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27話:救出

今日2話目です、

「兵士さん、また場所案内お願いしても?」


「もちろんです!」


この人も心に秘めているものがあるのだろう。

言葉では元気そうに見えても、

顔には憎しみがあふれている。


俺が助けなきゃ、

 




中からは気配が5つ

一つはシルで間違いない。

今まで感じたことがある気配だからだ。

あとの4つは分からないが、相当の強者が三人。

残りが王だろう。

それでも一人だけ尋常じゃないほどの強さを発しているものがいる。

この人がシルを連れて行った者なのかもしれないな。

とてもじゃないが俺には手も足も及ばない。

そして俺は扉を勢いよくあけた。


予想通りといったところか、

王とその横に守りでもしているのだろうか、

2人の女と男が、

そしてフードを被った男。

そしてシル。


「シル!」


「アーグ…来ちゃダメ…」


「何を言ってるんだ!今助けるからな!」


「おいお前、何をしている。

今からわし自らこいつを調教するところなのだ。

邪魔をするな。やれ」


「御意」


調教だと?ふざけるな…

何故シルは動かない?

あの首輪はなんだ?


アーグの前に剣が振り落とされる。

っとっとっと、考え事している余裕はなさそうだな。

まずはこいつを。


「王の営みを邪魔した。万死に値する」


男は容赦なく剣をふるう。


「はっは、お前の剣よりシルのほうが何倍も早いな!」


「黙れ」


そんな挑発をしている俺に明らかに俺よりも大きい、

火の玉が飛んできて俺の服を焦がしていった。

あの女…!

近づいただけでこの熱気とは、

相当のやり手だ。

この二人。

あんな挑発をしているが、

二人の相手をするのは流石にアーグが成長したといっても難しい。


そのまま三人で攻防戦をしていると、

王がシルに近づいていき、

その体を触っていった。


「てめぇ!シルに触るな!うおっ!」


「よそ見をするな、お前の相手は私たちだ」


シルに近づこうにもこいつらが邪魔をして先へ進めない。


その間も王はシルの体を、

気持ちの悪い顔で触っていく…

そして、シルの肩を、舐め始めた。


「はっはっは、いい味だぞ!この白い肌、気に入った!}


「……っ!」


シルは声を出せないのか…

俺の怒りは頂点に達した。


そんな怒りもむなしく、

二人のコンビの前に自分を守ることしかできない。


王はシルの服に手をかけ、

シルは下着だけの姿になってしまった。


「いいぞいいぞ!どうだ?そろそろ諦めたらどうだ?

お前の救世主もあんなだぞ?」


「…ぅるさい…死ね」


俺は、そんなシルの姿に一瞬絶望してしまった。

前回会ったときはなかった体の傷の数々。

俺がもう少し早く来ていたら…


その一瞬が命取りだった。

男の剣が俺を吹き飛ばした。


「カハッ!」


口に血の味が広がる…

もう終わりなのか?


「シル…ごめん…」


俺に剣が飛んできた。

あぁ、またか...




「アーグ!あきらめないで!」


俺はいつの間にか扉の前に戻っていたのか。

そこにはメルビーとリスタ、

あと、以前初めてここに来た時に会った少女と、

初めて会う水色の髪をした少女。


「お前ら…」


「アーグ、私がいなかったら危なかったね」


俺はメルビーの腕の上にいた。


「そろそろ重いんだけど」


「あぁ、ごめん」


なんでこの人たちがいるのかアーグは理解できなかった。


「アーグ、この人たちは私の友達です。

あの二人は私たちが引き受けます。

だからアーグは、銀髪の子を!」


「……ありがとう!」


そうか、助けに来てくれたのか…

何故かは知らないが今はこの4人の力を借りよう。


そして回復魔法をかけ、身体強化を重ね掛け。

一気に王に近づいた。

…やったか!

目を開けると、シルが俺の拳を止めていた。


「なんで…」


「アーグ…逃げて…」


シルの攻撃を紙一重のところでかわすが、

シルの攻撃はそれでは終わらず、

次の攻撃には当たってしまった。


「痛って…」


「はっはっは、魔女の力は本物だな!」


あいつ…もしかして操っているのか?


しかし俺がシルに勝てるとは思えない…

どうすれば…


「アーグさん!私があの首輪を外します。

なので少しだけ動きを止めていください!」


雪…

じゃない!何故かこの子を見ると思ってしまうが...

この子には何か策があるらしい。


ふと、後ろを見ると、

メルビーが一人で男と戦っていた。

男はメルビーのスピードにはついていけないようで、

防御にまわっているが、

すでに体力が限界といったところか。

女のほうも、

すでにリスタと水色の髪の女の子に押されてひん死だ。

強くなったな...


「わかった!少ししかできないからその間に頼む!

シル行くぞ?」


「お願い…助けて…」


シルの目には涙が浮かんでいた。

儚く散ってしまいそうなその体は、

王によってあらわになっている。

肝心の王はにやにやしながらこちらを見ている。

殺す…


「[身体強化(改)]」


その誰もが聞いたことのないスキル名を口にすると、

アーグはすでにシルの身を拘束していた。

抱き着いた状態に見えるが。


「頼む!首輪を!」


カエラには何が起きたか全くわからなかったが、

今は首輪をやらなければ。


「はい![解呪]」


パキンっ!


その金属の割れるような音と共に、

シュルガトの首輪は砕け散った。


「何!おい商人!どうなっている!」


王はこんな未来が予想できなかったようで、

黒いフードを被った男に怒鳴りつけた。


「いやー、いいものが見れましたね!

大事なものを救いに来る男!

楽しませてもらいましたよ、

では私はこれで」


「おい!待て!っ、シル大丈夫か!」


フードを被った男は、一瞬シルに目を向けた隙にいなくなっていた。

シルの体は弱っていた。

かくいう俺もすでに体は動かないが。


リスタ達もすでに決着はついたようで。


「おい商人!ま、待て!」


カエラが王にジリジリと近づいていき、


「[拘束]」


「な!なんだこれは!」


王はカエラの拘束の魔法により、

身動きが取れない状態だった。


「アーグ…できるようになったんだね」


「あぁ、シルを驚かせようと思ったんだが、こんな初披露目になっちまったな」


俺は頭を掻きながら言う。


「ありがとう…」


そういってシルは今までの緊張から解放され、

そのまま目を閉じた。


「ごめんな…早く来れなくて、おやすみ」


シルは窓から差し込む光に暖かく照らされ、

その銀髪が反射して綺麗に光った。



「アーグさん!」


王女様のほうも、避難が終わったのかここに来ていたようだ。


「王女様...終わりましたよ」


俺の言葉に安堵したのか、

今まで色んな感情の入り乱れていた表情が、

笑顔に変わった。


「ニムセット、何をしているのかわかっているのか?

早くわしを助けろ」


王女様、ニムセットの表情は再び憎しみのような表情へと変わった。


「黙りなさい!誰がお前なんか助けるもんですか!

今までたくさんの人の助けを聞いて、

誰一人として助けなかったお前が!

人の助けを求めるなんて...

冗談でも笑えない」


「あれは、わしの物だ。

だからどうしようと関係ない。

それに妻がいなくなったのも悪い。

わしのせいではない」


「あの人たちは物ではない!

お母さんがいなくなったのはお前のせいだろ!」


すでにニムセットは怒りは頂点に達している。

そして、


王は殴られた。

それだけでは終わらない。

倒れた王を何度も何度も馬乗りになって殴っていく。


「ニムっ...や...めろ」


その様子を見ていた者達は、

誰一人としてニムセットを止めようとはしない。


「お前のせいでお母さんは...お母さんは...」


ニムセットの目には涙が浮かんでいる。

既に王は気絶しているのか、

何も反応がなくなった。

読んでくださりありがとうございました。

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