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音速異世界爆走記  作者: 風間サトシ
第三章
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第五十四話:王都クラノス攻略戦


 昔、天下を目指した人は、民の安寧の為に天下を目指すと言ったと

聞きますが、普通の人間では天下を手に入れる前に寿命で死ぬのでは?



 シャルを抜いた、俺たち5人は敵の王都クラノスという場所に調査に

来ている、すでにリンが率いる部隊はナキの北20キロに待機済みだ。


「あれっておかしくないですか? どう見ても農民の人達じゃないですか?」

「そうね、農民まで動員したのかしら?」

「カズマ、ざっと見た所、20万は居るように見えるが、われの勘違いか?」


 リンの予想を遥かに超えるな、ナキは1万程度だが、ここ王都は装備が

まともなのが12万以上で、装備すらつけてないのが8万程度いる

更に1万程度が昨日、ヘルメス方面に向かって進軍していた。


「兄様、どうしますか?」

「とりあえず、シャル達と合流しよう」



 うちの軍はリラックスしてるな、ダレてるとも言えるが

戦場に慣れてきたのか?


「リン戻ったぞ」

「敵はどんな感じでした?」


「王都は正規兵と色々合わせて20万程だな」

「昨日、ヘルメスの方へ1万程向かったぞ」


「色々ですか? 臨時徴兵ですかね?」

「敵の武装はどのような感じですか?」


「そうだな、盾を持った兵が1万、まともな武器を持ってるのが10万

魔法兵が2万、農民が8万といった所か」


「我が軍はヘルメスに本隊14万、すでに出た先発隊が2万でアラン伯が2万

我らが2万でほぼ同数ですね」


「攻める方と守る方が同数でいいのか?」


「我らは主要都市だけでも、北のアルトに4万、南のダーナに2万

カナンに2万、王都に7万以上残していますからね」


 陛下は本気なのか、牽制なのか微妙な布陣だな?

 たぶん本気なんだろうが、内乱の影響か王都は凄いな。


「閣下、敵の先発隊の内訳は?」

「シュトラウスの部隊が2千で2つ、騎馬が3千程度で2つかな?」


「シュトラウス部隊が8個大隊ですか?」

「カズマさん、敵のシュトラウスを先に叩きましょう」


「みんなが良いようなら、それで行くか」

「こちらも2万1千の7個連隊を2つに分けます」

「わたしが3個連隊を、アレクが4個連隊で行きましょう」


「総指揮はリンだ、好きにしてくれ」


「私と一緒はニケとタチアナでお願いします」

「「はい」」


「ヒルダはシャルと一緒に行きなさい」

「兄様は?」

「ちょっと、ナキで暴れてから、追いつくよ」


 アラン伯はナキの手前か、先に動くか。

「ご主人、みーちゃんを出して下さい」

「みーちゃんって何だ?」

「わたしのシュトラウスですよ」

「銀色のやつか」

「そうです、お姉ちゃんのが金色のさーちゃんです」


 また変な名前つけたな、正式名になってないだろうな。

「わたしは、どれでも構わんぞ」

「じゃアカネに乗っていけ」

「では行くぞ」


「「「おー」」」


 街は兵士だけか、やりやすいな。

「みんな深追いはするなよ」


「【アクアフラッシュ】12連」

「「【ウインドカッター】」」

「【ダークアロー】」


「弓隊応戦しろー」

 主力は王都方面か。


「フラン斬り込むぞ、2人は援護してくれ」

「「はい」」

「仕方ない、やるかの」


 俺とフランが斬り込むと、敵はあまり強くない、囮の新兵か?

1時間程で敵が完全に崩れた所でアラン伯の兵2万が乱入か。


 いいとこ取りされたが、いいだろう。

「みんな引き上げるぞ」

  

「何かあまり強くなかったですね」

「あれで正規兵です?」

「ナキを奪った兵は、今頃どこかへ進軍中ではないのか?」

「とりあえず、20キロ程度離れたら、一度休みだな」



「ほんとに、みーちゃんも夜は動かないんですね」

「アカネもそうだが、親子揃って、夜はだめだな」


 まだ敵と接触はしてないはずだが、ナキの部隊はどこに居るかな?

    


「どこで道を間違えたのだ?」

「とにかく、今は戦え」

「「【ウインドカッター】」」

「【ウインドストーム】」


「仕方ない【ダークアロー】」

「敵の騎馬はなかなかやるの?」

「馬の性能は良いが、兵の士気は低いようだな」


 俺たちはラウス隊を追ってるつもりが敵の騎馬隊と遭遇戦になって

しまい、現在乱戦中だ。


 結構粘ったな、あの士気レベルで。

「遭遇戦と言うのは、困ったものだな」

「相手も戸惑っていたがな」

「「疲れました」」



 こっちの方か、150キロ以上離れていたか?

「リン、どうだ?」

「昨日、シュトラウスの部隊と遭遇して、打ち破りました」

「あとは騎馬隊ですね」

「一つは俺たちで潰した」

  

「アレクの部隊とは7日後に王都の東で合流予定です」

「では進もう」


 その日は日が暮れて野営になり、翌日からは雨だ

体力を消耗しても仕方ないので、偵察だけ放って、テントを張って休憩。


 更に翌日の昼過ぎに偵察部隊が敵を発見したので、これを攻撃

敵は騎馬部隊だが、ラウス隊の機動力には手が出ず、ほぼ一方的に遠距離から

魔法攻撃だ。


「敵の馬の足が落ちたわね、囲んで攻撃せよ」

「ニケは左、タチアナは右へ回れ」

「「はい」」


 馬での長期戦は無理のようで、速度が遠目で見ても落ちてるな。

 敵は4千程度で、こちらは9千で速いときている、敵の殲滅は狙わず

西方面へわざと逃げ道を空ける。


「いいのか、逃して?」

「西から先発隊が進撃してるので、手柄を分けてあげないと」

 取りすぎるのは良くないよな。

 

 それから散発的に、騎兵と6回遭遇戦になったが、敵は数が少ないので

長期戦に持っていき、疲れた所を囲んで殲滅という戦術で叩き

なんとか王都の東に到着だ。


「アレクの部隊はどうでした?」


「別れた日にシュトラウスの部隊と戦った後は、騎馬部隊と8回、歩兵と4回

戦闘になったが、敵はだいたい、うちで言う1個大隊程度で行動してるので

問題なく撃破したよ」

 

「敵は少数では、各個撃破されるのが解らないのでしょうか?」

「トーラスは元々騎馬民族です、大軍での行動に慣れていないのでしょう」


「子爵、シュトラウスの餌はありますが、我々の食料が残り3日程度ですが」

「みんな鍋は持参してるか?」

「はい、言いつけどおり、2人に1個程度を持たせていますが」

「敵が来ないようなら、ここで野営しよう、今日はパスタにするか?」

「2万人分もあるのですか?」


「サラとミラが配るから、受け取ってくれ、パスタは1人500グラムで

ソースの入った袋と一緒に渡すから、3分程度、温めれば食べられる」


「みんな、ここで野営する、補給部隊からパスタを受け取り

各班で調理してくれ、最初の見張りはニケの部隊に任せる」

「はい」



「お、これはペコ商会で売り出してるパスタだな」

「銀貨3枚のやつだぜ」

「俺はたらこ風味ってのが好きだな」

「俺はトマト味のが好みだ」

 

 野菜や肉類も食わせると、一日に星金貨3枚から4枚か?

 

「サラ、軍の食事の費用は出るのか?」

「どの程度ですか?」

「そうだな、安く仕入れているから、1日に星金貨4枚程でいい」

「その位なら、私の権限で出せますよ」

「では、菓子類も出しておくから、明日みんなに配ってくれ」

「かしこまりました」


「カズマは領主の割には細かいの?」

「ご主人はお金の事を適当に扱うと、暴走しちゃいますから」

「怖いの!」


 翌日、朝食を済ませて、各自に菓子とメロンパン4個を持たせた状態で

俺たちは敵の王都クラノスの東4キロに布陣。

 

「リン、先発隊を含む部隊はクラノスの北西に陣を張ったよ、数は4万だね」

「リン、明後日には本隊11万がクラノスの西へ到着すると報告がありました」

 ニケとマリアから連絡が入る、どうやらヘルメスの部隊は順調らしい。


「敵の前でパンを食べながら軍議とは余裕だの?」

「いいんだよ、俺たちは食料に困ってないと、見せつけるためだ」


 

「報告します、アラン伯の部隊3万は明日、クラノスへ到着予定です」

 

「これで私達は明後日には包囲が完了する訳ですね」

「俺なら、北西の4万を叩くがな」


「では今日は様子見で、明日仕掛けてみましょう」

 

 敵は動かないか、4万程度をこちらへ振ってくれると有り難いんだが。

「ご主人、今日の晩ご飯はなんですか?」

「そうだな、パンがあるしポトフで、エールを2本つけよう」

「戦場でエールですか、完全に相手を舐めてますね」

「では配ってくれ、エールは均等にな、酒は少ないと文句が出るからな」


「今日はエールが付いてるのか?」

「戦場で酒とは、子爵もわかってるな!」


 酒盛りを始めても、狙ってこないか?

敵は防衛に専念するのか?


「ではこれより攻撃を開始します、今回は魔法師のみでいきます

私とタチアナが左から、アレクとリリーナの部隊が右から攻撃します」


 それから俺たちは1時間攻撃して、2時間休むというスタイルで攻撃を開始。

 3回目の休憩の時に、敵が3万程出てきたので、後退しつつ敵を攻撃だ。


「敵の左翼に攻撃を集中して下さい」

「リリーナの部隊だけ敵中央を攻撃」

「はい」


「敵の騎馬部隊はどうします?」

「シャル魔法兵以外を連れて、敵の騎馬を叩いて下さい」

「わかった」

 

 結局2時間以上戦ったが、敵は5百程度しか削れなかった、こっちも被害は

なかったが。

   

 

 翌日に遂に本隊が王都の西5キロに到着だ。

「子爵、本隊に打ち合わせに行ってきます」

「リン、だめだ、行かせるなら信用ができる兵士を送ってくれ」

「何故ですか?」

「リンが行ったら、最悪は本隊の指揮下に入ることになるだろう」

「不都合があるんですか?」


「戦場で一番怖いのは、精鋭の敵兵でも、優秀な兵器でもない

無能な味方の指揮官だ」

「一般兵士なら、指揮下に入れと言われても、報告が無かったと言い張れる」


「子爵はこの戦争で勝つつもりがないんですか?」

「その質問は微妙だな」


「これは他の諸侯も同じだと思うが、第一条件は自分の部隊の被害を抑えること」

「この戦の結果に、自分の将来がかかっていれば別だけどね」


「統一された軍でないと、苦戦を強いられますが」

「リンは自分の部隊だけで、敵20万に突撃しろと言われたら従うのか?」

「それは……」


「軍人と諸侯は考え方が違うんだ、軍人は目の前の戦場で活躍を目指すが」

「諸侯は自分の領地が一番だ、命を賭けてもいい戦場というのは稀だね」


 リンは優秀だが、やはり軍人だな、王が居ないのに無駄に兵を

失ったらどうするつもりなのだろうか?


 

 やはりどこも動かないか、命令される前に動いておくか。

「リン、昨日と同じように魔法師の部隊で攻撃してくれ」

「はい」


 3時間程度、攻撃したが敵は出てこないか?

籠城戦か厄介だな。

 とにかく本隊が動かない事には手がつけられん。

 

   

「子爵起きて下さい、敵の補給部隊を発見しました」

「そうか、数は?」

「5千程かと」

「全軍で包囲してくれ」

「はい」


 包囲されている王都へ、補給部隊が来ると言うことは食料に不安があるのか?

 

「子爵、敵の部隊を殲滅、食料をかなり積んでいたようです」

「そうか、兵を休めてくれ」



 それから5日戦ったが、王都の守りは堅牢で、本隊は1度戦闘に参加しただけで

俺達にアラン伯と先発隊の一部の7万が、攻撃の主力だった。


「子爵、本隊が北へ移動を開始しています」

「リリーナ、トーラス王国の北には、何かあるのか?」

「あると言えば、鉱山でしょうか? かなりの埋蔵量を誇り、公国との国境付近

にかなりの鉱山があると聞いています」


「リン、どうやら本隊は王都攻略は諦めて、鉱山を含む北の支配に切り替えた

ようだ、俺たちは王都から出てきた騎馬部隊だけを叩く」

「はい」



「喰らえ、【アクアフラッシュ】12連」

「【ダークアロー】」


「全部隊、騎馬部隊だけ狙え、歩兵には構うな」

「子爵、敵の騎馬部隊は約1万で、歩兵が5万ほどです」


「そうか、では馬だけ狙おう、当てやすいだろう」

「兵はいいんですか?」

「構わん」


 3時間かけて、馬を狙い撃ちした結果、騎馬部隊が歩兵と合流したので

西へ潔く撤退だ。

「子爵、東を空けると、補給部隊を狙えませんが?」

「もう王都攻略は終わりだ、兵とシュトラウスを休ませたら、俺たちも帰るぞ」



 翌朝に偵察部隊を各方面に飛ばしたが、アラン伯はクレタ方面へ撤退し

先発隊も北へ向かった、本隊と合わせて15万、敵の騎馬もほぼ片付けたし

ここらが潮時だな。


「リン、兵をまとめろ。エトワールへ帰還するぞ」

「いいんですか、我々も北へ行かなくて?」

「俺たちは十分に敵の機動部隊を叩いた、もう本隊は安全だし、アラン伯も

引いた、もたもたしてると殲滅されるぞ」


「わかりました」

「撤退の総指揮はタチアナだ、やれるな? 何事も経験だ」

「がんばります」


「総員、エトワールへ撤退する、準備にかかれ」

「「「はい」」」



「しかし残念です、3ヶ月も囲めばたぶん落ちたはずです?」

「リンの判断は正しいと思うが、戦争は所詮、政治の延長だ

利益がなければ、諸侯は本気で戦わない」


「子爵は健闘していましたよ」

「俺はまだまだ身分が低いからな、ある程度、役に立つ所を見せないといけない」


 やはり一国を打ち破るというのは、生半可な覚悟では無理か

あとは利益を得る諸侯のみなさんに頑張ってもらおうかな。




 もう夏だな、こちらへ来てそろそろ1年か?


  

364億7千万と金貨10枚


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