悲しみ 『詩』
雲の上で生まれた私は、親を知らない
ずっと一人だと思ったけど、翼を持った友達がいた
彼は雲の下の世界から来たと言った
そこはとても緑豊かなで、空のような水が一面に広がっているらしい
彼の話を聞くのが本当に好きだった
ある日、彼は私に言った
地が乾いて、木々が飢え死んでいると
私はどうにか出来ないかと考えた
力になれない自分の無力さに涙が溢れた
その悲しみは雨となり地へと降り注ぎ、大地を潤した
翼を持った彼は言った
「やめてくれ、君の涙は見たくない」
翼を持った彼は、自分が住む世界より私のことを思った
私は、自分の力に酔い悲しみを注いだ
同時にその感情も地へと注ぎ、涙が出なくなった
私は悲しみという感情を失った
ある日、風が私に言った
地に住む、二本足で立つ見にくい獣が翼を持った彼の住む森に自分達の街を建てた
彼は必死に戦い、殺された
失ったはずの感情が蘇る
私は泣き続けた
私の叫び声は雷となり地を抉った
血が溢れ、声が潰れた
涙は流れ続け、大地へと降り注ぐ
その雨は、醜い動物に災害をもたらし街を破壊した
その地には今も雨が降り注いでいる