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7話:初めての狩り

よろしくお願いします。

「いまだ!」


「はい![ファイアーボール]!」


きゅうー…バタン。

青色の液体型の魔物、スライムがはじけて解ける。


「やりましたよ!タナマさん、スライム狩れました!」


「このくらいで喜んでていいのか?[ファイアーボール]なんて誰でも使えるぞ?」


「っ!そうですね……すいません」


「まあまだ始めたばかりだ。今は魔力量を増やすことに専念しよう」


「はい!」


あの決意の日、私はお父様を説得するために自分の覚悟を伝えました。

私が強くなりたいといったとき、

お前は女だから強くならなくていいと言われました。

そんな言葉では私の決意は変わることはありません。

国を守るため、民を守るためそして、“大切な人を守るため”…

お父様は悩まれたと思います。

私だって自分の子供がいつ死んでもおかしくない事をする、と言ったら絶対止めます。

それでも私は止まりません、たとえ家族に何と言われようと、

強くなるためならなんだってします。

そんな私を最後は応援してくれたお父様には感謝でいっぱいです。

みんなの期待を背負ってる…その気持ちを胸に私は強くなる。


タナマさんは戦闘になると人が変わります。

いつもの優しく、フレンドリーな人から、軍人のように…。

しかし私にとってはいいかもしれません。

Sランク冒険者を師匠に持って、私は幸せです。

まあまだこの平原にいるスライムや一角兎(いっかくうさぎ)などの弱い魔物しか狩れませんがね…

いつかはもっと強い魔物を狩ってみたいです。


「[アイスランス]!あっ」


「あ、じゃねーよ!外したら次の攻撃にすぐ移れ!死ぬぞ!」


「す、すいません!」


「バカか!謝る暇があったら、次の奴を仕留めろ!時間は有限なんだぞ」


本当に人が変わりすぎじゃないでしょうか…


「あーあ、逃げちまった。まあいい、これ飲んどけ」


「これは?」


「ん?あぁ、魔力が回復する飲み物だ」


「へえーすごいですね」


(ぶつぶつぶつ)


「タナマさん?何してるんですか?」


「これは[索敵(サーチ)]と言ってな、

今の私だったら半径5キロまでなら魔物がどこにいるかわかる」


「なにそれすごい、私も欲しいかも…」


「お嬢?」


「な、なんでもありません!」


「それならいいが、外にいるときは油断するなよ。

おっ、南西方向に一角兎三匹見つけたぞ、行ってこい!」


私は言われ多方向に走り、見つけた敵目掛けて魔法を放つ。


「次こそは…[アイスランス]!っく、またよけられた!

でも[ウィンドカッター]よし!タナマさーん、やりましたよー」


先ほどの反省を生かして、

今度こそ狩ることができました!


「じゃあ魔獣の体内にある魔石を取り出してみるか」


「えっ、あれに触るんですか」


自分で倒して申し訳ない気持ちもあるが、

流石に血だらけの物に触るほど勇気がない。


「甘ったれるな!」


怒られちゃいました…


「すいませーーん!」


でもどうしても触りたくない…。

そういう時は魔法を使えばいいのだ。

相手の体に魔力を流し、部位ごとに切断するイメージ。


「[解体]!」


おぉ、角と皮に分かれていく、あっこれが魔石かな


「タナマさーん、魔石取れましたよーってどうしました?」


「お嬢今なにした?」


「なにしたって普通に解体ですけど」


「まじか、お嬢いつの間にそんな魔法を使えるようになったんだ」


「えーっと」


今作ったって言えないし…。


「まあ天から授かったというか、なんというか…あはは」


「はあ、まあいい、これで作業がはかどるな」



はあ~、疲れました。3歳の子の体にはきついですよ。

流石に解体が使えるようになったからって、あんなにやらせなくても…。

確かに魔力は増えますけど!

私の精神は減るんですよ!

そんな愚痴を言ってもしょうがないのは分かってますがね…。


私は今、今日の狩りを終え冒険者ギルドに素材を換金に来ているところです。


おぉ、まじかあのタナマが来てるぞ

ほんとか!あのSランク冒険者のタナマが

うわぁ、きれいな人だな

おい!声かけて来いって!

子供連れてないか?もしかしてもう結婚してんのか?

嘘だろ!俺のタナマちゃん…


うへー、扉開けた途端にこれって、やっぱりタナマさんってすごいんだね。


「なんだ、お前らうるさいぞ…タナマじゃないか!久しぶりだな」


「ジャック、久しぶりー。ちょっと奥借りて、話いい?」


「わかった」


えーと、ジャック?この人はなんなんでしょう。タナマさんとも仲いいみたいだし。

それにしてもここのギルド広いし、女性の露出度高すぎません?///

それ防御できるの!?

私には早い気がします…。


「ここでいいか?で、話ってのはその子供のことだよな。タナマがいるってことはカエラお嬢様か?」


「話が早くて助かるよー、まあ知っての通りこの子がカエラで。

カエラ、この男はここのギルドマスターでジャックだ」


「ギルドマスターさんですか、私はカエラ=ランド=マナトリカです。以後お見知りおきを」


「うーん、3歳には見えん」


「私も思ってるが、もう考えないことにした。しかも驚くのは早いぞ」


そんなこと思われてたのか…

まあ確かに3歳で魔獣を狩るってことがもうおかしいもんね。


「なんだ?」


「これを換金してほしい」


そういってタナマさんは今日私が解体した素材を机に出した。


「これって一角兎の素材か、にしてもきれいに解体できてるな。タナマ腕が上がったか?」


「これを解体したのは私ではない」


「えっもしかしてカエラお嬢がこれを…?」


「そうだ、それを狩ったのもお嬢だ」


「こりゃすげえや、お嬢やるな」


「いや、それほどでもないですよ」


私は少し照れながら頭をかいた。


「いやいやこれほどきれいな素材はなかなかないしそれを狩ってるのが3歳の女の子なんだから」


「あ、ありがとうございます」


「ジャック、すごいだろ。この子は世界で一番強くなりたいらしいぞ、

だからまずはギルドカードを作ってやってほしい」


世界一強くなりたいなんて言ったことはないけど、タナマさんはそう考えてるのかな?

まあ強くなるに越したことはないでしょ!


「そんなことならすぐできるぞ」


あっ行っちゃった…。


「お嬢、お嬢はもうすでにここまでできる。それでももっと上の強さを求めるか?」


「……はい!」


「よし!明日からもビシビシ鍛えていくからな!」


「お願いします!」


私が頭を下げると同時に部屋の扉が勢いよく開けられた。

相当な速さで走ったのか、ジャックさんは息を切らしている。


「はあはあはあ、お嬢、これに魔力を流してくれ、はあはあ」


ジャックさんはや!


「わかりました」


っ!カードに文字が浮かんできた。すごい。これが私のカード、私の相棒だね。


「お嬢、なくしちゃだめだからな」


「今回の換金額から引いても銀貨2枚は余るぞ。はいお嬢、これが今回の換金額だ」


これが私の初めての報酬…うれしい。ただうれしい。私の冒険はここから始まる。

そう思ったら胸が熱くなった。

読んでくださり有難うございます。


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