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21 置いてけぼりの女の子

「うおおお!」


 ザシュッ!


 突然現れたモンスター『スケルトン』を両断してやった。


 冒険者達が先に行ったあと、俺もすぐに頂上に向けて進み出した。

 そしたらどんどんモンスターが出てきて倒しながらの山登りになってしまった。


 街の近くなのにこんなモンスターが潜んでいるんだな……危険な場所だ……


 ここにいるモンスターはほとんどがアンデッド系のモンスターだ、生死にまつわる場所っぽい雰囲気は感じるけど……特別な何かがあるからこそ神官も修行の場に選んだってことなのかな。


 あの冒険者たちと一緒に行くのは無理そうだった……


 小さい女の子はともかくとして他の男達から見たら俺なんて山を舐めてる冷やかしくらいに思われているだろう。

 彼らの目的は雷電狼リューガルを見つけることだ、頂上を目指す俺とは目的も違うしもう会うこともないかもな……


「具合はどうだラピス……?」


「すぅ……すぅ……」


 今は寝てるみたいだ、苦しそうには見えないけど寝てること自体が神にとっては異常事態ってことだったからやっぱり油断はできない。

 この山にだって解決方法があるかはわからないけど、やれるだけのことはやってやろう。


 ガサッ


 葉の揺れた音か……誰かが近くにいる、またモンスターか?


 この前のダンジョンほどでないにしろここもモンスターが多いな、大した強さではないけど、ラピスを背負いながら戦うのはしんどいぞ……あまり無理をするとラピスにも負担になるだろうし……


 ん……? 木の影からバカでかい両刃の斧が見える……見間違えるわけもなくこれはさっきの子……


「とおおおおおおお!」


 掛け声とともに女の子は木陰から飛び出し俺に向かってきた。

 大きな斧を重そうに振りかざして俺に攻撃するつもりなのか?


「おいちょっと待て! さっき下であった俺だ!」


「へっ!?」


 女の子は急ブレーキをしたと同時に大勢を崩して斧と共に倒れた。

 なんか騒々しいな……


「大丈夫か? 一緒にいた3人はどうした?」


「いたた……まさか……先ほどの方だったとは、すみません、またモンスターかと思ってしまって」


 よく見たらあちこち怪我してる、きっとモンスターと戦ってできたものだろう。


「みんな足が早くて置いていかれてしまったんです……早く追い付かなきゃ!」


 山に登り始める時からそんな感じだったもんな……

 妙に慌てた様子なのは早く追いつこうとしてたからか。


 女の子は急いで進もうとしてまた転んでしまった。


「おいおい、そんなんで大丈夫か? 服装も山登りって感じじゃないし、何よりその武器大きすぎるんじゃないか?」


 足をとられてしまっているのも恐らくその武器が原因だろう。

 この子の体よりも大きい刃をした武器を担いで山を登るなんて俺にだってできない……


「これは私の一族に伝わる大事なものなんです、ずっと持ってないといけないんです」


「だからってそれを持って山はちょっと厳しいんじゃ……」


 そう話しているうちにまた転んだ……

 さっきから起き上がっては転んでの繰り返しだ……ってよく見たら足首がパンパンに腫れてる、足をくじいてるんじゃ……


 足を引きずりながらそれでも立ち上がり、重そうな斧に体を持ってかれてまた倒れた。

 こんなことしててもキリがないんじゃないか? 一生山登りなんてできなそうだぞ……

 それよりもモンスターに襲われて終わってしまうだろうな……


 ガサガサッ


 ほら……言わんこちゃない。


 俺が話しているのを聞かれてたのか、モンスターに囲まれている。

 スケルトンと幽霊狐の群れだ。


「あわわわ……どうしよう……こんなたくさんいたらやられちゃう……」


 この女の子は戦力として計算できそうにないな……仕方ない。


「俺がやる、そこを動かないでいてくれ」


「えっ?」


 女の子はポカーンとした表情で口を開けたまま俺を見た。


 モンスターの数は10匹そこらか、この程度のモンスターならどうってことない。


 また、ラピスに負担がかかってしまうかもしれないけど……勘弁してくれな……


 一瞬で片付けてやる!


 両足と右手に意識を集中だ……


 ラピスの調子が悪いせいか前のダンジョンの時よりは力が充実している感じはないがそれでも十分だ。



 一足でモンスターの前まで飛び込む、まずは3匹まとまってるここからだ!


 ブオン


 一振りでまとめて切断してやった。


 モンスターの骨だけの体が地面に転がり落ちる前に、俺は他のモンスターの前に移動し斬り刻んだ。


 残りは5匹!


 近くにいるやつから順にいく。


 ザァン!


 残り3!


 2!


 これで最後だ!


 脳天から股先にかけてスケルトンの体に亀裂が入る。


「ウオオォォォ……」


 断末魔をあげながらスケルトンの体は左右に分かれ地面に横たわった。


「まあこんなもんか……」


 ラピスの顔を確認したが、そんなに苦しそうにしてない大丈夫そうだ。


「す……すごい……なんですか今の攻撃!?」


 女の子は目は丸くして俺の攻撃に驚いていた。


「これくらい大したことないよ、モンスターもあまり強くなかったし」


「私のパーティじゃ下手したら全滅してます……」


「いやぁ、そんなことないだろ」

 

 あの程度のモンスター騎士なら誰も苦労しないで倒せるレベルだ。


「いえすごいです! まるで騎士みたいでした!」


「へっ?」


 騎士みたい……

 騎士だったときそんなこと言われたことなかった。

 逆に周りから「お前みたいな騎士はいない」って言われてばかりだったのに……やめてから言われるなんて皮肉なもんだな……


「実は私、騎士を目指してるんです! もしかしてあなた騎士さんなんじゃ!?」

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