表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/9

第9話 いじめのケジメ

今日も、教室に着いた。


 やはり、奴らは居る。


 こちらを見つめて、にやけている。


 また、始まるのだろう。




 黒パーカーが近づいて来た。



「まだ来るんだw」


 彼女は笑いながらそう言う。


「そうだけど?」


 当たり前だ。


 来るに決まっている。こんな奴の為に、人生を無駄には出来ない。


「来んなよ」


「無理でしょ」


「あ?」


 二の腕を掴まれる。


 またか。


 二の腕に痛みが走る。


「……」


「来んなってんだよ」


「嫌だって言ってるじゃん」


 二の腕に走る痛みが増える。


「……あっそう。なら、来させない様にするまでだよねw」


 何を言ってるんだろうか?


 そっちは既に、そうなる様に仕向けてるだろう?


「今までのやつじゃ、足りないって事じゃん」


「……?」


「カッターで切ってみるw?」


「なっ……!」


 カッター?


 冗談じゃない!


 一線を越える様な馬鹿では無いと思っていたけど……馬鹿だったの?!


「ちょ、紫鈴ちゃん、それは不味いんじゃない?」

 萌え袖が静止しようとする。


「何?止める気?」


「……いや……でも……」


「アンタがやられたい訳?」


「……やっぱ何でも無い」


「じゃ、やりますかw」


 カッターがカリカリと音を立てて、刃先を露わにする。


「な……!本当にやる気?馬鹿なの?」


「やるから。当たり前じゃない?」


 興奮か否か、黒パーカーの声は少しばかり震えていた。


 直後、私は廊下に逃げようとした。


「あ、待てって!」


 黒パーカーも追ってくる。


 私は全力で逃げた。


 目的地は、職員室までであった。


 しかし、足を滑らせ、転んでしまった。


 私は教室前の廊下に倒れた。


「ダッサw何転んでんの?」


 直後、二人の取り巻きに抑えられた。


「カッターでどれくらい切れるか、試してみたかったのよねw」


 カッターがチラチラと光る。



 流石に命の危険を感じ、ジタバタと悶えた。


 しかし、足を抑えられ、動きが取れなくなった。



 直後、黒パーカーの後ろから、ガシャガシャと云う音が聞こえてきた。


 それに気付いたのか、黒パーカーも後ろを向く。


 


 直後、黒パーカーが後ろに跳ねられた。


 取り巻き達はそれを避け、私の拘束を解く。


 私も瞬時に逃げ、黒パーカーは思い切り後頭部を、ぶつけた。


「ゲホッ……ゲホッ……」


 黒パーカーは咳き込み、片腕で鳩尾を抱え、片手で後頭部を抑えていた。




 それをやってのけたのは、警備デュラハンの、ガーデンであった。


 刺股を持ち、突いた、又は刺股で押した様な構えで立っていた。


 直後、後ろに振り返り、そのまま去って行った。



「な、何で警備デュラハンが……!」


 萌え袖が驚きを声に出す。


「と、取り敢えず保健室……!」


 白パーカーが、黒パーカーに肩を貸して、三人は消えて行った。


 


 それから、黒パーカーは今日は早退したらしい。


 ……一体、何が起こったのだろうか?



 ―――――――――タワシ編―――――――――――――――



 俺は今日、とある計画を実行する。


 それは何か?


 スカッとさせんだよ!


 さて、会議で色々な情報が集められたので、それを散々利用した、我ながら天才的な復讐だ。




「さて、ではどうやってやってやります?」


 会議が進行していた。


 小さな食卓を囲み、鎧、大人、タワシが並ぶ。


「……迂闊に動けはしない。バレたら大変な事になる」

 と、旦那。


「警備デュラハンもいる。しかも、2体だ」

 と、青騎士さん。


 そうか、この2人はもう既に、施設に関しては把握してるのか。


 まぁ、プリントとか渡されるだろうしな。


「……てか俺、そいつらに一瞬バレそうになったんですよ」


「……難しいな」


「デュラハンは、魂を感じる事が出来るからね……」


「あ」


「どうした?!」


「……それ、利用しましょう!」


「「は?」」


 2人の声が揃った。



「えっと、警護デュラハンですよね?て事は、刺股とか有りますよね?」



「まぁ、あるね。普段は持ってないだろうけど」


「何処にあるか分かります?」


「分かるけど……」


「プリントとか有りますよね?」


「あ、じゃあそれ持って来て書くわ」


「ありがとうございます」


 その後旦那が、地図を持って来て、それに刺股の位置を書いた。


「……成る程」


「……で、何をするんだい?」


「これらに憑依して、俺が追われるんですよ」


「は?」


「勿論、リスクは分かってます。ですが、一旦説明を聞いて下さい」


「わ、分かった……」




 ①刺股に憑依する


 ②その状態で、デュラハンに追いかけられる


 ③その状態でいじめの主犯に追突する


 ④デュラハンが、俺を捕まえようと、刺股を掴む


 ⑤その瞬間に憑依を解除する


 ⑥その場を離れる


 ⑦すると、デュラハンが事件を起こした。みたいになる




「どうです?」


「……リスクが高くないか?」


 青騎士さんが応えた。


「そうでもしないと……」


「いや、もう少し慎重になるべきだ。それに……」


「いや、青騎士。これは良いかも知れない」

 旦那が青騎士さんを止めた。


「何?………………あぁ、なる程な」

 青騎士さんは少し考え、納得した。


「どうしたんです?」


「いや、何でもないよ。ごめんごめん」


「……?ま、まぁ良いですけど……」


「僕らはそれで良いと思う」


「本当ですか!」


「ただし、それは君の技量がメインになる。大丈夫かい?」


「勿論です!」


「よし、じゃあ、決行だ」



 ――――――――――――――――――――――――――――


 そんな事があったのだ。


 そして、計画は、ついさっき完了した。


 作戦は上手くいった。


 悪いが、俺はとてもスッキリとした。


 美琴ちゃんもそうだと願おう。



 さて。



 俺はとっとと家に帰りますかね。


―――――――――――――――――――――――――――――――



「ただいまです」


 俺は、物置にある、本体のタワシに戻る。


「おっ、帰ったか」 


「おかえり。どうなった?」


 二人が迎えてくれた。


「成功しましたよ!」


「良くやった」

 青騎士さんが褒めてくれた。嬉しい。


「……おめでとう」

 旦那も褒めてくれた。嬉しい。





「……さて、後は僕たちが後処理をしよう」


「え?後処理?」


「そう。後処理だ」



 後処理……。


 なんだか物騒な響きであるが、大事件を起こすわけでもあるまい。


 俺は俺で、美琴ちゃんを見守るとしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ