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74話:合宿〈6〉

遅くなってごめんなさい!

Twitterを見てくれている人がいれば知っていると思うのですが、ウイルス性胃腸炎にかかってしまい体調を崩してしまいました。こんなものは言い訳にしかなりませんが本当にごめんなさい。皆さんも病気にはくれぐれもお大事に。でもなんでだろ、私は家でニート生活をしていたはずなんですがね…。

白い雲。広い砂浜に、どこまでも広がる、そう。


「うみーーー!」


合宿二日目、親睦会と称した海水浴に来ている。

メンバーはもちろん俺たちサマの白金クラスとタレストの白金クラス8名だ。

一応向こうのメンバーは一通り紹介してもらった。

まずはむこうのトップ2であるレイとファセット。

レイは短髪の金髪。制服の上からでは気づかなかったが、父親とは違い、引き締められた筋肉からこいつの努力がうかがえる。それに俺の見立てだと魔物との戦闘経験はありそうだ。

いや、レイだけじゃない。こっちの生徒は白金のクラスで言えば全員あると思う。

中々の実力ぞろいだ。

そして彼の戦闘スタイルはケリフ同様大剣を振り回す。

だがケリフと違うのは魔法も使えるということだ。

その点身体強化などのバフではレイが頭一つか二つ上に出るだろう。

それだけじゃタレストの一位なんて言えないと言っていたから他にも隠していることがあるのだろうがそれはまた今度の機会だそうだ。

次はファセットさん。巨乳。以上!

…なんて言ったら怒られそうだな。

そうだな、巨乳と言っても俺からしたらと一言言っておこう。

俺は巨乳派ではないが、この人の胸はきれいで女性なら羨ましいベストな巨乳だと思う。

髪はポニーテールで腰のあたりまで伸びている。

こちらも金髪で今も太陽の光を浴びてきらきらと揺らめいているのは美しいの一言が似合うだろう。

戦闘スタイルは細剣だ。

そして昨日会ったアリスとルカ。

身長、顔立ち、恰好から何から何まで似ている。

ドッペルゲンガーは本当にいると錯覚するほどだ。

アリスは肩で切りそろえられたボブ?と言えばいいのか。

ルカは普通にイケメンだ。髪は普通。

この二人とも遺伝か何かで目尻のあたりがうっすらと赤くなっている。

戦い方は教えてくれなかった。

これは今度のお楽しみだ。

このままだと紹介で終わりそうだから他のメンツは短くいこう。

5人目のラスター。男。この人はエルカさん同様に東の国の生まれだそうで話が弾んでいたのを羨ましがってるケリフから聞いた。

武器は同じように刀みたいな武器だ。

6人目サモリ。女性。茶色に焦げた肌がこの海の育ちであることを象徴している。

そしてメルビーのように活発的でどこか抜けたところがある。

この人も細剣だ。

7人目ヴァリス。男。岩みたいな男だ。

ガジル王のような巨体の持ち主で、その体一つで戦うそうだ。

8人目だが…。あれ、さっきいるって聞いたはずなんだが。


見つけた。少し先の砂浜にパラソル開いて本を読んでいる。

サングラスにファセットさんにも引けを取らないバストを持ち、

それを水着にカーディガンで隠している。

そしてなんといっても白い肌。

砂浜の反射が艶めかしい足が照らしている。

彼女の名はヴェノム。

タレスト一の頭脳を持ち、国の技術発展にも貢献しているほどの人らしい。

そしてなんといっても彼女の武器である“毒”。

名にヴェノムを冠する彼女はあらゆる毒を使い敵を屠る。

その危険性は生まれつきだそうで、魔物の毒を体内に自ら入れたり、飲んだりすることに興奮するらしい。

その血は他人が飲むと致死レベルになっているとかいないとか。

ただ、彼女は薬を作る知識も豊富だそうで毒を体内に入れては自分でその毒に対する毒消しを作ったりと狂気的に見えるが実は皆のためにやっているともいわれている。


これで全員の紹介は終わったな。

ヴェノムさんの立てたパラソルの近くに新たにパラソルやら椅子やらを置き、皆昨日買った水着に着替える。

着替えた女性陣にヘンクとヴァリス以外の男は「おぉ…」と声を漏らすだけだった。

まぁ俺もその一人だけど。

この人数を一人一人褒めていくのは難しいが、一言言えるのは、


「きれいだ」


それだけだった。

皆自分の特徴を分かっているのか、出すところは出し、あるところは控えめに、うまい匙加減で男の視線を奪っていっている。


「それじゃあ!あそぼおおおお!」


メルビーが着替えるや否やすぐに海の方へ行ってしまう。

こういう時は水着を褒めてもらうとかそういうのを求めているかと思ったが、メルビーはやはりそうではないようだ。

彼女らしいと言えば彼女らしいが。

だが、リスタは一人手提げに入れた着替えをお腹の前で抱え、恥ずかしそうにもじもじしている。

それから俺に近寄り、一言。


「どう、ですか?」


顔に朱がさしている。

こっちの文化でも水着が定着しているとはいえ、リスタは森の住人。

今までも俺が海に連れることはなかったので勿論今日のこれが初めてということになる。

恥ずかしいのも無理はないだろう。

手提げ持った手とは反対の手で首にかけてあるネックレスを大事そうに指で遊んでいる。

こういう無意識に大事にしてくれるのは素直にうれしい。


「うん、似合っててきれいだ」


「そう、ですか。ありがとう、ございます」


顔を真っ赤に染め上げ、恥ずかしそうに狼狽えるリスタに俺も顔が熱くなってしまう。

リスタの体をまじまじと見つめるのも悪いと思い、彼女の手提げを持つ。


「リスタも遊んで来たらどうだ?メルビーは既に行ってるけど」


俺はこの広大な海を指して言う。

本当に透明度が高くてきれいな海だ。

地球でもなかなかお目にかれないだろう。

リスタは少しだけ考えた後、なぜかカエラを呼んだ。


「カエラ、昨日言ってたあれ、アーグにやってもらおうと思います」


昨日言ってたあれ?

サモリが女子と男子は別で買い物ねと言っていたので俺はそちらの事情を知らないがそこで何かあったのだろう。

それにしても俺がやるとなると何だろう。

…まさかな?


「あー、あれをアーグにやってもらうの?いいの?」


「良いんです!アーグにやってもらいたいんです」


それならと、カエラは渋々自分のバッグから例の物を取り出した。


「はいこれ」


「あぁ、で。これはなんだ?」


俺に渡されたのは小瓶に入った透明な液体だった。

やはり勘違いだったか。

あれは普通白いもんな。


「それは日に焼けないようにする液体だよ。なんでもヴェノムが作ったんだって」


すごいよね。と一言。

そうか日焼け止め…。


「これを俺にやれと?」


こくこくと首を縦に振るリスタが目の前に見える。

あぁ、この暑さで俺もやられたか。

今日は帰ろう。


「アーグ、逃げないでやってあげてよ」


「いでっ!」


首根っこをカエラに捕まれ俺は無理やりリスタの横に立たされる。

既に準備万端のリスタは下に敷いたタオルに仰向けになって寝ている。


「やるのは分かったが普通は背中からじゃないか?」


「普通?アーグはやったことがあるんですか?」


ギクッとなり俺はすぐさまないよと答える。

さっきの液体といい、先入観は持たない方が良いな。

未だ清純ピュアっピュアな俺は家族と言えど女性の肌に触るのには抵抗がある。

だがカエラが隣で変なことしたら分かってるよね?みたいな目で睨んでくるので意を決して液体をつけ、手を伸ばす。


「ひゃんっ!」


「あまりヘンな声は出さないでくれ…」


くにくにと肌に液体を浸透させていく。

男の筋肉のような質感と違い、柔らかく、弾力のあるリスタの肌は俺の指に吸い付いてくるようで塗っているはずの俺まで塗られているかのような感覚になる。

流石にお腹と足以外はリスタにやってもらうことにして背中も同様に塗っていく。

塗り終わると満足したリスタは次は私がやりますと俺の手を引き、タオルに寝転がらせる。

俺もせっかくの機会かと思いリスタのされるがままに背中を任せた。


「じゃあお願いできるか?」


「任せてください!」


リスタは初めてながらも一生懸命に細部に塗り込むので時間がかかったが十分にやってくれた。

男には恥ずかしがるところがないので俺は仰向けになって前もやってもらうことにした。

そこで何を考えているのか分からないスフィアが俺に目隠しをしてきた。


「なに、してんの?」


「まぁまぁ」


はぁ、さっきも言ったが男に恥ずかしがるところなんてないので特に気にすることなくやってもらう。

そうして視界を隠してみると今まで感じなかったものを感じる。

海の音に風の音。

リスタだったらもっと聞こえるんだろうなとか思いながら、

きれいな自然の音に耳を傾け、海の匂いを感じる。

こうして目隠しを取ったら日本の海で、俺に日焼け止めを塗ってくれているのは雪だった、

なんてことがあるのかもしれない。

それもいいな。

だが今では少し、雪には悪いがこっちの生活も捨てがたいと思ってしまう。

そんなことを考えているうちに塗り終わったようだ。

塗られているとき、二本以上の手の感触があったが、多分違うだろう。

目隠しを取るとやっぱりそこには俺の家族のリスタと、いつの間にか海から帰ってきたメルビーがいて、他にもたくさんの友がいた。

今の日常だ。


それからメルビーにも塗ってっやって、何故かカエラにも塗ることになった。


俺は海に行く前にあるものを手に、リスタに声をかけた。

彼女と人のいない物陰に隠れ、一応周囲の魔素を分散させ、気配をなくす。

メルビーはまたすぐ海に行ってしまったからあとでやるとして、今はリスタに渡しておこう。


「リスタ、ネックレスを外してくれ」


リスタは至極嫌そうな顔をした。

両手でそれを握り、嫌ですと一言つぶやく。


「そうじゃない。海で遊ぶとはずれるかもしれないだろ?だから」


そう言って俺はリスタの手を取り、指にそれをはめる。

薄緑色の魔石を付けた指輪だ。


「これって…」


「そうだ。ネックレスと同じ効果を持つ指輪だ。それだったら外れる心配はなさそうだろ?」


「でもどうして…?」


「一つ目のどうしては、俺がリスタの指を寝ている間にはかったから。二つ目のどうしては、俺たちがランド王国にいる間、一度リスタの村の近くにあるダンジョンに入って同じものをとってきたからだ」


あの時は流石に俺の足じゃ遅いのでシルに助けてもらった。

ダンジョン攻略を俺一人でやったのは男として当然だ。

リスタは俺の答えに納得し、嬉しそうに指を見つめた。


「ありがとうございます!」


「あぁ、嬉しそうで何よりだ」


潤んだ目に俺も嬉しくなる。

あの日徹夜で作ったかいがあった。

タレストには海があると聞いたときは真っ先にこれを作ろうとこことに決めてたからな。

さて、次はメルビーだが。


俺とリスタはメルビーのいるところまでやってきた。


「メルビーどうした?そんな潜って」


だがメルビーは海から出てこようとしない。

溺れた…?


「メルビーっ!」


俺はすぐに海に潜る。

がそこにいたのは()()のメルビー。

口を動かしている。


「た・す・け・て」


読んでくださりありがとうございます。


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