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59 天界を追放された女の子

 誰だこの子……


 10歳くらいの街のどこにでもいそうな女の子が知らないうちに背後に立っていた。


「どうしたの? ここに迷い込んじゃったのかな?」


 そんなことありえないとは思うんだけど……

 なんでここにこんな子がいるのか理由が全くわからない。


「何よ、アンタもあたしのこと子供扱いするつもり?」


「えっ、子供扱い? っていうか子供にしか……」


 こんな子の生命力なんて感じなかったぞ。

 ずっとここにいたわけじゃないはず……


 小声でラピスに、話しかける。


「ラピス、この子の生命力を感知できてたか?」


「いえ……間違いなく先ほどまではいませんでした、それよりもこの子の生命力、普通じゃありません……」


「普通じゃない?」


 この子普通の小さい女の子じゃないってことか?



「みんなあたしのことバカにして……どうせ今も2人でコソコソとあたしの悪口でも言ってたんでしょ?」


 2人で……?

 この子、ラピスのことが見えてる。



「えーっと……君、いやいや、あなたは何者なのかな?」


 アッシュ様ですら見えないラピスが見える子……


 今まで人間でラピスを見える奴なんて誰もいなかったぞ……


 ラピスも普通の生命力じゃないって言ってたよな、まさかこの子、人間じゃないんじゃ……


「何者って……アンタ達が呼ぶから来たんじゃない」


 さっぱりわからない……

 俺達がこの子を呼んだ?


「あの……私もサレムさんもあなたの事は呼んだ覚えがないです、何を言っているのかわからないんですけど……」


 ラピスの問いかけを聴き女の子は大きくため息をついた。


「アンタそれでも神なの?」


 !?


 知ってる……


「なんでラピスのことを?」


 得体の知れない不気味さに思わず剣を構えていた。


 その横をラピスが女の子に近寄っていく。


「危ないぞラピス、行かない方が!」


 呑気かよ!

 普通初めて姿を見られた相手に近寄っていくか?


「あなたも神様なのですか?」


「神様!?」


 この女の子が?


 確かに不気味なところはあるけど地面に足もついてるし、ラピスとも全然雰囲気が違う……


「元ね……私は天界を追放されてるから」


 天界を追放された神様??


「ラピス……どういうこと……?」


 神様が追放されるとかあるもんなのか?

 しかもこんな小さな子が……


「私も聞いたことないです……追放なんて」


「あぁ、なんだ……」


 ほら、やっぱり。

 この子は神様気取りの小さい子なんだろ……

 シロナみたいに生まれつき加護を持ってしまって勘違いでもしたんだろうきっと……


 ラピスが見えるのはよくわからないけど……


「まぁ別に信じてもらえないから困るってことでもないし、勝手に勘違いしててよ」


 なんか子供らしくない冷たい子だなぁ……


「で、どうしてこんなところにいるのかな?」


 言葉遣いが難しいな子供扱いしたら怒られそうだし……

 なんかツンツンしてる女の子はプイッと横を向いたまま答えた。


「アンタらが呼んだってさっきも言ったでしょ」


 それが一番意味がわからないんだよ!

 呼んだ覚えがないんだって……


 誰がこの子を呼び出したんだよ!


「あ……もしかして、新しい騎士団の発表……」


 トアテラの発表式? それと呼び出しに何の関係が……?


「ダメだ……何もかもがわからない……」


 この子何者なんだよ……


「いい? 神っていうのは人の願いに寄ってくるの、アンタらがやってたその催し物に私は釣られてしまったってわけ……」


「知らなかった……でも呼ばれたってのは? その集まりが呼んだって意味になるの?」


「そんなわけないでしょ、集まりを先導した奴が集まりの代表よ。要は私の話を受ける窓口役ね」


 集まりの先導……


「オスリー」


 ってことだよな……この子はオスリーが呼んだ。


「そうそうそんな名前だったわ、つまんない奴だから離れちゃったのよ」


 やっぱりか、このことはオスリーが、全部仕組んだことだった。


「もうオスリーにも会ってるのか」


「あのおじさんね……「これで私も神だ」とか訳わかんないこと言ってたから放ってきちゃった」


 神になりたかった?

 それが目的でここまでやってきたのか……


「それでここにやってきたと」


「なんだか活きのいい生命力がここならありそうだったからね、来てみたらとんだ茶番だったけど」

 


「待ってください! 追放された神様がなんで儀式に呼ばれるんですか?」


 ラピスが話に割り込んできた。


「確かに、追放されたのなら神様じゃないんだよな? なんで呼ばれるんだよ」


 こいつ、やっぱり何者だ?


「だから言ってるじゃない、中途半端な集会を開くから中途半端ならあたしなんかが呼ばれるのよ! 別に来たくて来たわけじゃないんだから! 偶然近くにいただけよ」


「えーっと、要するに神様を呼ぶために集会を開いたけど、それがイマイチだったから、追放されたあなたが来ることになったと?」


 なんのことやらよくわからないけど、神様のしきたりってやつだとそういうことになっているのかな。


「まあそんなとこ……」


 結局オスリーの野望は失敗だったってことか……

 ざまぁみろって感じはするけど……


 って待てよ……


「サレムさん、上で起きてる大変なことって……」


 だよな……


 なんかこの子が関係してる気がする……


「なぁ、城でなんか大変なことが起きてるらしいんだけど、何かやってないか?」


「あたしにはセレスって名前があるの! なぁじゃなくてちゃんと呼んで!」


 めんどくさいな……本当に子供みたいな子だ……


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