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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第四章
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第六十五話:クラノス襲撃


 負けるとわかっているのに戦う、新侯爵ラブの人々のとの

戦いが終わってから5日、リリーナ達も奴隷を連れてラピス入りしている

今ではラピスは完全に俺たちの制圧下だ。

 


「うちの船が見えますね?」

「あれが敵の船だったら、侯爵の人望を褒め称えるよ」


「カズマ君、来ちゃったよ」

「クララさん、良くおいで下さいました」

「この船は?」


「ハイムさんが事前に用意した船が40隻に、マグロン18隻

クジロン6隻だよ。もう港の船を全部持ってきちゃったよ」


 ラピスには中型船30,大型船が20しか残っていなかった。

  

 ありがたい、快適な舟旅をするには、それぞれ150人、200人

700人だが、奴隷には贅沢だ、アレクとマリアもすでに帰したので

俺たち1万2千、合流したライン組6千でラインの奴隷は大幅に増えて

8620人でラピスの奴隷が3万8千4百人の奴隷4万7千20人だ。


「奴隷はまとめて……」

 

「伯爵、ラインの奴隷は別にして頂けないでしょうか?」

「リリーナ、どういうことだ?」

「ここまで来る間に話し合いました。ガードナー伯に脅されていた住民達で

優秀な魔法師とその家族ですし、伯爵の力にもなれると思います」


 美人のお願いには弱いんだよな、侯爵ラブとは違うし

リリーナに恩を売っておくか。


「つまりリリーナが、住民の行動を保証すると言うことでいいんだな?」

「そのように受け取って頂いて結構です」


 

「リリーナを信じよう。ラインの奴隷はリリーナの好きにして構わない」

「ありがとうございます……」

 泣くなよ、こんな事で

俺の好感度はアップしたかな?


 

「リリーナとタチアナの部隊とライン組みはうちの船に乗船

先にエトワールへ戻れ」

 

「いいんですか? 私たちが使ってしまって」

「問題ない、戻って元住民のサポートをしてやってくれ、ラウス隊は預かる

ぞ」

 

問題は3万8千のバカな奴隷だな


「クララさん、マグロンとクジロンが戻ってくるのに、どの位かかります

か?」

「そうね、お客さんが騒がないなら、3日で戻ってこれるわね」

 これは全面的に船は入れ替えだな。


「シャル、体力の無さそうな奴隷はどの程度だ?」

「女性と老人に子供を入れて、8千人くらいかと」

 子供もいるのかよ。


「シャルの部隊とその8千人はラピスの船で帰還だ」

 残りはどうするか? 船を待つとしても乗り切れんな。

 

「残りは陸路エトワールへ帰還。ユリアンが指揮官だ、脱落者には容赦するな

よ」

「はい」

 2人には奴隷を連れての陸路だが、訓練代わりにはちょうどいいだろう。



「フランとミラは俺と一緒にラウス隊を引き連れて帰還だ」

「はい」

「はいよ」



☆☆


「お兄ちゃん、起きて下さい」

 眠いしうるさいぞ、鳥どもが。

 エトワールへ帰還してすでに10日経つが、ダチョウは鳴かないはずだが。

       

「ドーラ、アオイファミリーは毎日ああなのか?」

「お兄ちゃんが戻る3日前に32羽生まれたんです

男の子が緑の5羽であとは女の子でみんなピンクです

お爺ちゃんは毎朝大忙しです」

   


         

 兵の疲れも取れたが、ロディたちはまだ輸送中だし動けんな。

「フレイヤ、北の戦況は?」


「コロナの街で諸侯とモンフォール侯爵率いる6万と、カナンとアルトから

向かった討伐軍12万の激戦が未だに続いています」


「キグナス周辺は敵は多いですが、所詮は敗残兵でしたね。初戦で負けて

今では討伐軍12万に各個撃破されています」


 激戦か俺も海であらかた葬ったから良かったが、陸戦だったら激戦だった

な。


       

「コロナはどんな街なんだ?」


「カナンの北の山に囲まれた中規模の都市で上位ダンジョンが2つ

中位ダンジョンが2つと、下位ダンジョン1つがある冒険者が多く

人口35万の内の1割以上が冒険者です」


 山道だと大軍は動きにくい上に、冒険者が多いとときたか

手こずるはずだ、俺たちも行きたいんだがな?


「どうなったクレタは?」

 

「カナンと王都からシュトラウス隊2万、更に王都から騎馬隊2万が先発

歩兵8万は進軍中で、報告では東門だけは開いたままで

王国軍の立ち入りを住民も含めて拒否しているようです」

 アラン伯が裏切るとは、思わなかったが?


「敵の兵数はクレタの3万とトーラスの11万を合わせて14万の模様です」

  

「トーラスはそんなに兵を出して、王都は平気なのか?」

「それは不明ですが、他国の援助があるのかも知れません」


       

      

さて俺の感はどうかな?

「フラン、ちょっと出かけるぞ」

「その言い方は、また盗賊か?」

「目的は調査だ、たまには他の街も悪くないぞ」


       


 テテは相変わらず速い、クレタは本当に占領されていたな。

「カズマ、ここのキノコ料理はなかなかいけるな?」

「俺は椎茸は苦手だから、家では出ないぞ」

 燃費が悪いと言ってたが、よく食うな、本体じゃないから太っても問題ない

というのは女性としては理想的なスキルかもな。


 衛兵を30人程みかけただけで、兵は街にはほとんど居ない

これは俺の感が当たって、王都を空けて進軍したか?


「兵士のお兄ちゃん。わたしは兄と今朝帰ってきたのですが兵士さんが

少ないです、逃げた方がいいですか?」


「お嬢ちゃん、今は兵が少ないが3日後には南のスピカ王国から援軍が

来るから心配は要らないよ」

     

 幼いローラは役に立つな、警戒心がまったくないぞ

居ないときたか、油断の多い王様だ、スピカっていうのは同盟国か?



 さあ至福の時間の始まりだ、使う予定はないが金庫を漁るのは

凄く楽しい、女性の買い物好きと同じ感覚かも知れないな。


「フラン、敵に気付かれないようにな」

「わかったわ」


「兵隊さん、差し入れを持っていくように言われました」

「サンドイッチか!」

「俺ももらうぞ」

「ハムとトマトか? おれは卵が好きなんだがな」

「贅沢は言うなよ。出兵してる兵士に比べれば、お気楽なもんだ」

     

     

眠ったようだな、薬漬けのトマトはお気に召して頂けたようだ。

 お宝もベリアス、キシリア商会、トレミーの分が残っているが

ここは公国には落ちるが、中々あるな。


 音を立てないように気を使ったのて80分ほどかかったが大収穫と

言えるだろう。

     

「戻るぞ」

「宿に泊まらんのか?」

「家でゆっくり休め」


   


 戻ってきたが、朝の4時半か?

「フラン、家で寝てていいぞ。出かけてくる」

「忙しいやつだの」

「家のやつをたたき起こして、城へ集まるように伝えてくれ」

    

 女性の部屋に朝から押しかける訳にはいかんとなると。


「アレク、居るんだろう起きろ!」


「伯爵、ずいぶん早いですね」

「ロキか、起きてたのか? アレクは寝てるな?」

 

「昨夜、ロディたちが帰ってきて、私は奴隷の処理の仕事をしておりました」

「朝までご苦労だな。眠る前に6時半に門に兵を集合させてくれ

新生ラウス隊と疲労の残っていない全兵士に命令を伝達だ」


「急な出兵ですね?」

「聞いて驚け、明後日までは王都クラノスには兵が居ない」

「それは好機ですね」

 

「所でスピカ王国が、トーラスを援助するらしいが知ってるか?」

「トーラスの南の王国ですね、山と森が領土の8割以上を占める内陸国で

国力はトーラスと同程度で林業と農業主体の国ですね」

       

 日本より山深いのか、航空機無しで攻め込むのは大変そうだ。

「では頼んだ」

「そういう理由なら、緊急用の鐘を鳴らして召集をかけましょう」

「そんなのあるのか?」

「以前にハイムと考えました、兵士は1時間以内に南門に集合します」

 ロキとハイムは戦前の日本程度でもやっていけそうだな。


「では頼む」


 俺は厩舎へ行って、シュトラウスを集めるか?


 テンポの遅い鐘が鳴ってるな、これは市民も起きるな

スピーカーで音楽を流せればいいんだが、今度兵舎だけ試してみるか?



 ぞろぞろ集まってきたか、みんな兵士だな

家族らしき人も2千程あつまっているか? 鐘で呼び出すというのは

初めてだから、心配なのかも知れないな。


「リン、早いな」

「伯爵、緊急召集とは穏やかではありませね」

「ここがピンチという訳ではないし、危険もほとんどない」

「新生ラウス隊は何羽ぐらい用意できる?」

「そうですね、2万5千程度でしょうか?」

         

「新生ラウス隊、8個連隊でクラノスへ進撃するぞ」

「我々だけですか?」

「クラノスは今は兵が2千もいない。明後日には退却するから、心配するな」


「短期決戦ですか?」

「ではリリーナの連隊を残して行きます、3日なら荷物も少なく

済みますし、防具も軽装にしましょう」    

        

「今回は隠密行動が要求される、敵はもちろん王国にも気付かれないように

進軍してくれ、北門を俺が開けるからそこから突入してくれ」    

「わかりました」

ご褒美ミッションなんだが、兵は朝早く呼び出されて納得するかな?

 


  

「今回の軍事行動は3日間の電撃作戦だ、エルミールの兵と判断できる装備の

全てを禁止する、旗もなしだ、装備を預けて30分後に再び集合だ」

 


「しかし!」

「大きい袋を2万5千用意した。理解しろ、そして行動しろ!」

  


「伯爵、目的地はクレタですか?」

「目的地は残念ながら言えない、不服の者はユミル防衛の部隊へ

編入してもらって構わないぞ」



「私から。エトワール防衛はリリーナの連隊に任せます、船で奴隷の護送を

行って下さい、残りはユミル防衛でコルトの指揮下に入って下さい」



「伯爵、30分経ちました」

「よし、存分にいけ。ルールは公都と同様だ」

 

   

「8個連隊出撃!」

「「「オー」」」

 


 俺も自分の役目を果たさないな。

         

☆☆


  

 来ないな、もう2時か、直線距離だと3百キロ程度なんだが?


 ダチョウの群れが来たか、俺も始めるか?


 門を開けるのって初めてかも知れないな、閉めた事もないが

ここの水車のような歯車をまわせばいいのか?


 重いぞ、兵士はこんなもんを毎日、開け閉めしてるのか?

「貴様、勝手に何してる?」

「援軍が来ると報告があったので、開門している所であります」

「そんな報告あったか?」


「先ほど確認したばかりです」

「ちょっと待ってろ、確認してくる」

 運のいい隊長さんだ、自分だけ生き残るとは。


「おまえ、隊長が待っていろと言っただろう」


「死ね【ミストラルバーン】」


 やっと開いたか、門番の給金を増やしてやらんとな。


 風は南風だしちょうどいい。

「門が開いたぞ」

「スピカ王国の援軍が来たのか」

 

「死ね【ミストラルバーン】」

    

「市民諸君に告ぐ。最初で最後の警告だ。我々トレミー帝国兵10万がこれか

北門より突入する、死にたくない者は東門へ逃げろ」

 

「ふざけるな」

「そうだ、明後日にはスピカ王国の援軍が来るんだぞ」

「相手は1人だ、やっちまえ!」


 攻め込まれた事がないのか?

「最後に警告する。自分の意思で逃げるか戦うか決めろ」


            

 刀で応戦するか、死体が突撃部隊の邪魔になるからな

市民も襲ってくるとは、血の気の多いヤツは困ったもんだ、待っているのは

恐怖と絶望だ、しばらく適当に相手をしてやるか?



「我らはトレミー帝国部隊だ。去年のエルミール攻めに参加しなかった

貴様らを粛正に来たぞ」


「全軍、抵抗する者は殺せ」

「略奪だ、そして火をかけろ」

乗ってるな、うちのやつらは、打ち合わせは十分のようだな。



「帝国兵だぞ」

「逃げろ」

 

「東門だ」


 俺の技は噂で広まっているから、今回は見物に徹するか?



 どれだけ信頼してるか知らんが、他国に首都を任せるとは愚かな王だ

抵抗は30分で終わったか、アレクとマリアが5時には南へ向かって

リンとタチアナは西へむかったようだな、ニケとシャルは東か。


「ロディ、ユリアン、何やってるんだ、部下のご褒美タイムだぞ!」

「伯爵、本当にいいんですか?」


「私はイダテンだ、伯爵などではない」

「みんながいい酒を飲んでる横でエールとか飲まされたら

部下が反乱を起こすぞ」


「しかし……」

「指揮官はお前だ。自分の信念で行動して構わないぞ。 頑張れよ」


          

 朝の6時か、みんな起こされてから24時間経っているが士気が落ちないな

てっきり北の略奪を行って火をかけて、次にいくと思ったが

こいつら味方の部隊を無視して、略奪したらすぐに火をつけるとは。

      

 明日の朝日と共に撤退しようと思っていたが……。


     

「イダテン様、略奪と住民への恐怖の刷り込み作業終了です」

「我らも、街の9割以上は燃やし尽くしました」

 

 朝の10時半か、2日で終わるとはな。

「良し、帝国へ帰還だ!」

「エイ、エイ、オー」

 

「「「エイ、エイ、オー」」」 

             

      

☆☆


 みんなより1日多く起きてたからな、寝るとするか。


 

 侯爵の夢を見るなんて、なんて夢見が悪いんだ。

 そういえば、異様に苦しんでいたな。


「お兄ちゃん、おはようございます。今日は早いですね?」

 5時だと、変な夢で目が覚めてしまったか。


「ドーラはいつもこんなに早いのか?」

「アカネちゃん達の餌やりがありますから」

 労働基準法がないとはいえ、雇用者として時間外労働はまずいな。

  

「人手が足りないなら、新たに人を雇おうか?」

「十分、足りてますよ。大丈夫です」


 人手は欲しいけど、家族だけでやりたいと言った所か

王都からの移民だしな、若い男は雇えないし。


「カナデ、聞きたいことがあるんだが?」

「なんだ?」


「例の刀で人を斬ったら、凄く苦しんだんだが?」

 

「説明してなかったな、あれは肉体はもちろん。精神も斬るのじゃ」

「一度切断された肉体は元に戻るが、精神はわらわのような存在以外

では元に戻せないな」

 

「この刀で精神が斬られるとどうなるんだ?」

「人の場合だと、自らの過去の行い次第だが、過去の恐怖や苦しみを

数十倍にして、自らの心を侵食していくのじゃ」


 侵食か、つまり真の善人はそれほど苦しまないという事か。


「そうじゃ、それと対の刀があったはず

そなたに授けよう。斬った相手に使えば元に戻るぞ」 


「助かるぜ」

 小太刀かちょうどいいな。



 お仕事に行くか、俺たちの行動が吉と出るか

はたまた凶と出るか。

      


352億3千万と金貨20枚


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