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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第三章
60/81

第五十八話:公都は燃えているか


 何事も経験です、失敗は成功のもと

と言いますが、失敗を他人の視点で見れればいいのですが

客観的に考察するのは厳しいです。



 王都は推定300万人とも言われる大都市で、人の往来が激しい街だ

内乱の影響はすでに無く、かなり安定している。


「しかし、王都は毎回人が多いな」

「そうですね。国王即位1年と公国の姫との結婚式ですからね」


「ここは良い宿だな」

「ロキが経営してるようですよ」

「シャルも何か初めたほうがいいんじゃないか?」

 

「お姉ちゃん、治療院は?」

「そうだな。それなら月に金貨40枚は儲かるだろう」


「いいんですか、仕事に支障が出るのでは」


「仕事と言っても兵は1日に実質4時間程度しか働かないし

4割は副業をしてるぞ」


「気楽に考えてくれ。始める時は援助するから」


「兄様は城のパーティには行かないんですか?」

「俺は貴族の生まれじゃないからな。行っても意味はないな」


サラ達はパーティに毎日参加しているらしい

誘われれば断らないというのは、どうかと思うが。



「それよりも奴隷市だな。明後日からだろう」

「今年は特に王国北部は、税を払えなかった者が多いようです」


 掘り出し物に期待するか。

 


 兵士が少ないな、こんな物なのかな?

 でかい神殿だな、貴族が6割、商人が1割

招待客が3割と言った所か。

 

「ご主人、やっと来たんですか」

「貴族の道楽に付き合っても仕方ないからな。本命は今日だしな」


「お姉ちゃんが大変なんですよ」

「婚約話か。それは大変だな」


「カズマさん、そろそろ始まりますよ」


 新婦が父親と一緒に歩くというのは流石にないんだな

王様は国外にそうそう出れないか?

 

 

「これより、アルベルト・アーサー・エルミールと

カリーナ・グレース・エランの婚姻の儀を執り行う」


 グレースって言うのか、そうするとグレース王妃になるのか?

 

「アルベルト・アーサー・エルミールよ、汝、豊穣神に願いここに婚姻

の契約を結ぶ事を誓うか?」


「はい、誓います」


「カリーナ・グレース・エランよ、汝、豊穣神に願い、アルベルト・アーサー

エルミールを一生愛する事を誓うか?」


 男は契約で女性は一生の愛か、流石に一夫多妻制だな。

 

「はい」『異議あり!』


 どこの馬鹿だ。

 

『カリーナ姫、我らトレミー帝国親衛隊がお迎えに参りました』


「帝国だ」

「帝国兵よ」

「みんな落ち着け」


『帝国の犬か、この者らを捕らえろ』


『我らは、すでにエラン大公の許可は得ている、姫に無理強いする愚か者め』


 こちらの警備は少ないと言っても2千は居る、相手は百人程度で勝てるのか?

 

 嫌、勝てるカードを持っているのか?

 

 帝国兵のレベルは40前後か、親衛隊を名乗るだけはあるが

勝てる要素は陛下の暗殺か反乱位か、陛下の周りはレベルが低いな。


 司祭の所属がオリオンだと。

 

「【(加速、30倍、1分)】」

 司祭が陛下に突き刺そうとしていた短剣を小太刀で払えた


「これはオリオンでお目にかかった司祭様ではありませんか?」

「他国とはいえ、神官が神殿で暗殺とは狂気の沙汰ですね」


「貴様、皇帝の意思を踏みにじるか?」


「カズマか。その者は帝国の暗殺者か?」

「はい、帝国での奴隷買い付けの際に見かけた事があります」


 初めて見たけど大丈夫かな?


「ダリル、神官共をみな捕まえろ」

「かしこまりました」


「式は取りやめだ。城へ戻るぞ」



 陛下はだいぶご立腹だな。

 

 敵は半分位は逃げたか、優秀だな、仕方ない動くか。

「サラ、宿に白鴎が居るだろうから、この紙をエトワールへ

送ってくれ」

    

「ご主人、この紙Cと書いてあるだけですよ」

「いいんだよ、それでわかるから」


「ご主人さま。わたしはカリーナ様と話をしたいのですが」

「仕方ない、ではミラが手紙を届けてくれ」

「はーい」



「言っておくが、挨拶だけにしておいてくれ」

「側で勇気つけて上げたいのですが」


「ダメだ。カリーナ様は公国へお戻りになるだろう?」

「カズマさん、何故ですか?」

「あの兵士共の言ってた事は、半分以上は本当の事だからだ」


 みんなは内戦で一時期は一緒に戦っていたから思い入れがあるとして

ロキの予想通りだと、最新の情報を仕入れないとな。


 

 城の中は混乱してるな、式の最中に国王暗殺計画だからな。

「ダテ子爵という、アルト子爵は忙しいだろうが、待っているので

取り次いでくれないか?」


「かしこまりました。お取次致します」

 1時間以上は待つかな。

 

  

「カズマさん久しいですな。お待たせして申し訳ない」

 6時間待たされたか、重要ポストにいるからな。

 

「いえ、それで公国への対応は決まりましたか?」

「帝国へのとは聞かれないのですね」

  

「聞いても仕方ありませんからね」

「話が早くて結構、簡単に説明しましょう」


「すでにカリーナ様は公国へ向かう馬車の上です。カナンの兵4万はすでに

公国へ進軍。アルトに駐留している兵8万の内4万も明日には進軍します」


「王都からは明日、12万を編成をして明後日に進軍予定です」

 

「ヘルメス方面はどうなりました?」


「トーラスが軍を西へ動かしたと報告があったので4万は防衛で

トーラスの鉱山地区に居る6万は公国へ進軍します」


 26万か、あとちょっとだな。

 

「そうですか。ヘルメスに防衛に当たっている内の2万も進軍させて

もらえませんか?」


「トーラスも本気のようですが」


「我らの部隊2万はは今夜にはヘルメスに着きます、トーラス軍を

王都へ再び押し込めて見せましょう」


「素早いですな、ではすぐに白鴎を送って連絡しておきましょう」


「カズマさんの部隊へトーラスで暴れた後は、自由に行動して頂いて

結構です。陛下には伝えておきます」


「ありがとうございます、では失礼します」


「ご武運を」



 さて30万か、本気の本気だな、守っていては3国から攻め込まれるからな。

 サラ達はどうしているやら。

「みんな、戻ったぞ」

「カズマさん、やはりカリーナ様は公国へお戻りになりました」


「みんなはカリーナ様と面識があるから、悔しい思いもあるだろうが

王国の公国への侵攻が決まった」


「そんな、同盟国ですよ」

「破ったのは、相手の方だ」


「それではカリーナ様はどうなるのですか?」

「一番いいのは、帝国兵に誘拐される事だな」

「ご主人、酷いです」


 事態を理解してないのか、式が中止で暗殺未遂だ

既に参列者から周辺各国へは連絡済みだろう。

 

「何言ってるんだ。帝国兵はきっと守ってくれるぞ」

「普通は王国兵か公国の兵士じゃないんですか?」


「公国の下っ端に捕まったら。最悪その場で殺されるぞ」


「姫様が殺されるなんて」


「とにかくもうすぐ5時だ、みんなが選べるのは、今すぐヘルメスへ行くか

ゆっくりとこの戦争を外から眺めるかだ」

   

「眺めてるだけなんて嫌です」

「では行くぞ。運がよければ姫を助ける機会もあるかも知れない」



 テテでヘルメス近郊まで30分だ。

「ではここからはシュトラウスで行ってくれ」

「ご主人さまはどうされるんですか?」

「面倒な作業をしてから、みんなと合流する」


「えーと、みーちゃんにさーちゃんだったか、残り2羽は」

「兄様、黒のしーちゃんと、白のひーちゃんをお願いします」


 よくわからんが、白と黒だな。

「では明日の朝8時に軍議を開くと、リンたちに言っておいてくれ」




 まずは王都クラノスだな、兵は2万程度か、そんなに居ないな

リンの勘違いか?


 ナキにもいなくて、クレタ方面も軍はいないか。、

 残るはヘルメス方面だけか、ちょっと冷えるな

そろそろ冬か、去年はエトワール解放なんてやってたが、ここに居たか。


 ヘルメスまで70キロか、凄い進軍スピードだな

10日前にはもう王都を出ていたのか、これでトーラスも今回の劇には

初めから参加していた事になるな。

     

 総勢は8万~12万と言った所か、暗くてよく見えないな。

 

 トーラスにそんなに恨みは無いが、上がった幕は誰かが降ろさないと

主演はアルベルト陛下だが、俺も黒衣として役割を果たすか?

   

「テテ、ハイビーム砲だ」

「眠ったまま、あの世へ行けるだけ感謝してもらおう。発射」


 

 暗くてよく見えなかったが、逃げたのは5千位か

爆音がなければ、みんな眠ったまま天に登れたのに。


 もう4時か、少し寝てから向かうか。

 

 


「みんな集まっているな」

「子爵、もう9時前ですよ」

「すまんな。色々手間どってな」


「リン、軍議を初めてくれ」

「はい」


「現在、公国へは西からはアルトより4万、南側からは6万が進軍中

カナンの4万と我々とヘルメスの部隊2万の合わせて4万が南西から進軍

明日には王都から増援の12万が進軍予定です」


「王都の部隊6万が北のアルト付近まで来たら、アルトの4万も進軍します

6万をアルトに残し、帝国への牽制として残り6万は我々の開いた道を

進軍して公国へ入ります」


「公国は10万程度の兵を動員中との事です」


「リン、帝国がノースフォールへ10万以上進軍してきたらどうする?」


「ニケ、公国から帝都オリオンはすぐです、帝国が北から山を迂回して

アルト方面を目指すなら、その隙にオリオンを我ら20万以上で落とします」


「トーラスが全軍で攻めてきた場合は?」


「マリア、その場合はアラン伯の4万とヘルメスの4万で対処します」


「そんな所だな、今回は速攻で決めなければならない

一気に公国を落とすぞ。公都以外はそれ程大きい街は無い」


「子爵。トーラスへの偵察がまだ戻ってきませんが」


「王都まで見てきたが機動兵力は居なかった、存分に公国攻めに専念

してくれ。場合によっては力攻めで公国を切り取るぞ」


「「「はい」」」


「リン、カリーナ様の所在は知っていますか?」

「現在は行方不明ですね」

 


 公国へ入ったが、散発的に戦闘はあるが、街の警備兵と言った感じで

相手にならない。


「敵はやる気があるんですか?」

「マリア、相手も一応は必死のはずです」


「もう公都へ着いちゃいましたね、どうします子爵」

「アレク、公都の市民に一度だけ避難勧告をだしてくれ」


「猶予は?」

「1時間だ」


 アレクの部隊は近づくが、敵の反撃はほとんどない。

 

「公国へ告げる、貴様らは同盟国の国王暗殺を企み、3国共同で王国へ

敵対した、1時間だけ逃げる猶予を与える」

 



 1時間経ったか、もう時計も浸透しているし1時間の意味がわからないと

いう事はないだろう、少し囲んで揺さぶるか。


「報告します、アルト近郊で公国の兵10万がアルトの部隊と交戦中です」

「リン、もたもたしてる暇は無いようだ」

「敵は動きが速いですね」



「全兵士に告ぐ。全責任は私が持つ、女性への強姦行為以外の全てを許可する

奪ったものは自分達で山分けして構わん。存分に暴れろ!」


「「「オー」」」


「突撃開始!」


 士気を高めないとな、住民に殺られかねない。

「リンとニケは1個大隊を連れて、俺についてこい」

「「はい」」


 凄まじく士気の上がったエトワール兵により、僅かな守備兵は皆殺しだ

豪邸を狙っての武装した正規兵による略奪は凄まじい。



 俺たち2個大隊が王宮へついたころには、5個大隊の魔法師による攻撃を

王宮に加えている所だ、敵も王宮の守備に懸命だが

流石に国庫の中身は陛下に渡さないと、俺が危ない。


「全軍、進め」


 俺は混乱した王宮を敵を斬りながら進む、こういう時にフランが居ると楽が

出来るんだが、公国へは思い入れがあるのか、今回は不参加だ。


「【アクアフラッシュ】12連」



 随分倒したな。

 なんとか国庫へ一番乗りできたか、返却予定フォルダーを作って

国庫の中身を放り込む、最近になってやっと気がついたが

視認した状態なら体が触れていれば、あとは入れと念じるだけだ。


 倉庫の中で床の上を転がりながら回収するのは

ちょっと人が見てたら、引いてしまう光景だが

なんとか回収できた。


「子爵、ここは国庫ではないんですか?」

「そうだな、持ち出したあとのようだ」



「もう無いのか」

「折角、王宮を落としたのに」


「女々しいぞ、野郎ども、連隊長が魔法の鞄を持っているから

美術品を根こそぎ奪え!」


 略奪に走った兵の意気込みは凄まじいな。

 

「そうか、行くぞ!」

「マリア隊の手並みをみせてやる」


 

 夜の9時か、そろそろ兵を休ませるか?

 士気が低下すると、一気に疲れが出るからな。

 

「子爵、王族を連れてきました、王子と王女です」

「大公殿は?」

「自害した様子で、亡くなっていました」


「では王子様、殿下になるのか? 指揮官になる訳ですね」

「殿下、こちらの降伏受諾の書類にご記入いただけますか?」


「誰が、そんなものに署名するか!」


「そうですか」

「うああー」

「痛いでしょう、私には理解できませんが、片手を切り落とされては」


「まだご理解頂けないようですね、以前から考えていたのですが、目をくり

抜かれた場合はポーションで治るのでしょうか」


「私の刀は切れ味がいいので、痛みは一瞬ですよ」


「わ、わかった、署名する」


「リン、殿下の署名した書類の内容を確認後、写しを30枚程作成して

原本は王都へ送れ、あとはアルトにも送ってくれ」

 

「はい」

 


 こんな所か、街はかなり荒廃したが、敵兵が強かったと言えばいいし

国庫の中身は返却すればいい。


 残りはアルトへ侵攻した部隊と周辺の街の警備隊が問題か。

     

「子爵、商業ギルドの方がお会いしたいそうです」

「夜中は危険だと教えて差し上げろ。ニケが行くか?」


「わたし、ギルドは苦手なんですよ」


「子爵、私に行かせて下さい」

「アレク、徹底的に対処してくれ」

「はい」



 ここのギルドはかなり貸付けしているようだし

金貨を溜め込んでいるだろう。



 あとは、カナンの軍がくるまで持ちこたえれば任務は一時終了だな。

  

355億2百万


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