ!


「ぬわっ!?なにを!?」

「暴れないでください。今からレオン君がお嬢様を助けますから」

「助けるだと!?何を馬鹿な!?聞いていなかったのか!?お嬢様は死狼(デスウルフ)に嚙まれたんだぞ!?死狼(デスウルフ)の毒はいまだに特効薬が存在せずどんな解毒薬も!?」


騎士ガイストの言葉は正しい。それが()()()()()であり真実だから。しかしその()()()()()を狂わせ異常な結果を発揮するのが原初能力(オリジンスキル)である。


「これを飲んで」


レオンが寝転がっている女の子の上半身を持ち上げて鞄から出した瓶を女の子に見せる。しかし女の子はそれに対して首を横に振る。


「無駄なんです……わたしに解毒薬は……」

「騙されたと思って飲んでみて。これなら効果があるはずだから」

「効果があるなど……そんなわけが……」


信じない女の子。しかし時間がないと判断したレオンは半ば強引に口を開けさせて飲ませようとした。


「ごめんね」


グイッ


「うぐっ!?」

「お嬢様ー!?」


叫び声をあげる騎士ガイスト。駆け寄りたいがナナの異常な力によってビクともしない。すべてを飲み終えた女の子。すると徐々に生気を取り戻したかのように肌に色が戻っていった。


「あれ?苦しくない?」


死ぬ覚悟を決めていた女の子。しかし先ほどまで存在した苦しみが一切なくなったことに疑問の声を上げる。


「そうか。元気になってよかった」


なでなで


女の子の頭を撫でるレオン。それに対していち早く反応したのがサーシャ。


「はいはい。レオン兄もういいでしょ?離れて離れて」

「まったくレオンったら。隙を見ては女の子を口説くんだから」

「口説くなんてそんな!?」

「無自覚なレオンくん。かわいいですよ」


そんなほのぼの空間が流れている現場を横切り解放された騎士ガイストが一目散に女の子に駆け寄る。


「お嬢様!?ご無事なのですか!?」

「はい……身体の苦しみも痛みもなにもありません……理解はできませんがおそらく死狼(デスウルフ)の毒が解毒されています……」


その報告に騎士ガイストは信じられないといった表情でレオンを見る。


「そんな……馬鹿な……彼らは一体……」


レオンの強さは確かに平均よりも少し上程度であり戦闘力でいえば勇者パーティーにはふさわしくはないだろう。しかしレオンの存在はイリアリス、ナナ、サーシャ以上に規格外で常識外れだった。

イリアリス・フェルナ:28歳で究極能力(アルティメットスキル)「氷結魔法」を所持。

ナナ・ガーデナンド:25歳で究極能力(アルティメットスキル)「超剛力」を所持。

サーシャ・パウンド:16歳で究極能力(アルティメットスキル)闇殺(あんさつ)」を所持。

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読んでくださりありがとうございます!


もし少しでも面白いと思ったら☆☆☆☆☆をつけてくれるとそれが作者の描き続ける原動力となります!よろしくお願いします!

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