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12話:二人のために

12話です。

俺はお世話になったお礼に、異世界転生定番の“マヨネーズ”を作ることにした。

他にも作ろうとしたんだが、この世界には元の世界にあった物も多く存在していたので、

何故かなかったマヨネーズにした。


「レシアさん、卵ってありますか?」


「確か、王都で買ってきたのが…あったここに」


「ありがとうございます、でも王都にエルフが行って大丈夫なんですか?

エルフは見た目ですぐわかると思うんですけど…」


「そこは大丈夫よ、村の一人に付与のスキルを持ったおばあさんがいてね、

その方が認識阻害付きのアクセサリーを作ってくださったの。

興味があったら今度行ってみてはどうかしら?」


「認識阻害ですか…わかりました、あとで行ってみます」


それがあれば…。


「それじゃあ私が案内してあげるわ」


「ありがとうございます。

俺空飛べませんしね…」


「そうだったわね、うふふ」



それから俺は、

マヨネーズを作ったのだが、

奥様達の試食会で質問攻めを食らい、

もみくちゃにされること小1時間。やっと解放された。

あの人たち元気すぎるよ…。

中には木と会話してる人もいたし…。


「大変だったわね、まああんなすごいものを作ったんだから、ね?」


「そんなすごいですか?」


「だって今までにない味で、とっても美味しかったから!」


レシアさんはその味を思い出したようにゴクリとのどを鳴らした。


「喜んでもらえたならよかったです」


「ありがと、それじゃあ行きましょうか」


「はい!」



ヒュウー、

高い高い高い、風がすごいんですけどぉ!


「あら、これくらいで怖がっちゃだめよ、これから飛ぶんですから」


「ちょっとトイレ…」


「おばあさんの家はちょっと下ですから、行きますよ!」ポーン


あれ、地面がなくなった。


「え?ひぃぇえええ!」


「あははは、気持ちいですねーー」


「助けてぇええ!」



「はあ、はあ死ぬかと思った…」


なにこの人メルビーと同じことしてるよ…

人を断りもなく突き落とすなんて…。

もしかしてメルビーがああなったのってこの人が…

もういいや考えないでおこう。

俺たちはある一本の木に降り立った。


コンコン

「おばあさん、いらっしゃいますか?」


「どちら様かな?おぉレシアか、久しぶりだなぁ」


家の奥から出てきたのは、

少し腰の曲がり、しわがよったおばあさん。


「そうですね、お久しぶりです」


「そちらの子は…もしかしてリスタとメルビーの救世主様かい?」


「はい!私の娘を助けてくれたんですよ!」


え?俺エルフの中で救世主の扱いなの?恥ずかしい///


「俺はアーグです。おばあさんは認識阻害のアクセサリーを作れるとかで…」


「アクササリーは見た目で、魔石があれば私が付与できるよ」


「じゃあ!俺も付与できますか?」


「救世主様がやるのか、よし!

村の宝を守ってくれた恩がある

特別にできるようにしてあげるよ」


「ありがとうございます!」


「じゃあこの魔石の中から好きなものを…」


「いえ、俺が取ってきます」


「そうかい?

救世主様だから無料であげるつもりだぞ?」


「それでも…

俺が自分の手で取って作った物をあげたいじゃないですか」


「いい心がけじゃないか。

男の(かがみ)だよ。そうだね…ここら辺で魔石と言ったら

近くにある迷宮のボスの魔石が一番きれいだったとはずだ」


「それは緑色ですか?」


「たしか…何色だったか…」


「それなら薄緑ですよ」


今まで黙っていたレシアさんがおばあさんを遮るようにしゃべりだす。

でも知っててくれたのは好都合だ。


「レシアさん?」


「これでも村の長の嫁ですので」


あんな性格だけどね。


「緑はあったし…青色っぽいのありますかね」


できるなら二人に似合う色にしたい。


「それは…」


今度はすぐには思いつかないのか、うんうんと唸っている。


「私にもわからんね」


どうやらおばあさんもわからないようだ。


「それなら!ギランさんに聞いたらどうかしら?」


「確かにあいつなら知ってそうだな、あっはっは。

じゃあ救世主様魔石が手に入ったらおいで。良いのを取ってくるんだよ」


ギランさんは冒険でもしてたのかな?

まあ、狼人族の長だしね。


「ありがとうございます、あと救世主様はやめください!」


「じゃあ行きますよ、つかまっててください」


無心無心…うわぁぁぁぁ!



「ギランさん!」


「アーグかどうした?顔色が悪いぞ」


また飛ばされたんですよ…。


「…それは気にしないでください。

それよりも青色の魔石を持った魔物、知ってませんか?」


「青色の魔石か…ふーむ、たしかあいつが持ってはずだが…」


「いますか!」


「この近くの迷宮にたまに出てくる“ラックバード”が持ってたぞ」


流石ギランさん。

魔獣のことならこの人に聞けばわかりそうだね。


「ラックバードですね!ありがとうございます!」


「おいおい、あいつはほとんど出てこないぞ」


「…それでもいきますよ」


例えどんなに時間がかかっても。

あの二人と一緒に冒険をするために。


「そうか」


「あと迷宮のボスって強いですかね?」


「そうだな、動きが遅いがとにかく固いうえに弱点がめちゃくちゃ小さい…倒すのか?」


やはりギランさんは戦ったことがあるのか。


「…はい」


「おし!じゃあこの剣を持っていけ」


「これは…」


「アーグのナイフはもうボロボロだからな、そんなものじゃ攻撃が入らない。

これは俺が二番目に大切にしてる剣だ、一番は渡さないがな」


「ギランさん…ありがとうございます!絶対倒しますから!」



そんなわけで俺は今、村の近くにある迷宮に着いたわけだが…。


「迷宮とか生まれてから初めてだな。

おっなんかいるな。


[鑑定]リトルモンキーLv13 


13か、まあまあ高いな、でも倒せないほどじゃない。

これを機にレベルアップすればいいけど、たまには身体強化に頼らずやらないとな」


行くか。


ウキっ


そのサルのような魔獣は(いやモンキーって言ってるほどだしサルか)

俺に気づき、攻撃をしてきたが、

親父の攻撃に比べれば余裕で避けられる。

今は身体強化を使ってないから油断はできないが。

攻撃を外し、その反動で転んだサルにナイフを刺す。

首に刺さった場所から血があふれるが、

すぐに光の粒子となり、消えていった。

魔石だけを残して。


解体とかしなくていいんだな。

こりれは楽で良い。

それにしてもこのナイフの刃こぼれすごいな。

ってことで、ギランさんの剣、使わせてもらいます。


あ、あそこに良い(実験台)が。

その命、狩らせていただきます。

今度は気づかれないように、

静かに近づき、剣を振った。

その剣はたまることなくその首を刈り取る。

相手は死んだことも気づかず、光になった。


え?なにこれめっちゃ切れるんだけど。

ギランさん…最高だよ!

そんな調子でさくさくと迷宮を攻略していった。


今、俺の目の前には宝箱がある。

そう宝箱があるのだが…

あの宝箱から生体反応があるんだよね。

宝箱が生きてるって何?ミミック?ミミックなのね。

ごめんな罠に引っかからなくて…。

これもあの二人の為なんだ!

まあ生命ってことは分かったし、


「[鑑定]」


ミミックLv???

…?ってなんだよ!

Lvが見えないなんて親父とかギランさんとかくらいだよ?

とりあえず、石でもぶつけてみるか…。

そんな少しの興味で俺は投げたのだが、

この後、後悔することになる。


ぴぎゃあああああ!


今までただの宝箱だったそれは、

牙をむき出しにして涎をまき散らし、

耳をつんざくような叫び声をあげた。


なにあれ怖い…。

俺が戦ったら絶対死ぬな、うん死ぬ。

でもこの剣切れ味いいし、一回、一回だけ投げてもいいかな?投げよう。

俺はその剣の切れ味を信じて、その箱目掛けて一直線に投げつけた。


またもその剣は止まることなく、

箱を貫通していった。

その箱は今度は断末魔を上げながら消えていった。


ぱさっ


信じてたよ…。

あっなんか落ちてる、袋?


「[鑑定]」

収納袋1500L


収納袋?

よっしゃーー!

ミミック、やっぱお前はすごい奴だったよ…。

安らかに眠ってくれ…。

そしてギランさん本当にありがとう。

早速荷物入れとこ。ん?1500L?

すごいな…なんでも入るじゃん。

そういえば、ラックバード出てこないな…やっぱ相当レアなのか?

うーん、先ボス部屋を探すか…意外とすぐ近くにあったりしてな?


俺は鼻歌を歌いながら剣を岩から抜こうとしたその時。


ゴゴゴゴゴ


壁が二つに分かれた。

剣を見てみると、

他の壁とは少し色の違った部分に突き刺さっていた。

スイッチでも押したのか?

どっちにしろラッキーだな。

俺は壁の間から姿を現したその扉に手をかけ、

静かに開けた。


そこは広々とした空間で、

奥に玉座?のようなものがあるだけで他には何もなかった。


「!?」


どおおおん!


俺はとっさの判断で、横に避けた。

俺が今さっきまで立っていた場所は、

大きな岩のような魔獣につぶされていた。


「ギギ」


「遅いんじゃなかったのか?

俺の[索敵]に引っかからなかったけど…。

急に命が吹き込まれたみたいな感じだったし…今は考えるよりも倒さないとな」


剣を手に走り出した俺はその体を斜めに切り上げた。


キンっ…。


しかしその刃が今までのように体を切り裂くことはなかった。


()った!近づくと殴るのか」


そして俺が近づくのに反応して、

その岩の魔獣は殴りかかってきた。


「ギランさんの遅いって何だよ…」


俺は予想よりも早いその動きに戸惑いながらも一つのことに気づく。


何もしてこない?


そいつは一定の範囲に入らなければ何もしてこないのだ。


「なら[身体強化]で速さを上げて…」


走り出した俺は奴の周りをまわるように全力で走った


「どこだ、弱点はどこだ…」


その間もゴーレムによる攻撃は続いている


「そろそろ、壁がやばいな…」


岩の魔獣の攻撃を受け続けたせいで、周りの壁が崩れてきた、

どこなんだ…弱点が見つからない。


「見つけた!頭の上か‼」


頭の頂上に一瞬だけ輝いた気がする。

あとはそこを攻撃するだけで…。


俺は一心不乱にそこをめがけて剣を伸ばした。

だがその剣が届くことはなかった…


「嘘だろ…」


「やばっ」


その一撃で倒せると思っていた俺は、

そいつの攻撃を防ぐことができなかった。


「死…ぬ…[上級回復]」


意識が落ちる前にギリギリ回復をかけることができたが…


「はあはあ、何が起きた…」


俺が剣を刺そうとしたその瞬間、奴の弱点を守るように何かが現れたような気がしたが…。

スキルか?

一回で終わるわけにはいかない…。

何回も何回も攻撃を加えれば必ず弱点は出るはずだっ!


「もう一回![身体強化]!」


「ギギ」


さっきと違う?

そいつは弱点を自分の手で守るようにした。


「もうさっきの手は使えないってか?

その手をどけろ!お前の魔石はリスタに渡すんだよ!」


ピキ


ひびが入った…いける!


「死ねえええええ!」

パキンっ

何かが割れるような音がするのにつられるように、

その体は崩れていった。


倒したのか…?


[レベルアップ]

アーグ Lv25


「落ちた…よかったぁー、まじで死ぬかと思った…」


でもこれでリスタの魔石確保できた。


「あとはラックバードなんだが…」


玉座の方から何かが飛び出したような…。


「鳥?」


青い!あれか!

その姿を捉えると、

腰に下げていたナイフをその鳥目掛けて投げ飛ばした。


そのナイフは見事命中。

出くわす確率は低いが、

その個体としては弱いようで、

ナイフが刺さっただけで死んでしまった。


弱くてよかった…。

とりあえず目的の物はどちらも得られたし…。


[器]発動

[絶対防御]取得

10秒間任意の場所を攻撃不能にする。MP量によってその範囲は広がる。

一度使うと一日使えない。


「さっきのスキルはこれか…強いな」


今日の目標達成したし、おばあさんところに帰るか。


読んでくださりありがとうございます!

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