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39 魔法の効かない体

 ダンジョン内で異質なほど広い大広間にでた、ざっと見ただけでも100メートル四方はありそうな馬鹿でかい場所だ。


 そしてラピスの感じる強い生命力が集まる場所……


 ボスが待ち構えてるってところなんだろうけど見た目には何もいる気配はない……


 広間中に充満する膝丈までの溶岩が不気味にボコボコと所々で気泡を上がらせている。


「どういうことなんだ……?」


 ラピスの言ってた生命力ってのが間違ってたのか?


 そんなはずないというようにラピスはキョロキョロし、あたりを見回している。


「変なんです……確かに感じるんですけど……もう接触してるはずなんです」


 もう接触してる……? なのに見当たらない、もしかして気付いてないだけなのか?


 これまでで違いと言ったら……

 何気なく足元に目を向けた。



 もしかして……



「グレン!」


 俺が声をかけた時にはグレンは飛び跳ねていた。


「お前も違和感を感じたか、この溶岩なんか変だよな?」


 さすがグレン、しっかり感じ取っていたみたいだ。

 考えたくはないけど、この大広間から漏れ出すほどの溶岩全てがラピスの言ってた生命力の正体。


 多分こいつがこのダンジョンのボスだ!


「サレムさん! 集まってた生命力がひとつに固まってます!」


「この溶岩がモンスターってことだよな?」


「そうです!」


 そういうとこのモンスターをステータスを表示させた。


 [ステータス]

ーーーーーーーーーーーー


名前 メルト


攻撃 1000

防御    0

魔力 4000

精神    0


ーーーーーーーーーーーー


 なんだこいつ……俺並みに極端なステータスだな……


 気になるのは『防御』も『精神』も0なところか、これなら攻撃が当たれば即倒せるってことだよな。


 

 溶岩の気泡が激しく立ち込めだした。


 なんだなんだ、攻撃か?


「サレム気を付けろ! お前の周りおかしいぞ!」


 確かにそうだ……俺の周りだけ気泡が異常に出ている。


 ボコ……


 俺の真下の溶岩が盛り上がり、滝が逆流するように一気に上昇し飲み込まれた。


「サレムゥゥゥゥゥ!」


 溶岩に飲み込まれてちゃんとは聞き取れないけど、グレンが俺を読んだ気がする。


 きっとこれは魔力による攻撃なんだろうな……

 上昇する溶岩の圧は中々のものだけど、『精神 9999』の俺の前では魔力による攻撃は無意味なようだ、全然痛みすら感じない。


 しばらくすると溶岩の上昇が穏やかになって、大広間が見えてきた。


 やっと視界がクリアになった。


 念のため体を確認するけど、ダメージどころか服への汚れすらついてなかった。


「お……おい、サレム……なんで何もなかったようなツラしてんだよ、今ので何もダメージがないのかよ?」


 グレンがらしくもなく異様に驚いてる……今の攻撃そんなにすごいものだったのかな……


 ちらっとラピスの顔を見る。


「グレンさんが驚くのも無理ないでしょうね……グレンさんの加護であっても今の逆流する溶岩を受けたらそれなりのダメージを受けた可能性が高いです」


 そんなすごい攻撃だったのか……

 たった今知ったステータス上昇効果が俺自身全然理解できてないな……

 魔法攻撃的なものであれば完封できると思っていいのか、すげえな俺の体!


「俺も知らなかったけど、魔法が効かない体みたいなんだ」


 グレンへの説明はこれくらいで大丈夫かな……


「バカな! そんな奴聞いたことないぞ!」


 自分でもダメージを受けるだろう一撃を俺が無傷だったことがグレンにはまだ受け入れ切れてないのか、俺の体を頭から爪先までジロジロと見つめてる……

 それにしてもこんな時でもグレンはどこか嬉しそうだ。


「あっ! サレムさん、見てくださいあそこ!」


 ラピスが広間の先を指さした。


 溶岩が1メートルほど浮きあがり、その盛り上がった溶岩に目や口がついている。

 このモンスターの顔? 攻撃をしたのに無傷な俺を疑問に感じ観察しているのか?


「おい、その顔の中に宝石が見えないか?」


 グレンのモンスターの視線に気づくとともに何か気付いたみたいだ。


 宝石……?



 目を凝らして見てみると、溶岩でできた顔の奥の方に拳程度の石が見える。


「もしかしてあれが、ヒートストーンなんじゃ」


 そしてこのメルトってモンスターの核に違いない!



 注目をしていると、メルトは大広間中に流れる溶岩の中に顔を引っ込めた。



「消えた……」


 隠れられてしまうと厄介だな……


 この広間中を探して核を探し出さないとこいつは倒せない……

 反対にメルトはどこからでも攻撃し放題だ。


 さっきの攻撃は魔法攻撃みたいだから運良く効かなかったけど、よく考えたらこいつ攻撃も1000もあるんだよな……


 魔法が効果ないだけで物理攻撃に弱いことが万が一バレたらおしまいだ……なんせ足元は常に相手に掴まれているようなもんだ……


「モグラ叩きでもしろってのかよ……」


 メルトが次に顔を出してくる保証はない……その時を狙って攻撃をするのが一番効果的なように思えるけど……


「グボォォォォォ!」


 なんか聞き覚えのある叫び声……


「こんな時に出てくるのかよ……」



 溶岩の中からレッドゴーレムが起き上がってきた。


 こいつは物理攻撃もやってくる……


 しかもレッドゴーレムが何体も出てきている、おいおい本気かよ……

 こいつも相手にしながらメルトの核を探さないといけないのかよ……


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