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8話:お友達

アクセス数が400突破しました!

ありがとうございます。

「ふんふーん、新しい魔法~」


今日もタナマさんに特訓してもらい、新しい魔法が使えるようになった。

嬉しくて鼻歌を歌っているとお母様に出会った。

私の様子を見て何か察したのか、お母様は微笑み、頭を撫でてくれる。


「カエラ、また強くなったの?頑張ったわね」


「はい!お母様」


それが嬉しくてにやけてしまう。

お母様の愛情がこんなにも受けられるのが幸せだった。


「ところでカエラ、あなたもうすぐ5歳よね」


「そうですが…何かあるんですか?」


「5歳になった貴族や王族はお披露目会で顔合わせをするの、来月にあるからそれまでに

準備しておいてくださいね」


「お披露目会ですか…わかりました」


「あっ、実はお披露目会といっても将来の許嫁探しみたいなものだから、カエラもいい人を見つけるのよ、一応王族だから侯爵より上の人じゃないとダメですからね」


「私は…はい、頑張ります」


許嫁探しと言われ、気分が一気に落ちる。


「私もお披露目会は嫌いでしたよ、無理はしなくていいです」


お母様も苦笑いし、私もつられて笑う。


「お母様…クス、わかりました」



やっぱりお母様はお母様ですね。はあー、許嫁とか言われても、まだ私5歳だし。

うーん、お兄ちゃんは私を選んでくれるかな…?

もう5年も会ってないよ、お兄ちゃん…会いたいよぉ。どこにいるの?

ダメ、弱気になっちゃだめよカエラ。今はもっと強くならなきゃ。



そして、お披露目会の日。


「うん、きれいよカエラ」


「ありがとうございます、お母様」


私は今、藍色のきれいなドレスに身を包み、その時を待っている。

メイドさん達に着せ替え人形のように扱われ、最終的にこうなったのだ。


「お母様、私は何をすればいいのでしょう?」


「今日はあなたの5歳の誕生日でもあるから、あなたが前に立って挨拶をした後は食事と

顔合わせといったところかしら」


「挨拶があるんですか!私にできるのでしょうか」


「そんなに気負わなくてもいいのよ。あなたならできるわ」


人前に立って挨拶とか前世でもしたことないし、まあやるしかないね。



がやがやと人の声が聞こえてくる。


「うわぁー、人いっぱいいるなー」


陰からこっそり覗くと、部屋には収まりきらないほどの人が集まっていた。

うっかり気圧されるが、それをタナマさんが背中をさすって落ち着かせてくれる。


「お嬢なら大丈夫、ほら深呼吸」


「すーはー、すーはー、よし!ありがとタナマさん」


「いいのよ、これくらい」


それではこれより、カエラ=ランド=マナトリカ王女の入場です。皆様拍手でお迎えください。


「じゃあお嬢、行ってこい!」



「皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます。ただいまご紹介にあずかりました、カエラ=ランド=マナトリカです。私は女神さまから生を預かり、本日で5歳となりました。ここまで育ててくださった両親とその他大勢の皆様に感謝の気持ちを伝えるとともに、はじまりの挨拶とさせていただきます」


私が言い終えると後ろからお父様が現れ、その手にはお酒が握られている。


「皆の者、今日は遠方からも集まっていただき感謝する。日頃の感謝と皆の子の成長を祝して…乾杯」


『乾杯!』


じゃあ私もご飯を頂こうかな。

あっアレおいしそう。

テーブルに並べられた沢山の料理に目を光らせながら、よだれをゴクリと飲み込みいざ食べようとしたその時、お母様に呼ばれてしまった。


「カエラー」


「はい!お母様」


「もう、すぐご飯に行くんじゃありません、顔合わせって言ったでしょ?」


「すいません、つい...おいしそうだったので」


「ほら行くわよ」


「はい……」


そのあと私は数えきれないほどの人と挨拶をした。本当に疲れた。なんでみんなこっちに来るのよ。ほかにもいっぱいいたでしょ!


「カエラ、お疲れ様。あとは自由にしてていいわよ」


「やっと終わりましたか、では食事をいただいてきます」


「そうね、私はほかの大人の方たちとお話しをしてくるわね」


「頑張ってください…」


「娘に心配されるとわね、あなたもこれからが本番かもしれないわよ」


「えっそれって…」


「頑張りなさい」


私に有無を言わさないよう、お母様はそそくさと大人の方へ向かっていった。

私もまあいいかと食事に手を付けようとすると、またそれを止められた。


「カエラ王女様」


「はい?」


「私、子爵の息子、ジョンと申します。以後お見知りおきを。本日はとても美しいドレスで

ございますね」


「はぁ」


「今宵の月によく似合う女性はカエラ王女様以外におりません」


「そうですか…」


え?何々ナンパ?やめてよ。ていうかあなた5歳よね?月に似合うとか…笑っちゃだめよ!

カエラ、堪えるの!


「ちょっといいかな」


「何ですか?今は私がカエラ王女様と話しているんだ」


「私は侯爵家のものだぞ」


その一言でジョンと言う男の子は立ち去った。

貴族の階級に逆らうのは危ないからね。


「っ!申し訳ありませんでした」


あらあら行っちゃった。


「私は侯爵家の息子でテラ


「おい、そこをどけ」


「なんだ?今自己紹介の最中だぞ」


「聞こえなかったのかどけ」


「くっ」


え?また行っちゃった。今度はイケメンの人が来た。


「私は隣の国、タレスト王国の現国王の息子、レイだ。王位継承権を持っている。カエラ王女がとてもきれいだと聞いたので“わざわざ”足を運んでやったのだ、そういうことだから私の許嫁となれ」


なにこの人、わざわざを強調して言ってたよ。

それに自分の権力に驕る人ってあんまり好きじゃないな。

ここは丁寧に断ろう。


「申し訳ございません。私はあなた様に合うほどのものではございません。あなた様に似合

う女性は私以外にたくさんございます。ですので許嫁はお断りさせていただきます。」


それでも私の断りに驚いたのか、急に怒り出した。


「なに?私の申し入れを断るというのか?王位継承権も持ってない女に私が直々に声をかけてるというのにか?ふざけるな!」


「おい、私の娘に何をしている」


怒声を荒らげると、周りがシンとする。

その静けさを割るように、聞きなれた、大好きな声が私の耳に届いた。


「なんだ!っ、いえ少しお話を…」


「この馬鹿!ふざけているのはお前だ!」


お父様の登場と同じくして、もう一人、筋肉の隆起した男性が現れた。

その人は何の躊躇もなくレイを殴る。


「痛っ!」


「すまんなフラルド、こいつにはあとでしっかりと言っておくから」


「あぁその馬鹿に私の娘を馬鹿にしたことの意味を分からせてやれ」


「任せとけ、今日はもう帰るとする、この馬鹿がやらかさなければもうちょっと長くいたの

だがな」


「そうだな」


随分と仲が良いように見える。

それに王様であるお父様にも敬語を使わないし。


「お父様?こちらの方は…」


「あぁさっきは挨拶をしてなかったな。タレスト王国の現国王のガジルだ。」


「ガジル=タレスト=フォーラン、カエラ王女この馬鹿がすまなかった」


「いえいえ、気にしてませんので」


「ではこれで私たちは帰る」


レイの頭を無理やり抑えながら、去ってしまった。


「カエラ大丈夫か?」


「大丈夫ですよ、お父様のおかげです」


「カエラは強いな」


「そうですか?」


「私はセレナのところに戻るよ、また変なのに声をかけられたらすぐ言うんだぞ」


「はい」


お披露目会ってめんどくさいな。あれあの子どうしたんだろ…。

料理のお皿を片手に、部屋の隅っこで立ち尽くしている。

何となく彼女に近づき、話しかけた。


「あの、どうかされましたか?」


「はい!え?カエラ王女様!私は大丈夫ですので他の方とお話しください!」


「いえ、あまり食事もされてないようですし。あなたのお名前は?」


「わ、私ですか。私は男爵の娘のスフィアです。」


「スフィア、いい名前ね」


「カエラ王女様に褒められるなんてもったいないです!」


スフィアは顔の前で両手をブンブンと振り、危うく皿を飛ばしそうになる。

私はその手を握り、こう提案する。


「スフィア、私とお友達にならない?」


「王女様と友達なんて私には…」


「あなただからなりたいのよ。それとも私では嫌かしら?」


「とんでもございません、私なんかでよろしければ」


「じゃあこれからは友達ね!スフィア」


「カエラ王女様…」


涙目になったスフィアは儚く、とても弱々しい。

ついこれからも守ってやる、なんて言ってしまいそうだ。


「王女様なんてつけないで、友達なんだから」


「そんな…」


「ほら言ってみて」


「か、カエ、ラ」


「うん!スフィア!まずは両親にあいさつにいこっか」


「えぇー待ってくださいカエラおう…カエラ!両親はこっちです!」


「あらそう、ありがとう」



「ってことでスフィアの友達のカエラです。これからよろしくお願いしますね」


スフィアのお父さんとお母さんに挨拶をする。

お父さんの方は余程娘に友達ができたことが相当嬉しかったのか涙を浮かべている。


「王女様…ありがとうございます!よかったなぁ、グス、スフィアに友達ができて」


「お父さん、カエラの前で泣くなんて恥ずかしいよ」


「本当によかったわ、カエラ王女様これからも娘をお願いしますね」


お母さんの方も耐え切れなくなったのか泣いてしまった。

スフィアは二人の様子にわたわたと動き回る。

そんなスフィアを置いておき、私は元気よく返事をした。


「はい!」


私の近くにいたのか、お父様が話しかけに来た。


「カエラそちらの方は?」


「フラルド国王!」


「お父様、この子はスフィアでそのご両親、スフィアと友達になったの!」


「そうかそうか、よかったなー、スフィアお嬢さん、娘とこれからも仲良くしてやってくれないかな?」


「は、はい!」


突然お父様に話しかけられたスフィアだったが、嬉しそうな表情で答えた。


「うむ、元気があっていい子だ、ご両親もよろしく頼むぞ」


『わかりました』


「じゃあお父様私少しスフィアとお話ししてくるね」


「あぁ」



スフィアは本当にいい子だった。そのうち気な性格から緊張してしまい、初めはあまり話せなかったが、二人でお話ししているうちに心を開いてくれるようになった。名前はスフィア=ラックらしい。この子とはこれからも仲良くやっていきたい。

だって初めてできたお友達だもん!


カエラの初めてのお友達、よかったですねー!

投稿するときは私のツイッターでつぶやくのでそちらも是非フォローしてください!

ホウトウ

@motokoihoutouです!

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