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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

同一世界

冒険者ギルド受付嬢の苦悩

作者: 日月星

 私このギルドの受付になってから数年以上のベテランです。他の受付には仕事が早くて優秀だと言われていますし、冒険者には斡旋する仕事が実力に合ったものを選ぶ天才と一目置かれています。ですが、以前一度だけどうしようも無い事ですが、残念な事がありました。



 様々なところで活躍する4人組の冒険者パーティーが居ました。少人数ながら危険な区域の採取依頼から討伐依頼まで何でもこなす優秀なパーティーだったのです。凄腕の剣士、万能な魔法使い、どんな武器でも扱える武具職人(ウェポンマスター)、膨大な知識を持つ学者で構成されていました。

 冒険者の間では、知識は有っても戦闘では役に立たないと言われていた学者も、このパーティーでは違いました。決してお荷物になるようなことが無かったのです。その膨大な知識から戦闘に有利な場所を指示したり、弱点を見抜いたり、さらには護身術を使えたため、自分の身は自分で守れたのです。

 他の3人は学者を馬鹿にする事なく良く話を聞き、指示に従いました。そして、学者には劣りますがそれなりに多くの知識を身に付けたのです。

 そんな4人組は冒険者の中でも一握りの者しかなれない、Sランクになっていました。それもパーティーとしてではなく、個々でSランクになってしまったのです。現在活動している冒険者の中でSランクはその4人を含めて10人も居ません。また、パーティーでSランクに指定されているのはたったの3組だけです。

 どれほどこの4人組が強く規格外かお分かりいただけるでしょうか。



 さて、これの何が残念かと言いますと、実は解散してしまったのです。いつも通り大きな仕事を終えた4人は報酬を受け取りに受付に来ました。そして、分配が終わったと思ったら、リーダーの魔法使いがパーティー解散の手続きをしたいと言い始めたのです。皆さんまだまだ若く冒険者としてこれからも十分以上に活躍できるはずです。言葉を尽くして解散しないで欲しいと説得したのですが…所詮は受付嬢です。冒険者の決定を撤回などさせることは出来ませんでした。魔法使いはさっと書類を書いてしまいました。

 そして、魔法使いと剣士は引退するからと軽く言って、冒険者ライセンスを置いて出て行ってしまったのです。まさか冒険者自体を辞めるとは思わず呆然として見送ってしまいました。はっと気付いて追いかけようとしましたが手遅れでした。あれほどの実力者が雲隠れしてしまえば素人には探す事など出来ません。

 学者と武具職人(ウェポンマスター)はソロで活動するとの事でした。お2人だけでも残ってくれて良かったです。ですが、魔法使いと剣士の引退はご存知だったのでしょうか。お2人がギルドを出て行った際学者達も呆然としているように見えたのですが。

 実際、これ以降学者や武具職人(ウェポンマスター)がソロで依頼を受けに来る際にお2人の情報をお求めになります。やはり、引退まではご存知なかったのですね。ですが、ギルドの情報網を駆使してもお2人の噂一つとして手に入っておりません。


 本当に残念でなりません。実力もさることながら人柄もよく冒険者の憧れだった4人組。その解散を受け付けてしまっただけでなく、その内の2人の引退までこの目で見てしまったのですから。引退から数年経っても未だに引き留められなかったことを後悔しております。


 出来る事ならもう一度冒険者に復帰してくださらないでしょうか。最近は強い魔獣が多く出現しておりますし、ライセンスはギルド長の決定でいつでも返せるように保管してあるのですが。


 これから低ランクの冒険者に被害が増える前にお2人がお戻りになるのを切に願いながら、受付に従事しています。

お読みいただきありがとうございます。


感想、評価いただけると嬉しいです。

今後の参考とさせていただきます。


これからもよろしくお願いします。

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