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41 メルトはどこだ

 コツは掴めた、レッドゴーレムですら核さえ破壊すればそのまま崩れてくんだ!


「お前……今何をしたんだ?」


 グレンが目を見開いて俺に問いかけてきた。


「何って……えぇっと、物質系のモンスターの心臓代わりとなってる核を斬ってみたら上手くいったっていうか……」


「こんな高ランクのモンスターの核の位置をどうして知ってんだ!?」


「俺もさっきできるようになったんだけど、気持ちを落ち着けて集中したら感知できるようになって」


「さっき!? 意味わかんねぇぞ、このダンジョンに入ってから成長したっていうのか?」


「う……うん、実は魔法が効かないのがわかったのもさっきなんだけど」


 何言っているんだって顔をグレンがしてる、けど俺だってよくわからないんだ……

 『精神』ステータス9999、もしかしてこれ『攻撃 9999』よりも便利で強力なんじゃないか……?



「能力を行き当たりで使って効果があるのは、すげぇことだけど関心はしねえな……危険だ」


「うっ……」


 確かに……騎士であるなら日頃の鍛錬で得た積み重ねの力を発揮すべきで、俺みたいにその場しのぎで能力を使えるようになっていくのは本当はリスクが大きくてやるべきじゃないんだ……


「そんな申し訳なさそうな顔するな、今使ったその力は使いこなすとまではいかなくても十分使えるんだろ? ならそれを使ってボスを倒しちまおう」


「あっ……わかった……」


 てっきり、そんな不安定な能力使うんじゃねぇとかって言われるのかと思った……

 『精神 9999』は『攻撃』と違って色々な効果があるみたいだからまだ未開なところがあるけど、『魔法無効』と『生命力感知』だけなら使いこなせるはず。


「この溶岩を操ってそうな宝石野郎は感知できそうなのか?」


 メルトの核の位置か、この大広間全体を感知できるかまではわからないけど……


 見つけられないと倒せない……集中次第だ。



 さっきまでのは俺に近づいてくるものだけ相手を感知するだけだったから簡単だったけど、感知するエリアを広げるってのはさっきより集中しないと難しそうだぞ……


 ドクン……


 ドクン……


 よし! これだ、神経を研ぎ澄ませると自分の心音が強く聞こえてくる。


 あとはこのまま意識を外へ。



 あっ、まずい! モンスターが近づいてきてる、ゴツゴツした硬くて熱い大きい生命力、これはレッドゴーレムか。


 向かってくるレッドゴーレムを遮るようにグレンがフォローに入ってきた。


「近づいてくる奴らは俺がなんとかする、お前は集中して感知を続けろ!」


 その言葉通りグレンは近づいてきたレッドゴーレムを燃やし尽くし、消滅させた。


 さすが赤門、頼りになるな……

 この場でならこの人ほど信頼できる人はいない、俺はメルトを見つけ出すことにだけ集中すればいい。



「頑張ってサレムさん! 意識を広げて行けばきっとできるはずです!」


 意識を広げるか……ラピスはそうやって広い範囲の生命力を探ってるんだな……


 不思議だな、俺がラピスの使える感知と同じようなことができるようになるなんてな……

 まさか俺、神様だったりして……そんな訳ないか……



 すうっと、意識が広がっていくような感覚がした。


 本当に不思議だ……なんでこんなにあっさり掴めるのか自分でもわからないけど感覚が広がっていくってやつがわかる。



 俺の直近にいるのは当然グレンだ、本人の性格の通りまっすぐで大きくて熱い生命力だ。

 その直近でレッドゴーレムとロックボムがうようよ動いてる、グレンと戦ったり様子を伺っているような感じなのかな……


 でも俺が探してるのはこの生命力じゃない……


 メルトはどこにいる? この大広間にはもういないのか?



 ん? レッドゴーレム達がより増えてきてる……俺が集中していることを警戒して増援してるのか……?

 ってことは見えてる、見える位置にメルトはいる!


 増援が増えているのは、大広間の端の方からだった……そのエリアに何か別の生命力はないか?



 ドクン……ドクン……



 ドクン………






 ズ……ズズズズ…………



 わかった! 土の中だ!


 溶岩の中に隠れてるんじゃなくて、そのさらに下の土に潜って様子を伺ってたんだ!


 溶岩だけを探してても見つからなかった……俺の感知がなければ探しきれない相手だったな……



 メルトはこうやって土の中に隠れてて、変化があった時にだけ様子を見に顔を出してくるんだ。


 溶岩を通じて俺達の動きはある程度察されているんだろうしなぁ……さてどうする……



「ラピス、ちょっと手伝ってもらってもいいか?」


「もちろんです!」



 均衡していてもこの場は変わらない、俺も動かないと!


 ラピスに耳打ちをして、剣を握りしめた。



「グレン大丈夫か!?」


 ずいぶんグレンひとりに任せきりにしてしまった、さすがのグレンといえども疲れはあるに違いない……


「おう! 余裕だ! まだまだいくらでもやれるぞ! それより感知はどうした?」


「大丈夫だ! まあ見ててくれ」


 剣を振りかざした、『攻撃 9999』の破壊力を見せてやる……


 全力の剣を地面に向けて叩きつけた。



 ズドオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ


 

 大きな音を立てて、地面がベコリとヘコんでいった。

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