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28.5話:女子会〈1〉

こっち側も書こうかなって思って書きました。

28.5話です。

自分の店に客を呼ぶ声や、

子供たちの騒ぐ声が入り混じったいつもと変わらない日常。

4人を除いて。



「お父様!私は今からカトニス王国に行ってきます!」


「カエラ何かあったのか!」


ある一人は父親と話し合っていた。


「今は時間がありませんので、

後で詳しくお話しします!

もしかしたら時間がかかるかもしれませんので、

でも心配しないでください!」


「そんなに大事な用なのだな。

本当なら行かすわけにはいかないが、

カエラのことだ。

大丈夫だと信じている。

行ってきなさい」


「お父様…ありがとうございます!

タナマさんに特訓してもらってたんです。

私はもう十分一人で戦えますから!」


「あぁ、帰ってくるんだぞ」


「はい!」



「お父さん、お母さん、

少しの間カトニス王国に行ってきます」


「友達と旅行か?」

ある一人は家族で机を囲んでいた。


「まあそんなところかな。

少し遅くなるかもしれないけど、

気にしないで、カエラちゃんがいるから大丈夫だよ」


「そうね、カエラお嬢様がいるなら安心できるわ。

楽しんできてね」


「うん、ありがと!」



「準備とか何すればいいの?」


「そうね、洋服とかでいいのかな?」


残りの二人はある宿の一室で出発に向けての準備を進めていた。


「全部袋に入れればいいよね…あっ、ご飯いっぱい持ってかなきゃ。

スリエさんに行ってくるね!」


「ちょっとメルビー!出来るだけ早くね!」


「もう…時間ないのに…アーグ大丈夫かな」



そして1時間ほど時間が経ち、

分かれた4人は各々自分の準備を手に、

森の前に集まった。


「じゃあみんな揃ったね、行こう!」


リスタはできるだけ早く行きたかった。

何か嫌な予感が胸を渦巻いているから。


「行くのはいいけど、

時間かかるよね…」


ただ、馬車で二日かかる道のりを早くと言われても、

メルビーならすぐに行く事ができるかもしれないが、

魔法専門が多いこの4人がすぐというのは難しいことだった。


「そこは任せて!私の専門はなんだと思う?」


リスタが自信満々に質問する。


「…風?」


「せいかーい!ってことで、行くよ!」


リスタ以外の頭の中にははてなが浮かんだ。


「うわっ!」

「ちょっと!」

「すごーい」


皆感想は違ったが、

驚いたのはみんな一緒のようだ。

いつもよりも高くなった視線で会話をする4人は、

はたから見れば不思議な光景だろう。


「空を飛べば早いよね!」


リスタは皆には言っていないが、

スフィアと同じように風魔法しか使えなかった。

特訓をしているときに気づいたのだ。

幸い、風魔法の応用で、索敵のような魔法は使えるので、

急に来たとしても対応はできるだろう。

今は空にいるからそんなことはないけど。


「はぁ、すごいねリスタは。

確かにこれなら敵にも出会わないし、

早く着けるね」


「リスタ!私初めて空をちゃんと飛んだぞ!

いつもはリスタが持ってくれてたからね、

一人で飛ぶのは初めて!」


メルビーはこの状況が楽しいのか、

興奮していた。


「最近できるようになったんだよ」


「高い高い高い高い…」


しゃべってる間にもその高さは上がっていき、

一人は青ざめたような顔をしていた。


「それじゃあ出発!」


「はーい!」

(今度飛翔魔法でも覚えようかな)


「いっけー!もっとスピードあげてもいいよ!」

(風が気持ちー!)


「ひゃあああああー!」

(ひゃあああああー!)


考えてることは三者三様だったが、

向かってる場所はみんな同じだ。



途中にリスタの休憩をすることがあったが、

次の日の朝には着くができた。


「やっと着きましたね。はぁはぁ、

もう魔力がないです…」


「お疲れ様、はいこれ飲んで」


「ありがとうございます…

ぷはぁ、少し楽になりました」


「なんか思って場所と違う…」


メルビーがふと発した言葉に反応するように皆がその王国を見た。


「元気がないね、この国」


「確かに…早くいかないと…」


「そうね、アーグ君が心配だしね」


「こんな国に何の用なのかな?」


「分からない…けど、アーグ君が困ってるなら助けたい」


「私も」


「私はちょっと疲れちゃったな。

メルビー、肩貨して…」


不安が残る中、

4人は門をくぐろうとした。


「お嬢ちゃん達、この国に何の用かな?」


一人の兵士に話しかけられた。


「あ、はいとも…」


「観光です」


リスタの言葉をカエラが遮った。

カエラにはこの国が怪しくてしょうがなかったのだ。

全てが嘘くさい。

周りは壁で囲まれていて中の様子は分からないが、

ふつうの国とは何か違うと思った。


(ごめん、なんか怪しいよね)

(いいの、私が話す)


本当のことを言って何をされるかわかったもんじゃない。


「観光か、お嬢ちゃん達だけでか?」


「はい、こう見えても20歳は越えてますよ」


こういうところは兄妹といったところか。

考えていることは似ている。


「20歳か、あっはっはっは、面白い。

中で遊ぶよりも俺たちと遊ばないか?

楽しませてあげるぞ?」


そういうと、周りにいた兵士達も近づいてきて、

いつの間にか囲まれていた。


「なんでしょうか?

私たちは観光に来たといいましたが、

あなた達に用はありません」


(メルビーまだ何もしないでね!)

(えぇー、だって気持ち悪いじゃん!)

(ちょっと待って!)


「あ?楽しませてあげるって言ってるのに…

人の思いは素直に受け取っておく物だぜ」


男はリスタにつかみかかった。


「きゃっああああ!」


「この…!」


「やめてください!」


メルビーが限界に達し、

殴りかかろうとしたそのとき、

一人の兵士が声を上げた。


「その子たちを離してください!

もう耐えられません。

あなた達の行為は許されるものではない!」


「おいおいお前がいつからそんな口を叩けるようになったんだ?

俺たちは大人の楽しみを教えてあげようとしただけだぞ?」


「うるさい…黙れ!

今まで何人の女性が傷ついたか、

今まで何人の男性が死んでいったか。

さっきの男性も今はどうなってるかわからない!

この国はもう終わってるんだよ!」


「あーあ、キーキーうるせーな。やれ」


兵士達は私たちのことを守ろうとしてくれている。

その数は明らかに襲ってくる奴らよりも少ないが、

それでも立ち向かってくれている。

その兵士に剣を抜いた違う兵士が切りかかる。


「メルビー…」


「分かった」


兵士は死を覚悟して、

その剣が落ちてくるのを待ったが、

それが落ちてくることはなかった。


「なんだお前は…?」


「大丈夫?もう安心して、

私ももう耐えられそうにないから」


「え…」


兵士はあっけにとられたような顔をしていたが、

次の瞬間には目の前に自分を襲ってきた兵士が倒れていた。


「スフィア、私たちもやろっか」


「リスタは休んでて」


「そうする、でもその前に、

その手、離してもらえます?」


「は?」


リスタは肩についてる腕を切り落とした。


「アーグ以外の男性には触ってほしくないので…」


「痛ってええええええ!

俺の…俺の腕が…!」


「ちょっとうるさいです。

水でも飲んでてください」


スフィアも静かに怒っているのか、

水を男の口の中に生成した。


「ごぼぼぼぼぼぼ…」


兵士は気絶した。

それからは圧倒的だった。

その三人の攻撃にすべもなく、

やられていく一方だった。


「あの…兵士さん、ここに黒髪の男の子は来ませんでしたか?」


「あぁ…さっきの子かい?

君と同じようなことを言ってたよ。

でも今頃は君たちのように襲われているかもしれない。

僕たちは何もできなかった。

すまない…」


「そうですか…」


「アーグなら大丈夫だよ!」


リスタは自信満々に言った。

本当は心配でたまらなかったが、

そう言うしかできなかった。


「そうだよ、アーグはそんなにやわじゃない」


メルビーもそれに賛成するようにのってきた。


「そうだよね…では私たちは行きます」


「あぁ、中もこういう奴らがいっぱいいる。

気を付けてくれ」


「みんな!」


スフィアが声を上げた。


「どうしたの?」


「国の人たちが…」


「なにこれ…」


そこは地獄のような光景が広がっていた。

至る所に壊れた家や、傷をつけた人々が。


「何が起きてるのこの国に…」


「早く行こう…」


その光景に4人の胸の不安は大きくなるばかりだった。



「君たちは?」


4人は城に向かうことにした。

住人の一人が、

黒髪の男の子が城に向かって走っていったという情報を教えてくれたからだ。

その人は自分たちの治療もしてくれたとも言っていた。

間違いない、アーグだ。

そして城の前の門までついたのだが、

そこには倒れている兵士やなかには漏らしてる兵士もいて、

それを縛っている兵士がいて。

とても不思議な場所だった。


「私たちは…男の子を探しに来たのですが…

居ませんでした?」


カエラはこの人達からは先ほどの兵士達のような、

悪い雰囲気は感じなかったので、

本当のことを言った。


「あぁ、あの方ですか!

とてもお強い方でしたよ!

多分今は王女様と会っていると思いますよ」


「来たんですね。ではその人のところまで案内してもらいたいのですが…」


「あっ、今はもしかしたらもう王様のところに行っているかもしれません」


「王様?なんでですか?」


「あの方は銀髪の少女を探してるようでして、

その人が女性なら多分…王様に…」


「そうですか、ではそこに」


「あの…大丈夫ですか?」


「私たちは強いですよ、だから大丈夫です」


「確かに、あの方のお友達でしたら納得できます」


(ねえ、アーグって何したんだろ…)

(わかんないけど、倒れてる人皆怖そうな表情してるし…)


リスタとメルビーが言う通り、

倒れている兵士達は恐怖の表情をしていた。


「では案内いたします」



「こちらです」


ドオオオン!


「何!」


王の部屋と呼ばれている部屋まで来たが、

中から何かがたたきつけられるような轟音が響いた。

胸の中にあった嫌な予感が大きくなる。

リスタは勢いよく扉を開けた。

目の前には大剣を振り上げた男と、

黒髪の少年。

アーグが倒れていた。


「やばっ!」


その様子を見たメルビーが一気に駆け出す。




読んでくださりありがとうございました。

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