16話:再開?
遅くなってしまいすいません。
16話どうぞ!
「じゃあ行くぞ、忘れ物はないか?」
「うん!」
「母さん行ってきます」
「お土産待ってますね、行ってらっしゃい」
俺たちはランド王国に向け村を出発した。
村にある荷馬車を使っているので特に疲れることはないが、少しお尻が痛い。
それはリスタ達も同じようで、口には出さないが顔に出てる。
親父は慣れてるようで馬の相手をしながら御者の役割を果たしている。
俺とリスタは会話で紛らわそうとずっと話ていたが、
ついにメルビーの我慢の限界に達したのか、
「アーグ!お尻痛い!もう無理!」
そんなことを言いながら、俺の膝の上に乗ってきた。
いい匂いがするよぉ。
「じゃない!降りてくれよ!」
「やーだー!ここすっぽり挟まってちょうどいいし!」
確かに、メルビーは小さいしちょうどいいが…
「あわわわわわ」
あちらの子は顔が赤くなっちゃってますよ…
「アーグ顔赤いよ?あれもしかして恥ずかしいの?あははは」
あっ、俺も赤いみたい…
「そんなことないぞ!お前なんかに恥ずかしがるとかないわー、まじないわー」
「む、じゃあずっとここにいる」
あ、言葉の選択ミスった、もういいや
なんか殺気が…
ゴゴゴゴゴ
怖っわ!親父にめちゃめちゃ睨まれてるよ!
ごめんな、親父、馬と遊んでてくれ…
ほらその女の子も親父のことを見てるよ!
「アーグ…私も乗っていいですか…?」
リスタも言ってきたぞ!なにこの子、恥ずかしがってる仕草がかわいい!
「あー、今こんな状態だから、時間で交換でいいならいいぞ」
了解しちゃったよ!可愛いからしょうがないな、うん。
「分かりました…」
「リスタちゃん、もしよかったr
「いいです」
親父…がんばれ。
結局1時間ずつ、交代した。
夜、みんなが寝ているとき俺は昼に動かせなかった体を動かしに、森に入っていった。
「[発光]」
これを習得したおかげで、夜でも周りが見えるようになった。
しかし、夜の魔獣は昼にいるものより強くなるので油断はできない。
親父には言ってあるので、何かあっても大丈夫だろう。
夜中、夜が明けるまで狩りを行っているせいか、昼に寝ることが多くなった。
俺が起きたときに毎回リスタに膝枕をされているが、
とても気持ちがいいのでありがたい。
でも足とお尻がつらそうなので、今度クッションか何か作ってあげたいな…
「三人とも、見えてきたぞー!」
「あれが…」
「ランド王国…」
「大きいなー!」
今までずっと村に住んでいたので、その大きさには圧倒された。
地球に住んでいてもこんなことはなかっただろう。
いや、周りの大自然さ故かな。
「身分証の提示をお願いします」
「あいよ」
「リック=バーラット…あのリック様ですか!
お会いできて幸栄です!
そちらは、お子さんですか?」
「知ってるのか!俺の息子と、家族だな!」
「そうでしたか、ではランド王国へようこそ」
「ありがとな」
こっちの肉はどうですか!安いよ!
今日の野菜はいいものぞろいだよ!
占いはどうだい、安くしておくよ
がやがや
「すげぇ!人がいっぱいいるよ!リスタ達はっ…大丈夫か!?」
「アーグ…やっぱり人が多いのは…なれませんね、あはは」ガクガク
「流石の私も…ちょっと無理かも…」ガクガク
そうだよな…二人にとっては怖いよな…ごめん気づいてやれなくて…
俺は、何も言わずに二人の手を握った、その手はかすかに震えていた。
「まずは宿屋で休むか、そこがお前たちがお世話になるところだから、場所覚えておけよ」
「親父…ありがとう」
親父はただ親指を立てた。
「アーグ、ありがと。少し震えが収まったよ…」
「…なでて」ぽすっ
「おいっ…」
メルビーが一言、そういって俺の膝の上に乗ってきた、
俺はそっとその頭をなでてやった…
「いらっしゃい!リックか!…久しぶりだね」
「よう!元気でやってるか、スリエ」
「私は見ての通りだよ、あんたはまた冒険者でもするのかい?」
「俺じゃないよ、息子たちだ」
「アーグです」
「リスタです」
「メルビーだ」
「こいつらはあと1年もしたら、この王国で暮らすようになる、その時にここに泊めてやってくれないか?」
「私はお金を払ってくれれば誰でも泊めさせてあげるよ」
「相変わらずかわってないな」
「そんなすぐには変わらないよ」
「今日も一晩泊めてほしい、二部屋お願いしていいか」
「あいよ、ナスカ‼お客さんだよ、案内してあげて」
「お客様!いらっしゃいませ、こちらへどうぞ!」
赤毛の小さな女の子だ。歳は俺たちと同じくらいかな?
その子が案内してくれた部屋に行ったんだが…
「わーい!久しぶりのベッドだ!ふかふかで気持ちいよぉ」
「やっと、解放されましたね…お尻が本当に痛かったです…」
さっき二部屋って言ってたけど、親父で一部屋なの?
あいつ……!
「ほら、アーグも来なよ、久々のベッドだよ?あっ、もしかしてこっちのほうがよかったかな?」
メルビーはにひひ、と笑いながら、自分のもものあたりをなまめかしくこすり上げた…
「う、うるさい!俺は疲れた、寝る!」
ベッドはなぜか大きいのが一つしかなかったので、馬車でのことを思い出さないよう、
できるだけ端によって眠りについた。
「それじゃギルドに換金しに行くか」
一日休息をとり、持ってきた素材を換金するためにギルドに行くことになった。
俺は異世界のギルドにあこがれていたのでめちゃくちゃわくわくしてる。
でも、リスタとメルビーはまだ怖いようで、俺の横にくっついたままだ。
「嬢ちゃんたち」
「ヒっ」
「あの、何ですか?」
リスタが脅えていたので俺が前に出たが、何の用だ?
「これ食べてみな」
「え?」
「いいからその二人に渡して」
「でも、代金は…
「いいからいいから、かわいい子には上げたくなるもんなんだよ」
確かにその気持ちは分かるが…
「二人とも、食べてみな」
「…わかりました」
シャク
「おいしい…」
「おじさんおいしいよ!ありがと!」
「うんうん、いいねその笑顔、またいつでもおいで」
とりあえず悪い人ではなさそうだな。
でも俺にはくれないのか…
まあいい、俺は男だしね!
「ついたぞ、ここがこの王国のギルドだ」
「おぉ」
内装はとてもシンプルなものだが、見る人を圧巻させるようだ。
今が寝すぎたせいで夜というのもあってか、酒を飲む冒険者が多く、
すごく騒がしい…
「そこの可愛いお嬢ちゃん、一緒に酒でもどうだ?おいしいぞぉー!」
「やめてください、怖くて震えてるじゃないですか」
ここで絡まれるのもめんどくさいので、早々にこの場を離れたいが、
「そうか…なあ俺って怖いか?」
あれ?すごく寂しそうにしてる…
異世界の定番といえばなめてるのか!とか言って殴りかかるんじゃないの?
「あのな、小さい子に酒なんか誘うなよ…ただでさえ顔面怖いのに…」
「うおおおお!何故だあああ!」
優しそうな人だな…
大人になったら一緒に飲んでみたい。
リスタとメルビーもすっかり口が開いてるよ。
「ほら、行くぞ」
おっと、親父に声をかけられてしまった。
「ごめん、今行く」
何やら親父が受付で話をつけていたようだ。
そのまま俺たちはギルドに併設している解体所?のような場所に連れていかれ、
少しすると筋肉で服が破けそうになってる人が来た。
この人絶対親父と仲良さそう…
「リック久しぶりだな!」
「ジャック!元気そうで何よりだ!」
ほらね…
「その子たちは?」
「あぁ、紹介する、俺の息子のアーグと、内緒にしてほしいんだが、エルフのリスタと狼人族のメルビーだ。一応家族ってことにしている、俺も家族だと思ってるしな」
「親父!!」
「アーグ心配するな、こいつは信用できる、お前がここに住んだ時も何かと役に立つはずだ、ジャックも頼むぞ」
「お前の頼みなら断るわけにはいかねぇな!三人ともよろしく、俺はジャックだ、このギルドのギルド長をやっている。二人のことは絶対に話さないと約束しよう、だから安心してくれ」
「そうですか…親父が言うなら、わかりました」
「でもこの王国は治安がいいとはいえ、その装備、外さないほうがいいぞ」
「分かるんですか!」
「何年も冒険者をやってればそれくらいは分かる。それで、今日は何をするんだ?」
「アーグ」
「わかった」
俺は腰に掛けておいた収納袋から、今まで貯めてきた素材をすべて出した
「これは…すごいな」
「全部この三人でやったんだ」
「流石お前の家族だ、よし!今から鑑定して金額を出す。明日には出ると思うから明日また来てくれ」
そういってジャックさんはギルドに戻り、数人を引き連れて素材を鑑定し始めた。
「お前らは先に帰ってろ、俺は酒でも飲んでくる」
そろそろリスタ達も限界なので、寄り道はせずに帰るか…
そう思いギルドの廊下を曲がろうとした途端
ドン!
「きゃっ、ごめん…な…さい」
「こちらこそ、すい…え?」
「アーグ、この子と知合いですか?」
「い、いやそんなことはないぞ。大丈夫ですか?」
「え?えぇ、私は何とも」
「それならよかったです、じゃあ行こうか」
なんだ?今の…
あの子を見た途端胸がどきどきするような感覚になった…
それどころか、一瞬雪のことを思い出した…
どことなく、雪に似ていた。
容姿や声は全く違ったけど、何故か俺は雪と思ってしまった。
読んでくださりありがとうございました。




