1/2
第1話:卒業式
花はいつ咲くのか。
春か、夏か、秋か、冬か。
誰が指図したわけでなく、花は自分の咲くべき時に咲く。
それは自分の運命を知るかのように、突然に、確実に。
私は自分が咲く時を知らなかった。
それがなぜなのか、その時に理解した。
私は一人では咲けない人間だった。
彼女と出会ったとき、私の花は咲き誇ったのだった。
それは春先、桜の舞い散る卒業式のことだった…
────
「私と付き合って下さい!!」
それは唐突な声だった。
私、唐草渚が自分の高校の卒業式の後、校舎裏で煙草を吸うために下駄箱で靴を履き替えてるタイミングだった。
聞こえてきたのは行こうと思ってた校舎裏からだった。
校舎裏の桜は有名な告白スポットだ。
告白といってもこの女子高において、ほとんど機能しないものだが…
普段は人がいる気配があれば校舎裏には行かないのだが、その時はふと気になってその日だけは向かってみた。