4話:5歳になりました
すいません、遅れてしましました。
さっき気づいたんですが、アクセス数とか見れるんですね!
投稿5日めで200もあってびっくりしましたよ!
やっぱり嬉しいもんですね、
これからも読んでくださるとホウトウはとてもやる気が出ます!
あれから4年、5歳になった俺は外で遊ぶ子ことが多くなった。
まあ、アリサがいつもとなりにいて追いかけっこをすることがほとんどだが。
それでも体力を高めることはできてるんじゃないかと思う。
[身体強化]を使い、走りまわると魔力も消費でき、アリサとも遊べると一石二鳥だ。
5歳の誕生日の日、俺は親父に頼んで剣や体術の稽古をつけてもらうことにした。
どうしても日本という平和そのものの中で暮らしていた俺だけでは己の力を伸ばすことが出来ないことに気づいたのだ。
親父の仕事は村周辺の魔物の退治。
それに昔のことだが冒険者として活躍していたとも聞いている。
村には戦える大人が親父しかいないので親父に頼んだのだ。
実際に親父にしようと決めたのはある事件がきっかけだ。
ある日村を歩いていると、近くの森から体長2mほどのイノシシの様な魔物がやってきた。
流石に俺は二度目の死を覚悟したが、颯爽と現れた親父が前に立ち、それを自分の背丈ほどもある大剣を振りかざし、きれいに真っ二つにしたのだ。
こんなことがあり、俺は今日も稽古に励んでいる。
自分でも朝早起きをして、森で素振りをしたとき“それ”を見つけた、
ゴブリンだ。
緑色の体。気持ち悪い声。その手の中にある人の腕。
全てが俺にとっての初めてで、
魔物という生物に恐怖した瞬間だった。
そして足がそれから逃げようとするのはその時の俺にとって自然の動作だったと言えよう。
違うだろ。
逃げるのはもう終わりだ、
俺は何のために生まれ変わったのか、それを思い出せ。
今度こそ俺の力で大切な人を守れるようになるために。
その決意と同時に、俺は腰にあったナイフに手をかけ一気に駆け出した。
グギャっと一声発し、
俺の走り出しの音に気づいてこちらを振り返った。
気づかれた。俺にはその焦りだけで額から汗が噴き出した。
だが遅い、あのクソ親父に比べれば…。
「[身体強化]!」
俺は自分の出せる限界の力でそいつの首目掛け、ナイフを振り落とした。
「おりゃあああああああああ!」
だが恐怖からか、俺のナイフは横に逸れてしまった。
首に刺さることはなかったが、それでも肩に大きなダメージを与えることができた。
よし決まったか?
その一瞬の安心が命取りだった。
ゴンっ。
ゴブリンはナイフの刺さった肩とは反対の手に持っていたこん棒を俺に叩きつけてきた。
肩に衝撃が走る。
ゴキっと嫌な骨の悲鳴が聞こえた気がする。
子供のこの体では耐えることができなかった。
多分折れたのだろう。
「まだ生きてんのかよ…」
俺は内心焦っていた。
流石に急所は外したとは言っても、動けなくするくらいはできたと思っていた。
でも一度覚悟を決めたらもう戻れない。
相手は魔物だ。
動物なんかとは全く違う。
それで諦めるわけにはいかない。
今の俺に回復の時間が残されていなかった。
回復する。攻撃する。
選択肢は二つに一つだ。
俺は反対の手にナイフを持ち替え、
さっきよりも力を込め、全身全霊で切りかかった。
「はぁ、はぁ、やったか…?」
[器の力]発動
頭の中で機械のような音が鳴り響く。
例の青いボードが現れ、2つのスキルが示された。
[根性]
一度だけ生き残る。
[索敵]
今のあなたなら半径10mの生体反応を感知する事ができる。
(ごめーん!言い忘れてた)
「え!レグ?頭の中から声が聞こえてくる…」
機械音同様、頭の中でレグの声が鳴り響いた。
(生まれる前に器のもう一つの力の説明忘れててさ)
「まだあったのか」
(うん。倒した敵が強ければ強いほど奪える確率は上がっていって、
運が良ければ相手のスキルを一つ奪える力があるの)
「奪えるって…すごい強いじゃん!ってことはさっきのゴブリンって強かったのか?
そしたら俺すごくない?」
(いや雑魚の中の雑魚、まぐれだね)
うん、分かってた…。分かってたけど直に言われると傷つくなぁ。
(あまりそっちと繋がるのは良くないから、もう切るね。
教会に来れば会えるから、いつでも来て!)
「ありがとな」
それっきりレグの声が聞こえることはなかった。
だから俺は思考を目の前に示されたスキルに移す。
[根性]と[索敵]どちらを奪うか迷う。
あ、相手から奪うスキルの説明はされるんだな。
自分のスキルの確認ができなかったからこれは楽でいい。
俺は悩んだ末、[索敵]のスキルを選んだ。
[索敵]入手
また機会音が鳴り響く。
俺が[索敵]を選んだのは簡単だ。
今後に生かせそうってのと[根性]って最初から死ぬ前提みたいでダサいだろ?
今日の鍛錬もある。
ゴブリンを記念に持ち帰ろう。
そう思い、ゴブリンを持とうとしたら肩ケガしていたの忘れててすごく痛かった。
「ただいまー」
「おかえ…り…」
バタン!
母さんが迎えに玄関まで来たと思ったら急に気絶してしまった。
「え?母さん!どうしたの母さん!」
俺はなぜ母さんが倒れたのか理解できなかった。
いつもならおかえりーって言ってご飯の用意をしてくれるか、
お風呂を用意してくれるはずなのに…。
「フィル!どうした!」
俺が焦っていると、声を聴いて駆けつけたのか親父が猛スピードで帰ってきた。
「親父!母さんが急に倒れた!」
「まじか!ってお前そのゴブリンどうした!それにケガしてるじゃないか」
親父は俺の腕のゴブリンを見るなり目を見開き、肩をガンガンと揺さぶってくる。
あぁ、頭が…。
「あぁ、さっき森で素振りしてたら偶然見つけてさ。初めてだったから少し失敗したけど勝てたよ」
「お前も成長したなー!さすが俺の息子だ!じゃない!」
一人漫才でもしているのか?
「うぅ、あれ私…」
そうこうしているうちに母さんの目が覚めたようだ。
「おいアーグそれ隠せ!」
親父が母さんの目を隠して俺に叫ぶ。
「えっ!あ、あぁ!」
俺は急いでゴブリンを外に投げ捨てた。
「アーグお帰り、私さっき衝撃的なものを見た気がするんだけど…アーグそのケガどうしたの!」
「えーっと、歩いてたら肩から転んでね」
無茶苦茶な言い訳だったがその場を乗り切ることが出来た。
母さんには肩に包帯を巻いてもらい、応急処置をしてもらった。
その後、俺は隠れて[癒し手]で傷を治した。
しばらく包帯をつけてその後外せば自然に見えるだろう。
その夜俺は親父と2人で男の話し合いを始めた。
略して、男密。
男の密会だからな。
「アーグ、あのゴブリンをどうやって狩った」
「身体強化を使って…」
いつもよりも神妙な目つきで聞いてくる親父に、
俺はゴブリンと戦ったときの様子を出来るだけ詳細に伝えた。
「なかなかやるな、初めての狩りにしては冷静な判断ができていていいぞ。
しかし相手は魔物だ。しかもお前はまだ5歳。
初めての狩りで勝てたが、本当は俺のいるときにしてほしかった。
お前に何かあったら悲しむのは俺だけじゃないのは分かってるだろ?」
「それは、ごめん」
「まあそんな気にすることはねえ。お前は一人でもゴブリンを狩ることが出来たんだ。
それは誇りに思っていいぞ。
だが今回はケガを負った。だからもっと鍛錬を強化して、後は…お前に[鑑定]のスキルをやろう」
「スキルを…あげる?」
初めて聞くことだった。
他人に自分のスキルを譲渡することが出来るのだろうか?
だが俺の予想は外れ、親父がとりだしたのは一冊の本だった。
「よしじゃあこの本を読んで見ろ」
「わかった」
俺は言われるがままに渡された本を読み始めた
本はあまり分厚くなく、5ページほどよく分からない言語で書かれているだけだった。
俺は[異世界言語理解]でそれが理解できたが、この世界の言語とは違うのが分かる。
母さんに本を借りたことがあり、その文字とは明らかに違かったからだ
内容は[鑑定]スキルについて長々と書かれているだけで他には何もない。
[鑑定]取得
読み終わると同時にまた機会音が響いた。
「親父、これって」
「それは魔導書って言ってな、それを読むだけでそのスキルを覚えられる、すごく便利なアイテムだ。
ダンジョンの報酬としてボスから落ちたり、遺跡から発掘されたりするアイテムでな。
今もその内容は解読できてないらしいが文字を読めばそのスキルを手に入れられるという代物だ。
なぜかスキル名だけは表紙に書いてあるんだが、中はさっぱりらしい」
そしてスキルを得られるなんて代物だから当然値段は安くないという。
俺が今読んだ[鑑定]スキルの魔導書は一冊で王都の家が一軒買えるくらいらしい。
俺は王都なんて見たこともないから分からないけど、それがどれくらい高いかなんて想像に難くない。
「まじか、そんな高価なもの、俺なんかにいいのか?」
「お前だからいいんだよ、アーグ。
いつかは渡そうと思ってたが、それが今なんだ」
「親父…」
「お前はもう魔物を狩れるようになったか、子供の成長は早いものだな…」
「俺はまだ一匹ゴブリン狩っただけだよ、親父のほうが何倍もすごい」
「それもそうだな!」
「褒めなきゃよかった…」
「明日からはもっと訓練辛くするか!」
「どんとこい!親父のメニューなんかすぐこなしてやるよ!」
その日のバーラック家には男二人の声が響いた…。
だが廊下からこんな声も聞こえる。
「はぁー、こうなっちゃったか」
読んでくださり有難うございました!