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76 『魔力』9999

「下もそろそろ終わったみたいね……」


 セレスがチラッと騎士団長とオスリーの戦いに触れた。




 終わったんだ……

 一体どうなった?



「安心してください、勝ったのはグレンさん達です」


 すごい……あのオスリーにグレン達が、騎士団長達が勝った。


「サレムさんから出てる白い光、それがみなさんにも影響を与えて普段以上の力が出たんです」


「俺の力なのか?」


「はい、間違いなく」



 そう言うとラピスは俺のステータスを表示させた。


[ステータス]

ーーーーーーーーーーーー


名前 サレム・ノヴァ


攻撃 9999

防御    5

魔力 9999

精神 9999


ーーーーーーーーーーーー



 えっ!? これって……


 『魔力』が9999になってる。


「もしかして白い光がでたのも魔力が影響してるのか?」


「はい、おそらくサレムさんは支援系の力が強いんです。そのため強い魔力を得た結果味方と認識した方の能力が向上した……」


「俺はてっきり昔みたいにラピスの力でみんなの能力が少し上がった程度のものだと思ってたんだけど」


「グレンさん達の戦いに関してはそれどころではない、すごい力が働いたのでしょうね。さすがサレムさんです!」



 ラピスに告白したたからなのかな。

 まさかついに魔力までカンストするとは……



「本当にバカな神ね……それだけの魔力を持ってたら支援に特化してるとか関係なしに周りに影響くらい与えるのよ」


 セレスが話に入ってきた。


「ステータス2つが限界まで上がってるだけでも驚きだけど、ここにきて3つ目までいくなんてね……こんな人間聞いたことないわ」


「俺のステータスってそんなにすごいことなのか……?」


 全然実感がない……なんせつい最近までただの雑魚だったしなぁ……


「限界に達してないステータスの圧倒的低さまで含めて、見る人が見たら一生研究対象として解剖されるほどのレア素体よアナタは」


 そうなんだ……


 セレスの顔が少し寂しそうに見えた。

 なんで俺に向けてこんな表情をするんだ……?



ーやめてください……ー


 なんだ? これはセレスの声……?

 今よりももっと幼い声に聞こえるけど……


 目の前のセレスは別にしゃべってない。 まさか心の声?

 いやそういう感じじゃない。


ー私、世界で一番役に立つ神になってみせます!ー


 これは、セレスの心の中の声。


 魔力が高くなった効果でこんな声が伝わるようになったのか……



 セレスは追放される前は天界のために頑張ろうとしている時期もあったんだ。



ーどうして私の気持ちがわかってもらえないんですか! 好きでこんな体に産まれたわけじゃないのに!ー


 神と邪神の間に産まれた苦悩……



「勝手に覗き込まないで!」


 はっ! バレてた……


「別にこっそりやろうと思ってたわけではないんだ……でも……」


「下手に力を手に入れたっていいことなんて何もないのよ! すぐにわかるんだから」


 やっぱり何か過去にあったんだ……


「きっとセレスさんは、神と邪神の間に産まれた珍しい体だったので、サレムさんに言ったように研究されそうになったのでは」


 ラピスの一言でセレスの顔が変わった。


「やめろぉぉぉ!!!」


 口調が……


 体から黒い光が漂いだしてきてる。これは邪神の力か?


 俺とラピスのせいで思い出したくない部分を思い出して、ドス黒い気持ちが抑えられなくなってしまったんだ。



「ラピス。止めるぞ」


「はい!」


 詳しくはわからない。天界にもきっと色々なことがあるんだろうけど、その結果追放されて、その腹いせか何か知らないけどクーガを破壊することを楽しむなんてやっぱり許せない。



「セレス! 理由はどうあれストレス解消のはけ口に俺の大切な国は使わせない!」



「うるさい! これ以上イライラさせるようなら、みんな……みんな壊してもいいんだ!」 



 こんなに不安定な性格になってしまったのも、もしかして天界で研究者達に色々とされたせいなんじゃ……

 だから体も成長しきらずに……




 セレスは暗黒空間を一気に数十個放出し、体の周りに漂わせた。


 この一つにでも触れたら終わりだ……



「ラピス、守りは任せるぞ」




 俺はなぜか、オスリーのエクスカリバーのことを考えていた。


 完全な無属性攻撃。


 それを使うためには、何が必要なのか。


 攻撃が高くても、魔力が高くても結局それは無属性とは言えない。





 神の体に効果のある攻撃、それはオスリーのような無属性攻撃がいい。


 



「アンタ! 無防備でこっちにくるなんて、バカなの!?」


 セレスが驚くのも無理がない。


 『攻撃』も『魔力』も『精神』も全て無の状態でゆっくりとセレスに向かっていく。




 その間にも暗黒空間は襲ってきてるが、ラピスが消滅させていく。



「バカなの!? 何考えてるのよ!」



「俺は少し前までなんの取り柄もない『無能』と言われていたんだ」



 元から才能に溢れていたやつのことなんて俺には当然わからない。


 強くなったから変わって言われるのは絶対にいやだ!



「エクスカリバーの正体は『0』だ!」



 セレスは俺が倒す。


 こいつはここにいたらいけない存在なんだ!



「うそ……」



 エクスカリバーとは違う、俺の全てのステータスを無にした時に発生する力の歪みともいれる空間。



 セレスの出した暗黒空間に対抗して、光空間とでも言うべきかな……


 とっさに思いついたことだけど、意外とうまくいくもんだ。



 数十の暗黒空間は俺の光空間に吸い込まれていく。



 そしてセレスも。



「闇の心と共にここからいなくなれセレス」



「いやぁぁぁぁぁぁ、なんで! なんで私が!!」



 スウゥゥゥゥ…………



 その言葉を最後にセレスは光空間に吸い込まれていった。


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