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23 雷電狼捕獲作戦

 摩訶不思議だ……


 俺は今、巨大な斧に乗って帽子山の頂上を目指している。

 木々をかき分けながら……というより巨大な大木さえもなぎ倒し凄まじい速度で斧は駆け上がっていく。


「こんなすごい能力があるのになんで他の冒険者達に置いてかれてたんだ?」


 この力を使えば雷電狼リューガルを探すことも簡単なんじゃ……?


「この力に頼ってばかりだと私自身が強くなれない気がするんです、使うなって言われてたのものあるんですけど……強くなりたいんで能力に頼りすぎないようにしているんです!」


「いい心がけだ、加護にばかり頼って自分を鍛えないのは騎士失格っていうのはよく言われる格言なんだ」


 まぁマジメな子なんだろうな……


「えへへ……私やっぱり騎士っぽいんですね」


 騎士っぽいって言われたことでシロナちゃんの顔が緩みまくる、そこまで嬉しいものなのか……


「しかしすごい能力だな……どんなものでもこうやって乗って異動することができるもんなのか?」


「いえ、私の能力は触れたものを浮かせることができるものなんですが、浮かせる強さは私がどれだけそのものと接してるかによるんです」


「じゃあこの斧は相当思い入れのあるものなんだな」


「はい、うちの家系に代々伝わる大切なものです、古くから切れない縁があるみたいで、どんな災害に遭い一時的にこのトールを無くしても必ず戻ってくると言われてるんです」


「武器との絆か……自分の身を守るものだから大切にするのは当然だけど、そこまで深いものは感じたことないな……それだけ深いものがあればこれほどの力がでるのも納得だな……」


「斧なのにこんな使い方してしまって……トールにもご先祖様にも申し訳ないんですけどね……」


 いいなぁ、そういう思い入れのある武器、俺にも欲しいな。


「あっ……」


 トールがの動きが止まった。

 シロナちゃんが何かを見つけたみたいだ。


「ゲドラフさん」


 一緒にいたパーティのメンバーを見つけたのか、シロナちゃんを置いて結構なところまで来てたんだな。

 こいつははじめにいた大剣を持ってた奴だ、土を掘って仕掛けのようなものを仕込んでいる、リューガルを罠にはめるつもりみたいだな。


「いつもこんな感じでモンスターを仕留めてるのか?」


「そうですね、ゲドラフさんは剣の技術もかなりのものなんですがこうやって地の利を活かしてハントすることが多いですね」


 なるほどね……だからこそのリュックの大荷物だったのか。

 シロナちゃんだけ軽装であまり頭数に入れられてなさそうだったけど……


「このまま合流しなくていいのか? 追いついたんだぞ、俺はここからは歩いていくから気にせず行ってくれよ」


「いいんです……ここで合流したら能力を使ったことがバレてしまうんで、先に頂上まで送って行きますよ」


「ここまで置いてけぼりにされたのに追いつくために能力を使うことを怒られるのか?」


 そりゃちょっと厳しいな……服装や罠の準備にしたってせっかく一緒に連れてきたんだからもっと頼ってやればいいのに。


「それも私のためですから……」


 口を噛みしめながらシロナちゃんは呟いた。


 シロナちゃん、パーティからあまり大切にされてないな、見捨てられているっていうか、こんな扱いならもっといいパーティやギルドにでも参加した方が良さそうなのに……

 それこそ騎士を希望してるんだから入団してしまえばいいと思うんだけどなぁ。


 ピシャッ!


 雷か? 近くですごい音が鳴り響いた。

 それと同時にあたりが暗くなってきた。


 急に天気が変わるほどの何かが起きてる……もしかしてここにリューガルが来るのか……?


 ゲドラフは腕を振って合図を出している、俺の位置からは見えないけど他のパーティにサインでも送っているんだろう。


 いた! ゲドラフのさらに奥にリューガルが現れた。


 名前は聞いたことあるけど実際見るとかなりでかい狼だ、2メートルくらいあるんじゃない。

 真っ白の毛に所々電流をまとった神々しい狼だ。


「今だ、やれ!」


 ゲドラフが大声で叫ぶと、どこからともなくリューガルに矢が向かっていった。


 バチィィッ


 矢はリューガルの体に触れる前に強力な電流に打たれて地面に落ちた。


「ちっ……もっと、もっと何度も撃つんだ!」


 ゲドラフの掛け声によって何度も矢が放たれるが、すべてリューガルに触れることなく地面に落ちた。


 無意識で近付くものを撃退しているのか、リューガルは矢のことを見向きもしていない。

 ゲドラフ達に攻撃されていることすら相手にしていないような感じだ。


 実際このモンスターかなり強いだろうな……


「他に攻撃手段はないのか?」


 こんな矢をいくら撃っても効果ないぞ……


「どうなんでしょう……いつも場所によって使っている物が全然違うんで……」


 シロナちゃん何をするのかも把握してないのか……本当に一緒のパーティなのか?


 ん……? 焦げ臭いにおいがする……


「ウソだろ……そこまでやるのかよ……」


 火だ、山が燃えてる……


 木を伝って火は燃え広がりリューガルは火に囲まれた。


「神獣と言われても火は怖いだろ?」


 ゲドラフがたいまつを持ってリューガルを威嚇する。


「グルルルルゥ」


 矢は相手にする気もなさそうだったリューガルもこれには怒りを隠せずにいた。


「どうした……こいよ……」


 ゲドラフはリューガルを挑発している。


「ウグァァァァ!」


 リューガルがゲドラフに飛びかかっていった。


ガチィィィン


 リューガルの足にトラバサミが挟まる。


「グァァァグァァァァァァ!」


 前足を挟まれ暴れ回るがトラバサミは外れない。


「クフフフッ、絶縁体の特注品だそうそう外れない……神獣とはいえ所詮はこの程度か……」


 リューガルの目の前にたいまつを投げた。


ドオォォォォォォォォン


 リューガルの足元から大きな爆発が起きた。


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