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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第四章
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第六十六話:クレタ灰燼


 人は攻めれば、攻め込まれるという事を学習しないのでしょうか?

 

 俺たちが帝国兵のふりをして、トレースの王都へ攻め込んでから

1週間経ったが 

結果は小吉程度の結果になってしまった。


 スピカ王国の兵は本国に引き返したが、トレースはクレタに居座り

にらみ合いの状態だ。

  

「リン、何故攻め込まないんだ?。俺たちは19万だぞ!」

 

「ですから、外交交渉の為の一時待機とご説明しましたが?」

 納得いかん、交渉しても進展すると思えない。

 

 我々は対陣していた王国兵12万に加え

カナンから追加で4万と俺たち3万に召集がかかり精鋭19万だ

敵は14万のまま、攻めれば勝てそうだが?



 もう夕方か今日も野営か?


『魔法師をお持ちの諸侯の方は本陣までお越し下さい』

「ちょっと、行ってくるぞ」



 本陣といっても、20畳くらいのスペースか?

「申し訳ありませんが、みなさんの魔法師の指揮権を一時的にお借り

したいのですが?」


「構いませんよ、うちは2万といった所ですね」

「うちは3千程度います」

「うちは2千はいます」

「うちは……」


 やはり俺の所の魔法師の数は多いらしい。

            

「本隊と併せて、総勢8万ですね。それだけ居れば十分です」


「明日攻め込むんですか?」

 

「今回は領主のアラン伯を殺しての蜂起です。ついに陛下も決断されました」

  

「陛下のご命令です。クレタはこの5年で5回の反乱を起こし

ついに今回は敵兵を引き込んでの、武器を手にしての住民の一斉蜂起」

           

「まさか……」


「今夜、クレタを灰燼に帰すと。決定しました」

「諸侯の方は弓兵にて、広域魔法を感知した敵への攻撃をお願いします」

「「わかりました」」 


 アラン伯は反乱ではなく、住民に殺されたのか?

 クレタも終わりだな。 



「伯爵、軍議の結果はどうなりました?」

「リン、弓兵を集めろ。今夜クレタを灰にする事が決まった」

「そんな、クレタには住民が35万以上いるんですよ!」


「アラン伯は住民に殺され、敵兵を引き込んでの一斉蜂起だ」


「そうだよ、きっと陛下の逆鱗に触れてしまったんだよ」

「アレク、でも……」


「アレクが弓兵を集めろ、魔法師の一斉攻撃は夜の2時だ」

「はい」


 女性のリンには納得できないだろう、俺も納得はできないが

住民の武器を手にした一斉蜂起がどれ程の罪なのかを知らしめる

いい機会なのだろう。


  

「カズマさん、聞きました。ついに街に対して殲滅戦をするとか?」

「そうなるな」


「この結果が伝われば。北のモンフォール侯爵との戦いにも

終止符が打たれる結果になるでしょう」

  

「まだ激戦が続いているのか?」

「キグナス周辺は、すでに盗賊狩りと同程度の掃討戦に移行済みですが

コロナの抵抗は未だに激しいようです」



 なんだ、この魔力感知に引っかかる膨大な魔力は?


「弓兵、弾幕を張れ!」

「我らも、ありったけの弓矢をうちこめ!」


 こちらはクレタを囲んでいるし、敵の主力は寝ているんだろう

これだけの魔力を感知しておいて、出てきた兵士は2千程だ。


 

 もう1時間以上戦っているぞ、魔法隊は何やってるんだ?

 敵の本隊が動き始めたぞ、魔力感知があれば

これだけ膨大な魔力だ、レベル1でも感知できるだろう?


 弓だけでは持ちこたえられないか?


『エクスプロジオンエクレール』

   

「全軍後退せよ」

「街から離れろ」

「下がれ……」


 うちの部隊は大丈夫だが、王国軍も5百人くらい巻き込まれたか?

 

 すさまじいな、まるで神罰と言ってもいいような、稲妻の嵐だな

ガン○ムで出てくる軍艦の主砲といった感じだ。


「伯爵、終わりましたね」

「アレクか、凄まじかったな!」

 

「まさか、広域の殲滅魔法の『エクスプロジオンエクレール』を

使うとは?」


「滅多に使わないのか?」

「準備に優秀な魔法師が5万は必要で、詠唱中の3時間は無防備になり

発動の1時間前には『魔力感知』のレベルが3以上の者には気がつかれて

しまうという欠点の多い魔法でもあります。威力は凄まじいですが」


 俺は詠唱開始してすぐに気がついたが、普通は1時間前に気がつくのか?

           

「とにかく、クレタは跡形もなく消えてしまったし、調査も不要だ

我らは朝になったら帰還する」

「りょうかいです」



 ラインとラピスの制圧に加えてクレタにも出兵したし

北は諸侯に任せておくか。


「伯爵、奴隷の王都への護送を終了しました」

「リリーナ、ご苦労」


「リリーナはクラノス略奪の報酬はもらったか?」

「あれですか、うちの部隊は一人金貨80枚頂きました」


 奪った財宝をペコ商会に一括で買い上げさせて、その分を分配

させたが、上手く兵士に渡ったようだな

また適当に売り払って、市場が暴落してはたまらないからな。



 

「バルバラ、商品はどの程度卸せばいいんだ?」

「こちらの書類の商品を星金貨8万枚分お願いします。こちらが代金です」


「躍進が凄まじいな?」

「ユミルにも出店しないといけませんし、キグナスとコロナとラインへの

出店も準備中ですので、各都市で人員募集をしていますが

なかなか追いつきません」


「ラピス支店はどうだ?」

「ラピス支店ですか、利益は年に星金貨千枚程度と、いまいちですね」

       

 他の支店の利益を聞くのが怖いぜ、原価8万枚分がいくらになるのか?

 

 売れ筋が固定してきたのか、品目が少なかったが6時間かかっったか?


  

 さて動画でも鑑賞するか?

 バッテリーが切れてるか、発電機はうるさいからいまいちなんだよな

家も広いし、本格的は発電システムを探してみるか?



 やはり化石燃料以外だと、太陽発電か水力か。

 ソーラーパネルとケーブルに家庭用蓄電池は500w仕様でいいか?


 電力が確保できるなら、無線機も入れるか、HF出力アンテナは

7~50Mh対応にして、固定機は25Wタイプにして

携帯にはでミッドランドの電池併用式タイプだな、アメリカの輸入品だが電波

法なんてないから問題なし。


       

「兄様、屋根の上に並べてある板はなんですか?」

「魔力を貯める魔道具みたいな物だ」


 教えれば職人連中なら、設置できそうだな。


 問題は俺が無線等を直接渡せないという事だな、ペコ商会を使うしか無いが

他国に売られると困るし、どうするか?



 さて、クレタがなくなったとなると、東の守りが無くなる事になる

ユミルをどう扱うか?


「閣下、報告が来ております」

「面倒な案件かな?」


「はい、クレタの代わりにヘルメスの南東、馬で4日の場所に新しく街を

作るので領地持ちの諸侯へ献金の要請です」

 そういうのは要請じゃなくて命令というのだが。


「クレタは再利用できないのか?」

「あの広域魔法の影響は強く、クレタの周辺は10年は何も育たないそうで

す」

   

「金額はどのくらいかな?」

「伯爵が星金貨5百枚、子爵が百枚、男爵が50枚です

支払えない場合は住民に労役を課すように要請がありました」

 

 侯爵以上がいないから、仕方ないか、去年の納税分くらいだな?

 ヘルメスから4日ならダリルさんへのご褒美だな、ヘルメスを増設して

くれると安く済むんだが、何か事情があるんだろう? 


 

「わかった。支払って構わない」

 

「それと北のモンフォール侯の部隊もクレタの一件を知って、動揺が走り

王国軍の勝利が見えました。キグナス周辺も安定したので

サイモン伯はライラ伯と一緒にラピス経由でラインに向かうそうです」


「そうか、ハイムに兵をつけてラピスとラインで一時預かった財宝を

ラピスへ輸送して返却させてくれ」

 サイモン伯には返す義理はないが、横暴なやつだったら

ガードナーのバカの二の舞にしてやるか? 


「ではクジロンで行かせますね」

 

「それと言いにくいのですが、ロディとユリアンの部隊の一部から不満が

出ています」

「どんな内容だ?」


「エトワールの家族と一緒に暮らしたいと」

 そうか、3千8百は元々はエトワールで募集した兵士だったな

現在の兵力は全軍で3万。


「ユミルも加わった事だし、兵士の募集と兵の編成を変えよう

募集と面接は明日から、編成は2週間後に行うと、連隊長に通達してくれ」


「わかりました」



   

 さて今日の夕食は満腹亭で食べるか?

「アニタスペシャルを頼むよ」

「カズマお兄ちゃん、いらっしゃい」


 混んでて何よりだが

兵士が多いがあいつらは貯蓄という言葉は知らないのか?

 

「お待たせしました、2番定食のカジキマグロの刺身定食です」

「ありがとう」

 カジキは冬が旬だからな、満腹亭も刺身を出すようになったか

キムの作った醤油は、住民にもかなり浸透しているようだな。


 おいしかったな、これで銀貨1枚とは安めの設定だな。

「アニタちゃん、何か困ったことはあるかい?」


「ん……、冬だからお野菜がほとんど仕入れられない事かな?」


 今までは育てればその分、税も多くなったから

農家は時期をずらして野菜を育てるとかしないよな。


 冬でも氷点下にはならないし、試しに野菜の植え付け時期をずらして

栽培させてみるか?     

      



 俺たち7人とバルバラにハンナを加え延期になっていた

王都の奴隷市に来ている、案内役は王都にいるヴァールハイトだ。


「ヴァールハイト、奴隷市の規模はどの程度だ?」

「5日前にコロナの戦闘も終わり、全部で11万といった所かと」

 10万を超えるか、これは戦争中に捕縛された兵士と住民が

加わったようだな。

  

 高い奴隷は金貨8百枚以上の奴隷もいるのか、平均は金貨80枚程度か。


「どの程度の奴隷まで買っていいのだ?」

「フランは金を持っているだろう? 買った分を後で払ってやるぞ」

「そうだな、みんなには金貨500枚渡すから、見てくるといい?」

「行ってきます」

「ミラ、使わなかった分はちゃんと返せよ!」



 鑑定を使って見ているが、こう多いと効率が悪いな

先に奴隷商のおすすめから見てみるか?


「いい奴隷はいるか?」

「これは伯爵様、お手頃の奴隷が揃っておりますよ」


 レベルは高いのが揃っているが、スキルが今ひとつだし、殺気が

凄まじい、これは買っても苦労するだろう。


 

 4件ほど回ったが、どこも似たり寄ったりだな、次はバド商会か

キシリアに潰されかけただけあって、資金に余裕がないのか

安い奴隷も扱っているな。


 上が金貨200枚で下は金貨5枚以下か

安いが質はいいな。


 

 ハーフエルフで魔法スキルレベル9だと!

 

「主人、隅にいる片足の無い女性と話をさせてもらえるか?」

「あの2人ですか、まとめて金貨100枚でお譲りしますよ」


 こいつ本当に商人か、足以外に欠陥でもあるのか?


 エルフを見るのは初めてだが、顔も悪くないし

年齢は26才と24才だが、見た目はヒルダとさほど変わらんな。     

 

  

「どうして奴隷になったんだ?」

「……元は冒険者でしたが、コロナでモンフォール侯の部隊に

配属されたので」

 王国軍も苦戦するはずだ、こんなのがいたんじゃ。


「何故、魔法スキルが高いのに、こんな隅に置かれている?」

 

「そんな……」

 スキルに偽装とあるな、奴隷商も深く追求しなかったようだな。

「俺には他人のスキルが見える。忠誠を誓うなら

好条件で雇ってもいいぞ」


「……ルナと一緒なら」

「ルナはどうだ?」

   

「……姉様と一緒なら」

 姓が違うが、追求しても仕方ないし。


「わかった。しっかり働いてもらうぞ」


  

「主人、この2人を買うぞ」

「お買い上げありがとうございます、夜の相手程度は務まるでしょう」


 そういう目的に思われたか、足首から下が無いし

幼女趣味と思われるのは心外だが、いいだろう。

 

「サラ、ルナに肩をかしてやってくれ、歩けないだろう」

「はい」



 奴隷契約を済ませて、貴族用の別室まできたが

6人はまだ見てるのか?


「ジョゼ、千切れた方の足を伸ばせ」


「【生物生成】」

 さすがレベル8の『ペコの魔法』だ、サラを治した時は30回ほど

かかったが一回で済んだか。


「姉様、凄い!」


「ルナも足を出せ」


「【生物生成】」 

             

 2人とも涙を流して喜んでもらって、治した甲斐があったというもんだ。


 2時間経ってやっと戻ってきたか。

「みんなどうだった?」

「ペコ商会で、一人70枚の奴隷を500枚で12人売ってくれると言って

たので買ってきちゃいました。ミラは買い物上手です」


「旦那様、知り合いの少女が売られていたので

金貨150枚で2人買ってしまいました」


「私は良いのが居なかったので買わなかった」

 

「われは、カズマ好みの女性を1人だ、負けさせて金貨300枚だな」

 

 シャルとヒルダとフランは買わないで、ミラ、ハンナ、カナデは

買ってきたか、ミラに金を渡したらダメだとはっきりしたな。

  

「みんな、言いたい事はあるが、良いだろう」

 

「(カナデ、お前ステータスも見れるのか?)」

「当たり前であろう。人の善悪すら見えるわ」

 

 クラリスという女性は、20才の銀色の髪で身長は180位の

冷たい感じだがレベルは65で魔法スキル8の武器も剣スキル7だ

種族が狼族らしいが、掘り出し物だな。


 普通なら星金貨15枚以上はするだろう

値切りスキルでもあるのだろうか?


 


 明後日まで奴隷市だが、掘り出し物が手に入ったし

帰るとするか。


「奴隷諸君。今から君たちを解放するが、条件がある

エトワールで働いて、毎月の給金の半分を収める事。この条件が飲めるか?」


「……もちろん、その条件でお願いします」

「「「お願いします」」」


「クラリスは最高の金貨300枚の借金になる、、指揮官試験があるので  

受けてみたらどうだ?」


「受けさせて頂きます」

 しゃべっている内容は同じだが、冷たい受け答えがなんかいい。


 俺にこんな趣味があったとは?

 

 内乱も一段落ついたし、ユミルの扱いだな。

 


351億1千万と金貨80枚


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